2020.11.24 トピックス <OUEL協定校チャンネル>-秋学期第3回目の講師は、中国・北京大学の凌鵬(Ling Peng)先生! 教育・研究 留学・国際交流

 春学期に好評を博した「OUEL協定校チャンネル:海外協定校の教授陣による特別講義」が、秋学期に新たなラインナップで始まりました。第3回目(11月19日)は中国・北京大学社会学系の凌鵬助教授です。日本の京都大学での留学経験をもつ凌先生は、社会学・社会史を専門とされています。
 

伝統と現代の間に——北京大学を例として

 今回は、「伝統と現代の間に——北京大学を例として」と題して、近代以後、日本や中国が直面する、現代社会において自国の伝統を如何に認識し、如何に保護・発展させるか、という問題について講義いただきました。
 凌先生は流暢な日本語を使って、まず、日本の法隆寺や白川郷、中国の紫禁城など、写真を用いて比較しながら、同じ東アジアの「伝統」と「現代」のはざまにある日本と中国における「伝統」への考え方の相違を挙げられました。そして、西洋人にとって、「伝統」と「現代」は自然と繋がっているのに対し、東アジアの世界においては、「現代」と言えば、「西洋文明」を指し、「伝統」と言えば、自国、すなわち日本や中国の古典文明を意味している、ということについて説明したうえで、先生は「伝統」や「現代」とはなにか、という問題を提起されました。
 その後、凌先生は、戊戌の変法(1898)の唯一の成果として残された北京大学、および中国ないし世界において最も有名だったキリスト教系大学・燕京大学の歴史について説明してくださいました。近代中国とともに成長・融合した(燕京大学は1952年に北京大学に吸収合併)両大学のあゆみ、とくに旧燕京大学・現北京大学のメインキャンパスの建築、つまり伝統的な外観を有する伝統建築を例に「伝統」と「現代」の意味について講義してくださいました。
 最後に、凌先生は、「伝統」的な物を「伝統」として理解し保存する日本、「伝統」的な物を「現代」と理解して保存する中国、という結論で講義を締めくくられました。
 講義に参加した20数名の学生は熱心に講義を聞き、質問を通して更に理解を深めました。
 

〔OUEL協定校チャンネルとは〕

 今年度、新型コロナウイルスの感染拡大により海外留学を断念せざるを得なかった学生達に「世界と繋がる」時間と空間を提供したい、との思いから国際教育交流センター主体で企画・実施され、春学期には海外協定校から4名の先生方が講義をしてくださいました。学生に好評だったことから、秋学期に第2弾の実施が決定、10月から始まりました。秋学期は、様々な分野の専門家であるドイツや中国などの先生方が講義内容も多彩かつハイレベルな講義を用意してくれています。「世界の授業」を気軽に受講できる、コロナ禍中だからこそのチャンスです。日本にいながらにして現地さながらの授業を体感し、ぜひ「世界」とつながってください。
 

〔北京大学の概要〕

 同大学は1898年に北京の紫禁城の近くに設立された近代中国最初の国立大学です。現在、数学学部・化学部・生命科学部・工学部・経済学院・社会学系など35学部を擁しています。学部生・院生を含む在籍学生数は約3万人います。2020年9月2日にイギリスの高等教育情報誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が公表した「THE世界大学ランキング」での順位は、世界23位、アジア2位です。同大学が位置する北京市は、2000年以上の古い歴史を持ち、伝統中国の都と現代中国の首都として知られている都市です。
 本学は、1986年に北京大学と学術交流協定を締結して以来、教員・学生の相互交流を深めて参りました。

<これまでのOUEL協定校チャンネル>
第1回目(10月22日):ハワイ大学Edward J. Shultz教授
第2回目(11月12日):ドイツ・アーレン大学のHärting Ralf-Christian教授