2022.07.12 トピックス 【経営学部】会計専門職をめざす学生が集まる「引地ゼミ」を紹介 教育・研究



今回は、経営学部のゼミ活動をご紹介します。
引地ゼミは会計専門職をめざす学生が多く集まるクラス。ハイレベルな会計学の学修に毎週取り組んでいます。2年生のクラスでは現在、テキスト1冊を読み込んでの発表と、教員からの課題にグループで取り組むワークを行っています。

 

前半:テキストの内容のプレゼンテーション


大阪経済法科大学の経営学部では2年次からコースを選択し、各分野の専門性を高めていきます。2年生の引地ゼミでは、4月から本格的に「会計学」の学びを深めるために教科書を活用した知識の蓄積に取り組んでいます。毎週、テキストを1章ごとに担当者が発表していく形式で前半の授業が進みます。

今回は第12章「利益構造の分析」についての発表が行われました。発表者はもちろん、司会進行もすべてゼミ生のみで授業が進行していきます。損益分岐分析の基本公式やCVP分析、経営レバレッジ係数等、専門用語や数式を発表者が端的に解説していきます。
 


発表後には、質疑応答の時間が設けられ、用語と内容に関して、それぞれ質問がなされます。引地ゼミでは、発表よりもこの質疑応答の時間に重点を置いており、表面的に言葉(用語)を理解するのではなく、言葉の本質や実際に使われている際の意味を学んでいきます。

例えばこの日、議題に上がったのは「レバレッジ」という言葉。この用語自体は1年生の会計学基礎でも学ぶ語句です。意味は「梃子(テコ)」で、学生たちもそこまでは理解が及んでいます。そこにさらに引地先生が「レバレッジをかけて経営をするとはどういうことか」と問いかけます。イメージはできても言語で説明することが難しく、学生たちは思考をめぐらし、議論が始まります。

会計専門職の顧客は、経営のプロであっても、会計のプロという訳ではありません。専門用語を並び立てても相手の納得を得ることができなければ意味はないのです。公認会計士や税理士などの会計専門職をめざす彼らにとって、専門用語を簡潔に説明する力は、社会に出てから役立つ力です。引地ゼミでは、知識の定着と専門用語や公式を深く理解する学修が常に一体となって進んでいきます。

 

後半:グループワーク

授業の後半では、発表に向けて、それぞれの課題に取り組むグループワークが行われました。グループごとに異なる課題が与えられ、チームごとに財務諸表分析に取り組みます。グループごと集まり、メンバーに自分なりの仮説や着眼点を伝え、発表に向けて意見をまとめていきます。


 
Group Interview
チーム①「『収益認識に関する会計基準』適用による財務諸表への影響の調査」
2021年4月に新収益認識基準が適用されるようになり、この影響について調べています。これにより、企業の売上など、財務構造にどのような変化がもたらされたのか、そして、投資家は数値の変化をどのようにとらえればいいのかを調べています。

チーム②「コロナ禍から現在において出前館の業績はどう変化したのか」
コロナ禍でデリバリー需要は急激に拡大し、大きく利益を出すことができたはずの出前館の財務諸表について調べています。出前館の財務諸表は最終的には減益となっており、その理由を競合他社との比較から探っています。

チーム③「株式会社日本航空(JAL)の倒産の経緯と現状」
外的要因である景気以外に、どのような原因があるのかを財務諸表から分析しています。特にキャッシュフロー(1.営業活動 2.投資活動 3.財務活動)に注目し、現金の流れから倒産の原因を調べています。

チーム④「株式会社キーエンスはなぜ高い給料を払うことができるのか」
平均年収は1,700万円以上。日本一高い給料を支払うことのできる会社「キーエンス」について、「なぜ、それほど給料を支払えるのか」その収益構造を分析しています。キーエンスの経営戦略に着目し、ファブレス(自社工場がない)であることや、BtoBモデルであることなど、収益につながる戦略を見つけ、仮説を立てながら同業他社と比較し、分析しています。

 

このように引地ゼミでは、実在の企業をベースに財務諸表分析を行うなど、正しく企業の実態を読み解くことができるよう学修を深めています。

単に公認会計士や簿記などの資格取得を目的とした学びではなく、実際に社会に出た後に求められる素養としての会計知識を身につけることができるので、実践的に会計学を学びたい方は、ぜひ引地ゼミに来てみてくださいね!

【経営学部】
引地夏奈子教授の紹介はこちら