2021.11.02 トピックス 【法学部】基礎演習での講演~令和3年司法試験合格・野本和希さん~ キャリア・就職 学生生活 教育・研究


 法学部1年生の基礎演習では、自らのキャリアについて考えることで、学生の皆さんが将来の目標を明確にし、目的意識をもって学修をすすめられるよう、様々な業界で活躍されている方々をお招きし、講演していただきます。
 


勉強法は人それぞれ~司法試験合格までの道のり
 
 10月26日(火)に実施した第1回目は、本学卒業生で、令和3年司法試験に合格し、11月中旬から司法修習生となられる野本和希さんに、ご自身の大学生活や法学部での学修、司法試験についてお話しいただきました。
 
 最初に、司法試験の科目や実施方式について1年生にもわかりやすく説明がありました。
 5日間にわたっての実施、論文式8科目に加え短答式試験3科目。短答式で基準点を超えないと、たとえ完璧な論文を仕上げることができたとしても採点すらしてもらえないなど、司法試験合格者ならではのリアルな内容からのスタートでした。
 
 高校時代は野球に全力を注ぎ、気が付けば高校3年生の夏を迎えた野本さん。サラリーマンや公務員のように組織に属することに魅力を感じることができず、自分の力で生きていきたいと考えるうちに、「弁護士って、なんかかっこいいな…」と、法学部への進学を決め、本学へ入学。1年生から本学の「Sコース(特修講座)」に参加し、ハードなスケジュールをこなす日々でしたが、「自分の勉強法を見つけたい」と、2年生からのゼミの担当で、弁護士としての経験を持っている岩﨑先生から週1回、学修計画についての面談を実施してもらったそうです。当時、岩﨑先生の言葉で心に残っているのは、「忘れることを恐れてはならない」ということ。「いくら詰め込んでも忘れてしまうことは誰にでもある。忘れたら繰り返し勉強していくうちにいつしか定着する」というアドバイスは、まだ自分の勉強法を確立できていない学生の皆さんにもしっかりと心に刻んでほしい言葉です。
 

覚悟が必要だが、やる前から諦める必要はない
 
 講演後、学生たちから、「1日どのくらい勉強したか?」「大学の成績はどうだったか?」「判例百選は熟読したか?」「論証パターンは暗記したか?」「不安になることは?」「自分のレベルがわからないときは?」「司法試験合格を目指すには、何をどこからしたらいいか?」など様々な質問が寄せられ、一つ一つ丁寧に答えてくださいました。

 意外にも自分なりの勉強方法が確立したのは必修科目などを取り終えた3年生頃から。それでも1日8時間程度の勉強で集中して学修した野本さん。岩﨑先生との面談以降、「勉強方法は自分が正しいと思う方を貫く」と決め、他人を気にせず、自分に足りないものを探し、集中的に学修を進めたそうです。不安に感じることもあったそうですが、「これだけやったら胸を張って諦めよう」という境地に達してからようやく、学修する本質がわかってきたとのこと。
 「司法試験に合格するためにはすべての時間を勉強にあてる必要はない」と野本さんは続けます。知識や実力が完璧な状態でなくても合格はできる。そこには「覚悟が必要だが、やる前から諦める必要はない」との言葉に大きく頷く学生も見られました。
 
 最後に、「何か夢や目標がある人はそれに向かって進んでみてほしい」と学生たちにメッセージを伝えてくださいました。「やってみてはじめて経験できることがある」、「失敗してもどうにかなる」など、コロナ禍で様々なことが制限され、ようやく大学での学修をスタートさせた1年生たちにも共感できる部分が大いにあります。
 今はまだ小さな「覚悟」かもしれませんが、これからの学生生活の中で、それぞれに合った勉強法を見出し、目標に向かって進む大きな「覚悟」を身につけるきっかけとなったのではないでしょうか。


 
 次回11月2日(火)は、テレビCM等の「DMM.com」でおなじみのDMMの法務部で勤務されている方をお招きし、講演していただく予定です。法学が実社会にどのように活かされているのかを実際に講演を聞くことで、法学を学ぶ意義を見出すきっかけとなることを願っています。