2022.11.15 トピックス 留学生を対象にした「卒業論文日本語校正支援」―「国際共修」の新たな形を目指して― 学生生活 留学・国際交流

 
 
 ここ最近、国際教育交流センターの交流スペースでは、たくさんの資料を片手に頭を寄せ合い議論する学生たちの姿を見ることができます。彼女ら彼らは、卒業論文の執筆に取り組む外国人留学生と、論文完成をサポートする日本人学生TA(Teaching Assistant)と留学生TA(日本語上級者)達です。
 
 「卒業論文を書き上げたい!」
 そんな留学生達の強い意欲と希望に応えるため、今年から、外国人留学生を対象とする「卒業論文日本語校正支援」が始まりました。日本人学生と留学生のペアからなる二人のTAが、日本語での卒業論文執筆に挑む留学生を支援します。
 
 顔合わせの日。緊張した面持ちでやってくる留学生を、TAが笑顔で迎えます。最初は自己紹介や日本留学の動機などの雑談で互いの距離を縮め、打ち解けてくると、話題はいよいよ本題の卒業論文へ。校正作業が始まると、その「場」にピリッとした空気が走ります。
 

 
 誤字・脱字の指摘や語彙の修正、文体の統一、主語・述語の対応など、チェックするポイントは多岐にわたります。「初稿」を前に置き、三人で一緒に、文頭から順に一語ずつ丁寧に確認していきます。様々なアドバイスする日本人学生TA、その説明に頷きながら熱心にメモを取る留学生、日本人学生TAとの間を取り持つ留学生TA。専門的な内容を扱うことから、時に作業が暗礁に乗り上げることもありますが、三人が協力して自身の役目を果たすことで、一つ、また一つと問題を克服していきます。時間はあっという間に過ぎ、作業が終わるころには三人の表情も少し明るくなったような気がします。
 

 
 大学生活の集大成ともいえる卒業論文ですが、完成までの長い道のりの過程で、学生はえてして孤独に陥りやすく、その傾向は、言語の壁が前にたちはだかる留学生にとりわけ顕著です。それゆえ、伴走してくれる仲間がいることは、留学生に大きな安心感を与えてくれます。しかし、それ以上にこの取り組みを通じて期待されるのが、コロナ禍で停滞を余儀なくされてきた留学生と日本人学生、また留学生同士の交流の活性化です。この新たな取組を一つのきっかけとして、キャンパスに活気が溢れ、国際共修の文化、マインドが花開き、根付くことを願っています。