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「国境を越える学び」:韓国フィールドスタディ/フィールド・プロジェクトより(2) -韓国の街で出会う文化と歴史 : 国際学部フィールドワーク
- 留学・国際交流

シリーズ【「国境を越える学び」:韓国フィールドスタディ/フィールド・プロジェクトより】の第二弾は国際学部です。
韓国の文化は、歴史の中でどのように変化し、新しく生まれてきたのでしょうか。
それを直接体験するために、国際学部では8月6日、学部独自のフィールドワークを行いました。今回は国立中央博物館と解放村を訪ね、国際学部と他学部の学生あわせて22名が参加しました。あいにくの雨で始まりましたが、後には晴れ間ものぞいた、思い出深い一日となりました。
韓国の食文化からスタート
最初に訪れたのは、崇実大学の近くにある食堂でした。ここで学生たちは、韓国の若者に人気のソウルフード、トッポッキや天ぷら、キムパを味わいました。実はトッポッキが広まった理由の一つに、朝鮮戦争後に行われた「混分食奨励運動」という国の政策があります。当時はお米が不足していたため、小麦粉を使った食べ物(粉食)がすすめられ、それが庶民の新しい食文化として定着しました。食べながら歴史を学ぶ体験から、この日のフィールドワークは始まりました。

国立中央博物館で文化の奥深さを知る

続いて地下鉄に乗って国立中央博物館へ。ここでは先史時代から近代に至るまでの文化遺産が、五感で感じられるように展示されています。
学生たちは、韓国の伝統文化をじかに見て学ぶと同時に、近年人気を集めている博物館グッズにも注目しました。文化財を現代的にデザインし直した商品は、文化と産業を結びつける新しい取り組みとして印象的でした。
世界で第6位の来館者数(2024年)を誇るこの博物館は、韓国文化の「世界化」について考えるきっかけにもなりました。館内はとても広く、2時間では見きれず、「また来たい!」と話す学生もいました。
解放村と新興市場 — 街に残る歴史と今

博物館を出たあと、タクシーでかつての米軍基地をぐるっと回り、南山のふもとにある解放村と新興市場を訪れました。ここは、日本植民地期に護国神社や日本軍の射撃場がつくられ、解放後には米軍基地が入り、さらに朝鮮戦争後には多くの避難民が基地の周辺に身を寄せて暮らしたという歴史を持つ地域です。坂を登るのは大変でしたが、かつて住処を求めてここに集まった避難民たちの姿が目に浮かびました。再開発が進むソウルの中で、ここには昔ながらの姿が残り、現在では観光地としても注目されています。
新興市場は、解放村の住民が生活のために山の中腹につくった円形の市場です。高い場所にあるため見晴らしがよく、おしゃれなカフェや外国人が営む個人店が立ち並び、若者にも人気があります。学生たちは展望台やカフェに立ち寄りながら、街並みの変化や多文化の共存する様子を観察しました。夕方には雨も上がり、美しい夕暮れが広がりました。
フィールドワークで得られる学び

慣れない街を歩き、人々と出会い、文化にふれる。そうした一つひとつの経験は、教室だけでは得られない「生きた知識」となります。五感で体験したことは理解を深め、国際感覚を育んでくれます。
文化は国を超えて交流することによって発展し、豊かになっていきます。学生たちも、国を越えた交流を通じて、自分自身を成長させていきます。今回のフィールドワークは、学生たちにとって将来へとつながる大切な一歩となりました。