2022.01.20 トピックス 【国際学部】国内での国際交流とは?~内なる国際化の取り組み(異文化適応論) 教育・研究


 皆さんが住む地域に外国の方は住んでいますか?
 国際学部の履修科目「異文化適応論」では、実例をもとに日本と他国の文化の違いや文化の常識、価値観による衝突がない社会にしていくためにはどのようにすれば良いのか等を学びます。
 今回、14回目の授業では、「地域の国際化」、「町内会の国際化」の2つのテーマについて、6グループに分かれてテーマを選択し、ディスカッションと発表を行いました。全てのグループに外国人留学生が1名以上参加しているため、「日本に来て困ったことや改善して欲しいことは?」など、留学生へ積極的に聞き取りをしながら議論を深めていました。


外国の方にとっては、ハードルの高い町内会への加入

 皆さんの地域にも町内会はあると思いますが、実は町内会に加入するためには手続きが必要なのです。町内会は地域のことを知ることができるほか、地域住民との交流の場としても活用され、外国人住民にとってもメリットが多くあります。大阪市の中でも外国人居住者が最も多い生野区。生野区のホームページ上の説明や案内チラシは全て日本語表記になっています。また、詳しい加入方法などは各地域の会館への問い合わせが必要となり、日本語が苦手な外国人にとってはとてもハードルが高いのです。


どうすれば外国の方が住みやすい町になるのか?



 本授業で多くのグループが課題と考えたのは「言語」について。行政のホームページやチラシ、手続き書類の日本語が難しく、外国の方にとって非常にわかりにくいものであることが、町内会への加入に歯止めかけているのではないかと考えました。そこで、わかりやすい日本語に直すことやその地域の出身国別外国人居住者数をもとに翻訳すること、図を用いてわかりやすい案内にするなども案としてあげられました。
 留学生からの「日本人の友人を作りたい」、「日本の文化をもっと知りたい」という意見も参考に、食事会や、日本文化を楽しく学べるかるた大会など、外国人と日本人との交流イベントを開催するというアイデアも出ました。
 さらに、公共交通機関の切符の購入方法や、子供の入学手続き書類の書き方といった身近なことをサポートすることで外国の方が町内会への加入のハードルが下がると発表したグループもありました。これには他のグループの学生をはじめ先生も感心していました。
 
 コロナ禍であっても外国人居住者や日本へ留学を希望する外国の方もいるなかで、多文化共生は今後も大きなテーマとなるでしょう。外国人居住者にとっても住みやすい町にしていくためは、まず彼らの困っていることを知ることが必要です。今回の授業では日本人学生が留学生へ困っていることや生活への不安・不満等を積極的に聞き出し、課題と向き合っている姿がとても印象的でした。