2022.11.02 トピックス 国連開発計画(UNDP)のビジネスと人権アカデミーに協力 教育・研究 社会連携


 国連開発計画(UNDP)は、日本政府の支援を受け、日本企業が国内外に広がる事業活動のなかで人権尊重に取組んでいくための研修を東京・大阪で実施しました。10月27・28日に開催された大阪プログラムでは、国際学部の菅原絵美教授(写真奥の右から3人目)が国内専門家として協力しました。

 

「ビジネスと人権」という課題への関心の高まり




 2015年の持続可能な開発目標(SDGs)の登場、そして新型コロナや気候変動、さらにはウクライナ危機といった世界的な脅威のなかで、持続可能な社会を実現するために企業活動における人権尊重が不可欠であることが再確認されています。企業の事業活動は、取引先を通じて世界大に広がっており、グローバルな課題との関わりは不可避だからです。国連では2011年に「ビジネスと人権に関する指導原則」を策定し、これをうけて日本政府も2020年10月に「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」を、そして今年9月には「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定しています。
 ビジネスと人権に関する規範が形成される一方、実際にグローバルな企業活動のなかでどのように人権尊重を実現するのかは大きな課題です。そこで、貧困や格差、気候変動といった不公正に立ち向かうことを任務とする国連開発計画(UNDP)が、日本政府と協力し、日本企業に対する研修を実施することになりました。

 

国連と企業、市民、アカデミアの協働による研修とこれから



 研修では、ビジネスと人権に関する規範の内容はもちろん、実際に企業が取り組むうえで考慮しなければならないポイントや方法を、ケーススタディやグループディスカッションを通じた参加型アプローチで学んでいきます。大阪での研修では西日本をベースとする15社・団体が参加し、熱心な議論・質疑応答が展開されました。
 国際学部の菅原絵美教授は「ビジネスと人権」を研究テーマとしており、日本政府の「ビジネスと人権に関する行動計画推進作業部会」構成員も務めています。菅原教授は、初日はオンライン、2日目は対面で研修に参加し、ビジネスと人権に関する国際的動向や日本政府の施策についての情報提供を行うとともに、参加企業からの質問に回答・助言するなど、国内専門家として協力しました。
 大阪では、23年にG7貿易大臣会合が、25年に日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開催され、ともに持続可能な社会を協働によって実現していくことが重要なテーマになっています。「ビジネスと人権」に関する日本企業の取組みが進んでいくことを期待しています。