2021.07.13 トピックス モンゴル国立大学による特別講義 ―OUEL 海外協定校チャンネル 2021 第六弾 ― 教育・研究 留学・国際交流

今回の「OUEL協定校チャンネル2021」の舞台は、前回の熱帯雨林が生い茂る熱帯の国インドネシアから、大草原が広がるモンゴルへと移りました。これもまた、オンラインプロジェクトの醍醐味の一つです。
 
近そうでいて、日本では意外とその実態を知る機会の少ない「モンゴル」という国。
みなさんは、どのようなイメージを持っていますか?

小学校の教科書で取り上げられている、モンゴルの民話『スーホの白い馬』。日本史で学ぶ、モンゴル帝国統一の立役者チンギス・ハン。いずれにしても、「大草原広がる遊牧民の国」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

しかし、現在のモンゴルは、目覚ましい近代化を背景に、急速に「近代国家」へと変貌を遂げ、さらには国際舞台で独特の存在感を放つ特色ある国として認知されています。
 
6回目の実施となった7月2日(金)の講義は、モンゴル国立大学のSukhee BATTULGA教授による「レジリエンスと多面的外交の限界:モンゴル国の事例」。

冒頭、「今のモンゴル」を写した数多くの写真と講師自身の日本留学エピソードが学生達の関心を引き付けます。そして講義は徐々に本題へと。

(1)遊牧と都会が共存するモンゴルの社会と伝統文化と形成過程、(2)ロシアと中国という大国の狭間にあるモンゴルの地政学的ポジション、(3)第三隣国と呼んでいる、日本、韓国、インド、アメリカなどとのバランス外交について。緻密に計算されたアウトライン、豊富なエピソードは学生達の耳目をさらに引き寄せていきます。

そして講義は結論へと。講師は、「モンゴルの国も、共同体も、ヒトも、抗うことのできない近代化、都会化の進展によって社会から急速に失われつつある「レジリエンス(=困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生きのびる力)」を、このような時代だからこそ、守り、高めていく必要があると説明して講義を結びました。
 
四角いスクリーンで切り取られた画面の向こうから、現地の「風」を感じることができるのも協定校チャンネルの醍醐味の一つ。時折目と耳をかすめる都市の喧騒、車のクラクション、ロシア語、モンゴル語の会話や文字が、遥か彼方の草原を吹く風と土を感じさせます。
 
講義を受けた学生たちからも、「新鮮で非常に興味深かった」「ぜひ一度モンゴルに行ってみたい」「驚きと興味でモンゴルについてもっともっと知りたくなった」「新型コロナウィルスでレジリエンスが一層求められる今、モンゴルから学べることがたくさんあった」など、熱のこもった感想が寄せられました。
 
人間は固定観念から自由にはなれないものです。ある国やヒトやモノに対して、ある固定されたイメージを抱きがちで、それが実像とは異なることも多々あります。果たして何人の学生が「モンゴルの都市」を想像し、国際政治におけるモンゴルの存在感について知っていたでしょう。「自分で確かめる」ことの大切さを学んだ講義でもありました。