2021.08.07 トピックス ウクライナ:タラス・シェフチェンコ記念キーウ国立大学 による特別講義 ―OUEL 海外協定校チャンネル 2021 第七弾― 学生生活 教育・研究 留学・国際交流



今回の「OUEL 海外協定校チャンネル 2021」の舞台は、「ヨーロッパの穀倉地帯」として知られるウクライナ。農業大国としての顔をもつほか、教会や大聖堂など歴史的な建造物を数多く有する観光国としても有名です。
 
講師としてお迎えしたのは、名門大学であるキーウ国立大学のFedotova  Yulia教授(以下、ユーリア教授)。専門は言語学・固有名詞額で、ウクライナ日本語教師会の会長としてもご活躍されています。今回は、「社会関係における相手の呼び方 ― 日本とウクライナの比較―」というテーマで講義を行っていただきました。

今回のTOIPCSでは、ユーリア教授の講義の中で特に興味深かった2つの論点について報告します。


 
 

ウクライナ語では「お兄ちゃん」という言葉を使わない!?

 
まず一点目は、呼称についてです。
日本では、「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」の呼称は、家族や親せきの間で良く使われる一般的な呼び方です。

一方、ユーリア教授によれば、ウクライナでは兄や姉が弟や妹に対して自分のことを指すときに「お兄ちゃんは」「お姉ちゃんは」という呼称を使わないそうです。そればかりか、英語のbrotherやsisterなど、明らかに「年上/年下」が分かるような、あるいはそれを基準にした呼び方自体がないそうです。



 
 

ウクライナ人の名前は書面でも省略OK


二点目です。
日本では、書面上で名前が省略されることは基本的にありません。たとえば、「経法太郎」という人が、大学のテストで「経法」とだけ書くと、先生から呼び出されて「フルネームで書きなさい」と注意されます。

一方、ウクライナではその省略方法はOKなのだそうです。
講義ではその理由について下のような説明がありました。
(1) ウクライナでは名字と名前の後ろに「父親の名前」をつけるのが正式な名前である。
(2) なので、フルネームをすべて書くと長すぎるので、名字だけ書くことが許されている。



 
 

言葉の違いは文化や歴史の違いを映す

 
「ことばの違いは文化や歴史の違い」と言います。各国の言葉を比較することで文化の違いが明らかになる面白さを、学生たちも十二分に感じられたようでした。PC一台を通じて、未知の世界を開拓する。これが「OUEL協定校チャンネル」の醍醐味です。

今回の講義は、アカデミックでありながらも、特に留学や国際的な学びを志向する学生達にとっては非常に実践的な内容でした。講義後のフィードバックでは「固有名詞学という学問があることを初めて知り、興味を持った」「もっと聞きたい/知りたい」等のコメントが多数寄せられました。
 



 

タラス・シェフチェンコ記念キーウ国立大学とは

1834年に設立されたウクライナを代表する国立大学です。正式名称には、ウクライナで最も偉大とされている芸術家・詩人であるタラス・シェフチェンコの名を冠しています。本学との交流もとても盛んで、コロナ前には、中長期の交換留学や短期の「日本研修プログラム」などを通して、互いに友情を育んできました。最近では、東京オリンピック柔道女子48キロ級で銅メダルに輝いたダリア・ビロディド選手が卒業した大学として紹介されました。



 

「OUEL海外協定校チャンネルとは」


「コロナ禍で留学に行けなかった学生にワクワクする体験を!」との強い想いで企画されたプログラムです。本学海外協定校による本学のためだけの特別講義。今年度は、世界15カ国・地域、16大学/教育機関の教授陣の授業を聞くことができます。【予告編はこちら
 
世界中の大学と本学を繋いで実施するリレ―講義です。参加者は毎回、新たな国・先生とつながり、そこで得た新たな発見をもとに、自分達の知る「世界」を広げていくことができます。

 
海外協定校チャンネルの参加者は随時募集しています。詳細はUNIVERSAL PASSPORT(在学生用ポータルサイト)をご覧ください。