2021.11.26 トピックス ハワイ大学マノア校による特別講義-OUEL海外協定校チャンネル2021 第12弾- 留学・国際交流


 寒い冬の訪れを感じる季節となりましたが、OUEL海外協定校チャンネルは真夏のような熱気に満ち溢れています。今回の講義でお話しいただいたのは、ハワイ大学マノア校のエドワード・シュルツ先生です。ハワイといえば、日本人にとって非常になじみが深いですよね!このハワイには日系人をはじめ、アジア系の人々が多く住んでいます。
 
 今回のテーマは「歴史のなかの朝鮮と日本」です。シュルツ先生はハワイ大学で長年にわたり朝鮮半島の歴史を研究をされており、多くの研究業績から世界的な評価を受けている先生です。今回は特別に、本学のために、オーダーメイドの授業をしてくださいました!講義の内容を以下で詳しくみていきましょう。
 

古代から続く朝鮮と日本の交流史

 お話のはじまりは、地図からです。シュルツ先生が示したのは、日本列島と朝鮮半島が陸続きの時期のものでした。ここから何がわかるでしょうか。そうです、この陸続きの地形が「渡来人」と呼ばれる人の移動をもたらし、彼らは言語・文化・宗教を日本に伝えました。後に、2つの「島」が分離してからは、朝鮮半島は中国からの文化・宗教の伝来の「フィルター」となり、日本の言語・文化・宗教に大きな影響を及ぼしました。その際たる例は、6世紀に伝わった仏教と漢字です。
 
 次に、先生のお話は、歴史的な「遺物」に移ります。ところで、現代の日本と朝鮮半島(韓国と北朝鮮)とのつながりというと、韓国料理、若者のK-POP熱や、東アジア地域の安全保障など、さまざまなものがあります。これに対して、シュルツ先生のまなざしは、深淵たる歴史学的かつ考古学的なものでした。日本の各地に点在する原始から中世までの遺跡を注意深く眺めてみると、朝鮮からの影響と多くの共通点が見出せるそうです。また、朝鮮と日本には神話の観点からも共通性があります。
 
 遺物の観点からは、馬具の鞍、壁画、弥勒菩薩や観音、半跏思惟像のような仏像があります。神話の観点からは、太陽の重要性、熊の存在(ヤマトタケルの日本神話と朝鮮の檀君神話)、朴赫居世(パク・ヒョッコセ)と桃太郎の話、巫俗・神道・シャーマニズムなどです。これらの点は、シュルツ先生の長年の研究から見えてくるのみならず、常に現地を歩く「フィールドワーカー」であり、遺跡を自分の目で確かめて歴史を五感で感じてきたからこその「発見」でありました。
 

仏教が伝来して以降の日本と朝鮮の関係

 6世紀に百済から仏教が日本に伝わり、それに携わる職人たち(造寺工や造仏工)が渡来して以来、両者は長い歴史をもっています。中世から近世にかけての蒙古襲来(13世紀)、豊臣秀吉の朝鮮出兵(16世紀)、近代の徳川時代に送られた「朝鮮通信使」、対馬を拠点とした鎖国下での交易、そして戦中の日本による朝鮮半島の占領を経て、両者は複雑な歴史を歩んできました。
 
 紆余曲折がありながらも、平安時代の高僧である円仁(『入唐求法巡礼行記』を執筆)が唐(今の中国)へ渡ったとき、朝鮮人は彼のよき案内者であったように、両者はともに歩んでいく布石を残してきました。両者は現代の政治・外交・経済などの諸問題を抱えながらも、歴史に学び、共存への道を歩むであろうとの前向きな結論で締めくくられました。
 

ハワイ大学マノア校とは?

 ハワイ大学マノア校は、ホノルルに位置し、アメリカ・ハワイ州で最大の州立大学です。海洋科学・地球科学工学部・アジア太平洋学部・教育学部・法学部・経営学部・医学部などがあり、全米でも屈指の研究・教育水準を誇ります。卒業生には、バラク・オバマ前大統領の両親バラク・オバマ・シニア氏(経済学者・ケニア財務省上級エコノミスト)とアン・ダンハム女史(人類学博士)が名を連ねています。本学とは1988年に学術交流協定を締結し、これまで多岐にわたる事業を通じて友好関係を深めてきました。
 
 <OUEL協定校チャンネル>は、「世界の授業」をオンラインで気軽に受講できる、コロナ禍中だからこそのチャンスです。次回は、ニュージーランドのワイカト大学の先生が講義を実施してくださいます。多くの学生さんの参加をお待ちしています!!!