2022.12.08 トピックス Panasonic社のB to Bマーケティングが面白い。 キャリア・就職 教育・研究 社会連携


皆さんは「B to B」という言葉を聞いたことがありますか? 
では、「B to C」ならいかがでしょうか? 


両方、あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、「B to C(Business to Customer)」は普段、皆さんが家電量販店やコンビニエンスストアなどで商品を買う、企業と一般消費者との取引のことを指します。では、「B to B」とは・・・? 

 経営学部・登坂教授(研究分野:マーケティング戦略)の演習Ⅱでは、主にマーケティングについて学修しています。その一環として、本日はパナソニックグループの「パナソニックインダストリー株式会社 メカトロニクス事業部 リレービジネスユニット 車載リレー統括(以下はパナソニック社と呼ばせていただきます)松本様」からB to Bマーケティングについてオンラインにて講演いただきましたので、その内容をご紹介します。 

 「パナソニックと言えば?」と聞かれると、皆さんが真っ先に思いつくものは、テレビや洗濯機などの電化製品でしょうか?これらを購入するなら、先に出てきた「B to C」にあたります。 
 本日講演いただいた松本さんの企業は、自動車に搭載されている電子部品『リレー』を扱っている「B to B」です。この『リレー』という部品を簡単に説明すると、車の中の様々なスイッチの役割をしています。例えば、夜に走行する際に点灯するライトや、ワイパーを動かすときの切替のためのスイッチなど、1台の自動車に20~30個も使用されている部品だそうです。この部品、皆さんのような一般消費者は購入しませんよね?これはパナソニック社が企業間で取引する商品だからです。この取引を「B to B(Business to Business)」と呼びます。 

 パナソニック社では、この『リレー』を製造・販売しており、何と!世界一位のシェアを誇ります。販売先としては、自動車メーカーに直接販売することもあれば、自動車部品メーカーに販売することもあるそうです。

 では、本題に参りましょう。 
 この『リレー』をどのようにして自動車メーカーに売り込めばよいでしょうか?ここで重要視されるのが「B to Bマーケティング」と松本さんは言います。
B to Bでは、信頼できる企業から買うという観点が重要です。また、取引先が「組織」という点から、組織のニーズを把握することが大切ですが、これがとても難しいとのこと。また、B to Bマーケティングで重要な役割を果たすのが営業担当者です。商品をただ売るだけでなく、お客様のニーズを的確に収集し、そのニーズを商品に反映できるかがポイントとなるそうです。
 また、『リレー』を商品化する際、「①カスタマイズ」と「②標準品」のどちらを製品化するか?という点も興味深い内容でした。①カスタマイズでは、お客様それぞれの要望に併せて商品を作るため、お客様の満足度は高いが、材料や作り方の種類が増え、価格は高くなります。一方、②標準品では、お客様の要望に100%応えた製品ではないため、お客様を納得させるための説得が必要ですが、材料や作り方を共通化でき、価格を抑えられる、そして何よりマーケティング能力が求められるとのことで、パナソニック社では、後者をメインに製品開発を行っているそうです。これらを、「①メニューが豊富な居酒屋(カスタマイズ)」と「②自信作のみにメニューを絞り込んだラーメン屋(標準品)」を例にわかりやすく説明してくださいました。 

 

B to Bマーケティングの新潮流 




 松本さんからは、デジタル技術の進歩によって、昔の「全てを営業(人)が売りに行くスタイル」から、営業支援デジタルツールを使用し、パナソニック社のWEBサイトを見たお客様のWEBサイト上での行動を把握したうえで、営業が当該お客様にコンタクトするという形状に変化してきているそうです。 
 言い換えると、お客様はおおよそ、パナソニック社の『リレー』についての情報をWEBサイト上で得ており、最後の確認のために営業と会って商談するというカタチです。だからこそ、WEBサイト上で顧客の行動を正確に分析するデジタルマーケティングの重要性は高まっていると、お話をいただきました。 
 
 
 登坂ゼミの学生は、普段聞くことのできない松本様のお話を終始真剣に聴き、それぞれが重要と思う箇所はメモを取りながら聴いていたのが印象的でした。 
 最後に学生からは「消費者のニーズが意外だと感じたケースを教えてください」や「自動車以外の飛行機や船での『リレー』の導入事例を教えてください」といった質問もありました。学生にとって、今までイメージがつきにくかった「B to B」の企業の魅力に触れる貴重な機会となりました。 
 
 マーケティングに興味のある方はぜひ、登坂ゼミにお越しください!そして、自動車好きの方はぜひ『リレー』を検索してみてください♪ 
 
経営学部 登坂一博教授(研究分野:マーケティング戦略、営業戦略、経営戦略 他)