2022.12.13 トピックス 【国際学部】錦城護謨株式会社を訪問 教育・研究 社会連携


 2022年11月30日 【国際学部】フィールド・プロジェクトⅠ(日本)の授業で、学生たちが錦城護謨株式会社を訪問しました。
 この授業の目的はSDGs(持続可能な開発目標)の視点から、日本社会、経済、文化と労働について学ぶことです。さまざまな社会問題がある中、先進国の日本にとってもSDGsへの取り組みはもはや他人事ではありません。そして、ビジネス環境、投資家や消費者の意識が変化する中、多くの日本企業は新たなイノベーションとビジネスチャンスを目指してSDGsに取り組んでいます。企業の皆さんは実際現場でどのように努力をしているのだろうか?学生たちはこの疑問を持って、錦城護謨株式会社を訪問しました。
 錦城護謨株式会社は大阪府八尾市に本社を置く、ゴム製品のメーカーです。工業用ゴム・樹脂製品の製造・販売だけでなく、自社ブランド土木資材・製品の生産・販売をも主力事業としており、視覚障がい者歩行誘導マットの製造・販売・施工にも手掛けています。
 コスト競争が激しいなか、錦城護謨は確かな品質と顧客のニーズに応える開発力、提案力で選ばれ続けています。そして、「選ばれる会社から応援され続ける会社へ」を目指して錦城護謨はCSR活動の一環として2010年に国連グローバル・コンパクトに署名しており、SDGsにも積極的に取り組んでいます。
 社員の方による説明では、加工時間短縮や廃材利用によるエネルギー節約とCO2排出量削減のほかに、食べられなくなった備蓄米を利用したバイオマスプラスチックの開発、製造などの努力が紹介されました。そして、SDGsを周知するための研修会や食堂でのフードロス削減といった地道な取り組みも紹介され、学生たちは熱心に説明に耳を傾け、積極的に質問をしていました。

 

工場見学の機会もいただきました



 説明のあと、社員さんが学生たちに工場の中をご案内くださいました。テキストの内容と普段の授業だけでは、学生たちは現場のことを知ることができません。工場見学を通じて、学生たちはものづくりの魅力を味わっただけでなく、経営の課題と社会の課題に同時に取り組むことの意義を学べました。

 
学生の声:2年生 齊藤さん
 私たちの生活の中の至る所で使用されているゴム製品、その業界の中でもトップに位置する錦城護謨の工場を見学する機会が得られ、大変勉強になりました。今回の見学を通じて、私は多様な視点から物事を見ることの重要性に気づきました。一見すればゴム製品と無関係の商品でも、視点を変えればゴムの強みを活かせる可能性があるというのが、私にとって重要な学びでした。
 錦城護謨の取り組みの中で私が最も興味を持ったのは「Hodokun Guideway」です。従来の歩行誘導ブロックは視覚障がい者のサポートができる一方、車椅子の方や高齢者の方にとっては不便な一面もあるようです。この問題に対して錦城護謨では、ゴムの柔軟性を利用して視覚障害者への配慮は継続させつつ車椅子の方にも配慮した歩行誘導ソフトマットの開発および導入に成功しました。
 そして、資源米樹脂を使用したバイオマスドレーン工法に関するご説明も興味深かったです。近年の農業人口の減少から米資源が有限な資源になるのではないのかと考えています。国民の消費量が一定だとしても生産量が減少すれば企業が使用できる量は減少するでしょう。ゴムメーカーがどのように材料となる備蓄米を効率よく入手していくかについては今後も注目して、調べてみたいです。一見すれば護謨で作れなさそうでも他視点から見直して注目すべきところを変えれば他の素材でもできるということが、私が得た学びです。
 
学生の声:3年生 エンさん(留学生)
 普段私たちが使っている商品に、地元八尾のメーカーが製造したゴム製品が使われていることを知り、大変驚きました。なんと、市販されているスイミングキャップのほとんどが錦城護謨株式会社製です。大手各社の電化製品やETCの入り口、空港、さらには関西万博の夢洲にも姿を見せています。
 日本での工場見学は今回が初めてであるため、私にとっては非常に新鮮な経験でした。大型機械が使われている生産ラインは少しうるさいが、作業場の隅々まできれいに整理整頓されており、すべての従業員が整然と作業を進めていました。
 最も感銘を受けたのは、車椅子を利用する障がい者や高齢者にも配慮して開発した誘導ソフトマットです。中国ではこのような公共施設での障害者への配慮が不充分であり、私にとってとても勉強になりました。
 そして、材料開発では加硫黄時間を短縮し、二酸化炭素の排出を削減した努力や、再生可能な有機資源を原料に使用することもSDGsへの取り組みにつながると気づきました。
 さらに印象深かったのは、錦城護謨株式会社の社員食堂は予約制であり、毎朝予約された量の昼食を作ることで、食品の無駄を減らしていることです。社員食堂でのフードロス削減や再生水利用といった地道な努力にはとても感心しました。