2023.03.22 トピックス ドイツ・アーレン大学の交換留学、帰国後インタビュー 留学・国際交流


 2022年夏からドイツのアーレン大学(Aalen University;Hochschule Aalen)に交換留学をした、国際学部3年生の近藤 愛莉さんにお話を聞きました。
 
 近藤さんは、大学に入学して以来、海外の一流大学での学びを志しており、その夢を叶えて、無事に帰国されました。留学するに至った経緯から、帰国後の心境、そして留学先での学びについてたっぷりとお伝えをします。


 
国際学部への入学、コロナ禍、そして留学へ
Q.近藤さん、無事の帰国をなにより嬉しく思います。ドイツから日本に帰ってきて、今はどのような気持ちですか?
A. 憧れの海外での生活をすることができたので、今はもう少し現地にいたかった気持ちがあります。帰国してからは、日本のよさとドイツのよさ、両方を感じることができています。

 現地では、私と同じ交換留学生たちと、一期一会の出会いをすることができたので、ちょっぴり寂しい気分になっています。


Q.はじめに、留学のきっかけについて教えてください。いつから留学に行きたいと思っていましたか?
A. もともとは中学校くらいから英語の勉強を始めて、海外旅行に行きたいと思っていました。その当時は、海外留学というと費用がかかるイメージが強く、まずは英語を上達させようと思っていました。高校に入ると、外国からの交換留学の学生が来ており、彼ら・彼女らをみて、留学として海外へ行くことを意識するようになりました。

 そんな中、「複数回・複数国の留学」ができる本学のプログラムを見つけ、同じ高校出身の先輩からも情報を得て、国際学部に決めました。


Q.大学に入学してからは新型コロナウイルスの蔓延により、不安も大きかったと思いますが、それでも留学を決意されたのはどうしてですか?
A. 何が何でも行きたかったです!たしかにコロナ禍ではありましたが、家族も背中を押してくれたこともあり、タイミングを見て世界に飛び出そうと決意していました。


 
ドイツ・アーレン大学での勉強、学生たちとの交流
Q.ドイツのアーレンという都市での生活はいかがでしたか?
A. アーレンは自然豊かな都市です。毎週日曜日に、国際センターが主催するSunday Walk & Talkというプログラムがありました。街や自然の景観を眺めながら、大学や日常生活についてお話をしながら散歩をするというプログラムであり、リフレッシュに最適な景色が広がっていました。また、アーレンの近くには、中堅都市シュトゥットガルトやウルムといった都市があり、アクセスもよいです。
 
 また、日々の生活のなかで、些細な点からドイツと日本の違いに気付かされました。たとえば、私が留学をしたのは冬であり、外はとても寒かったのですが、寮に備え付けの部屋全体を温めるヒーターで快適に過ごせました。また、ドイツの人々と出会うなかで、個人の休暇やプライベートに重きを置いており、日本とは働き方が異なる点や、環境に配慮したリサイクルマークの普及率も高く、環境保護が日常化している点などは、非常に先進的な取り組みだと感じました。


*アーレン大学(Aalen University;Hochschule Aalen)は、1962年にドイツ南部バーデン=ヴュルテンベルク州のアーレン市に設立された公立大学で、1971年に応用科学の総合大学に改組しました。化学、電子工学・コンピューターサイエンス、経営・ビジネス科学、機械・機械工学・物質技術、眼科学・メカトロニクスの学部をもち、社会科学から応用科学まで幅広い分野で世界をリードする学生・研究者を輩出しています。


Q.どのような授業を受けましたか?
A. 5つの授業を受けました。
  • ビジネス英語(Business English)
  • ミクロ経済学・マクロ経済学(Economics)
  • 情報管理システム(Controlling and Information System)
  • 国際人的資源管理論(International Human Resource Management)
  • ドイツ語
  授業は、講義を受けるスタイルに加えて、学生自らが主体的に動くものが多かったように思います。たとえば、情報管理システムの授業では、数回のプロジェクトがベースとなっており、チームを作って中小企業の方にプレゼンをしました。
 
 はじめのうちは、授業についていくのに必死でしたが、日々の予習復習をかかさず行ったため、無事すべての科目で満足する成績をとることができました。


Q.授業を受ける中で、一番の驚き、また大変だったことを教えてください。
A. 英語力の足りなさを痛感しました。TOEICでは満点に近い点数をとっていましたが、留学前にアカデミック・イングリッシュを鍛える必要性を身をもって実感しました。ただ現地ではそうは言っていられないので、授業や日常生活のなかで、さまざまな人々と積極的に議論や会話をすることで、英語を話すことへの心理的な障壁が取り払われていきました。
 
 また、アーレン大学の学生の受講姿勢に感銘を受けました。全員が積極的に聞く姿勢を持っており、先生の講義を中断してでも、分からないことは徹底的に質問をするというスタイルでした。


Q.アーレン大学の学生、そして同じく他国から留学してきた学生には、どのような印象を持ちましたか?
A. 多彩な出身国の学生たちの高い学力・語学力レベルに驚かされる毎日でした。アーレン大学では、バディ制度があり、留学生のお世話を全面的に行ってくれます。私のバディは、トルコ系の方でした。ドイツには多くの移民の子孫がいることを目にし、当初のイメージとは異なりドイツは多様な民族国家であるように感じました。それに加えて、国際センターの主催するイベントで知り合った学生たちと仲良くなりました。そのなかには、南アフリカやリトアニア、フィンランド、インドなどの世界の多様な背景をもつ学生がいました。
 
 さらには、国際センターの職員の方にジャマイカ出身の方がおり、彼女はお母さんのような存在で、滞在中に何度もお世話になりました。


 
ボランティア活動、ヨーロッパで感じた移民・難民たちの姿
Q.日々の生活について教えてください。どのように時間を使っていましたか?
A. 毎日、自炊をしていました。時間の使い方としては、以下の通りです。寮は大学に隣接していたため、とても便利でした。



 寮生活は初めてでしたが、いろいろなトラブル、それに対して学生が一体となって対処する姿をみて、同年代から学ぶことが多かったです。


Q.ドイツでボランティア活動をされたと伺いました。どのような活動をされたのでしょうか?
A. はい、アーレン大学の国際センターに紹介していただいた現地NGOのボランティア活動に参加しました。この活動には、動物保護を推進したり、幼稚園で園児と一緒に遊んだりといった多様なプログラムがありましたが、そのなかでも私はDiakonieというNGOが主催するInternational Caféに参加をしました。
 
 この活動は、アーレン市内の教会の一部を利用して、週に1回2時間ほど、外国籍の方と交流をするものです。活動をするなかで、ドイツに難民として逃れた人々とお話しする機会を得ました。たくさんの方にお会いしましたが、なかでもアフガニスタンから来た方から聞いたお話が忘れられません。彼はエンジニアとして働いていましたが、2021年のアメリカを中心とした欧米各国のアフガニスタン引き揚げに伴い、自身の身にも危険を感じる出来事が相次いだことからドイツに逃れてきたというのです。
 
 日本で国際法の観点から難民について勉強をしたことはありましたが、実際に当事者に会い、話を聞いてみると、現実がより克明に残酷に感じました。それと同時に、「難民問題」という世界的な課題を自分ごととして、等身大に考えられるようになったと思います。




近藤さんが「アーレン広報大使」として掲載されたときの写真
オストアルプ郡(アーレン市があるバーデン=ヴュルテンベルク州を構成する1つの郡)の地方紙
https://www.schwaebische-post.de/ostalb/ostalbkreis/botschafter-werben-fuer-die-ostalb-92019089.html

 
留学から次のステップへ
Q.近藤さんのこれからの目標について教えてください。
A. はい、引き続き、英語力の向上に努めたいと思っています。これからTOEFLの受験を控えており、ドイツ語の勉強も継続したいと考えています。また、大学院を受験する予定なので、それに向けた勉強も頑張りたいと思います。


Q.これから留学を考えている後輩たちにアドバイスをいただけますでしょうか。
A. 留学に行きたいと思ったら、すぐに行動した方がよいと思います。日本では迷いすぎてたので、まずは現地に身を置いて、動きながら考えることが重要だと、振り返って感じています。いったん留学に行くと決意すれば、それに向けた準備や情報収集を行うようになり、なによりも現地での素敵な生活を思い浮かべると、わくわくしてきますね。



 大阪経済法科大学の国際学部では、多彩な留学プログラムを用意しております。今回の近藤さんが挑んだ「交換留学」から、英語を集中的に学ぶ「英語圏1セメスター留学」と「海外語学研修」、海外現地を訪れ短期間でテーマに沿った学修に取り組む「フィールド・プロジェクト」などです。
 今後も留学中・帰国後の学生インタビューやプログラム紹介を予定しておりますので、ぜひご期待ください。