2022.06.24 トピックス 【国際学部】張雪斌ゼミ(専門演習)紹介:国際学部の専門学修 教育・研究


 国際学部というと、英語を勉強して留学する学部だというイメージがありませんか。それは決して間違っていません。学生の皆さんが多角的な視点と創造力で世界に挑戦するために、国際学部は英語運用能力と国際コミュニケーション能力を向上させるための学修を最も重視しています。一方、国際社会で日々起きている諸問題を理解し、対策を模索するためには幅広い専門知識の学修も必要不可欠です。国際学部の学生たちは各ゼミで専門知識を学び、議論を行っています。今回はその一例として、張雪斌ゼミ(専門演習Ⅱ)の授業内容についてご紹介します。
 

国際政治学の視点から国際社会の過去、現在と未来を理解する



 張雪斌ゼミ(専門演習Ⅱ)では、24名の学生が国際政治学について学修、研究をしています。学生たちは自らの興味関心に合わせて専門的な論文や資料を選んで、主体的に発表と議論を行っています。
 この日(6月16日)の授業では、2名の学生は規範と戦略の両面から、核兵器をめぐる軍備管理体制の問題について発表を行い、議論をリードしていました。第二次世界大戦後、核兵器は一度も使用されたことがありません。米ソなどの核保有国を含む世界各国は核軍縮のための交渉を重ねており、国際社会では核不拡散は規範(the nuclear non-proliferation norm)として深く浸透したとされています。しかし、冷戦終結後では公然と核実験を行い、核兵器を手に入れた国が増えただけでなく、軍備管理という枠組みの中における優位性をめぐって、米、中、ロなどの大国間の競争も激しさを増しています。なぜ今日の国際社会において、核不拡散の規範が支持されているにもかかわらず、軍備管理に関する国際協力が困難になってきただろうか?この論点をめぐって、学生たちが熱く議論を交わしました。核兵器の保有を忌避する規範は今も広く共有されているが、大国間の権力移行(power transition)と軍備管理は親和性が低い、核保有国の戦略的認識の相違が冷戦期の相互確証破壊(MAD: Mutual Assured Destruction)の論理を曖昧なものにしてしまった、科学技術の進歩が軍備管理を困難にしたといった鋭い指摘がなされるなか、参加者たちはあらためて国際問題の複雑さを認識しました。
 多様化が進む現代社会においては、解決すべき課題も複雑化しており、複合的な学修こそが国際的な課題を解決に導くことにつながります。学生たちは日々国際政治の歴史、理論と事例を学びながら、複雑な問題に向けて自ら考えて、取り組む力を身に付けています。