市民アカデミア2017

 

連続講座 [1]
シベリア抑留研究――残された課題・新しい課題への挑戦
コーディネーター:有光健(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員、シベリア抑留者支援・記録センター代表世話人)
協力・後援:シベリア抑留研究会、シベリア抑留者支援・記録センター
開講日:10月28日(土)、11月25日(土)、12月16日(土)
開講時間:午後2〜5時

 市民アカデミアで「シベリア抑留」を取り上げるのは今年で4回目になる。戦後72年、抑留体験者の平均年齢は今年94歳で、直接話を伺うことはますます困難になってきているが、体験記や作品、記録はその体験を知る貴重な史料として残されている。新たに発見されたり、その価値が改めて注目されている絵画・スケッチ、音楽の系譜に焦点を当てて、具体的な作品・表現をとおして見えてくる抑留の体験・歴史を考える。抑留中の体験だけでなく、戦後の個人史、日本の社会・文化史にどのような影響を与え、今に伝えられているのか、という点も考察する。また、歴史的には、1945年以降の日ソ・日ロ関係だけでなく、広く世界史の中で掘り下げて、シベリア抑留の検証を試みる。

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第1回:10月28日(土) 午後2〜5時
四國五郎のシベリア体験を読み解く

四國光(元抑留者で詩画人・四國五郎氏長男)

《講義内容》
 四國五郎は「絵本おこりじぞう」の絵や、峠三吉「原爆詩集」の表紙・挿画を描いた画家として主に認知されているが、満州での戦争、シベリア抑留、そして弟の被爆死を経験しており、戦後一貫して、詩と絵を通して広島で幅広い平和運動を推進した。絵と詩と文章で、戦争、シベリア抑留、原爆の3つの負の歴史を表現し続けた人物は、日本でもあまり例がないと思われる。その中で特に四國の人生を大きく方向付けたのがシベリア体験だった。四國の表現活動の多くがシベリアでの体験を原点としている。死後、展覧会、TV特番、記事等を起点として、四國の表現活動再評価の動きが出ている。息子の目から見て、四國はどのような人生を送り、何を目指していたのか。シベリア体験を中心に据えながら振り返ってみたい。

《講師プロフィール》
四國光(しこく・ひかる、元抑留者で詩画人・四國五郎氏長男)
1956年広島市生まれ。詩と絵を通じて生涯広島で平和運動を推進した詩画人・四國五郎の長男。1979年早稲田大学第一文学部卒業。(株)電通入社。マーケティング局長、マーケティング・クリエーティブ局長。(株)電通コンサルティング取締役兼務。一貫して企画プランニング・コンサルティング領域を歩む傍ら、各種水中撮影プロデュース、サッカーのワールドカップ等、スポーツ関連事業にも携わる。職業潜水士。NPO法人吹田フットボールネットワーク設立代表。2016年に(株)電通を定年退職。

第2回:11月25日(土) 午後2〜5時
抑留体験者が伝えたロシア音楽の系譜

森谷理紗(モスクワ音楽院客員研究員)

《講義内容》
 現在「ロシア民謡」として日本人によく知られている様々な歌は、どのようなプロセスを経て日本に持ち込まれ、伝播していったのだろうか。それには戦後、シベリア各地の収容所に抑留された元日本人兵たちのロシアの音楽との出会いの体験が深く関係している。帰還後、音楽家たちは様々な活動を通して日本にロシアの音楽を伝える役割を担った。本講義では、抑留体験者のインタビューやその他の一次資料を基に調査した研究の一部を紹介する。「シベリア抑留」という歴史的事象を音楽学の視点から見た時に、浮かび上がってくる実像とはどのようなものか。様々な映像や音源と共に日本におけるロシア音楽の系譜を辿る。

《講師プロフィール》
森谷理紗 (もりや・りさ、モスクワ音楽院客員研究員)
東京藝術大学音楽学部楽理科、同大学院修士課程(音楽学)を経て渡露。グネーシン記念音楽大学研修後、チャイコフスキー記念モスクワ音楽院大学院で博士号(芸術学/音楽学)取得。同時に同音楽院作曲科3年に編入し、後卒業。2010年度日ロ青年交流センター若手研究者等派遣フェローシップ≪日本人研究者派遣≫受給。2011年モスクワ音楽家協会150周年記念音楽コンクール作曲部門グランプリ。2017年4月、著書『20世紀から21世紀初頭にかけての二つの音楽文化の相互作用:日本とロシア』(ロシア、サラトフ音楽院)出版。2017年帰国。

第3回:12月16日(土) 午後2〜5時
歴史としてのシベリア抑留――ロシア革命まで遡って考える

富田武(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授)

《講義内容》
 シベリア抑留は、私の中公新書『シベリア抑留』でも分かるように、第二次世界大戦の捕虜収容所と1930年代にソ連で形成された収容所群島という背景を知ることなしには十分に理解できない。さらに遡ると1917年のロシア革命に続く内戦の時期に生まれた政治警察(KGBの前身)、極北の白海ソロヴェツキー修道院に設けられた最初の収容所に辿り着く。階級闘争と、労働によって人間を矯正するという思想によって、非人間的な処遇が正当化された悲劇を100年後の今日あらためて考える。30年代後半には収容所はたんなる弾圧機関になり、職員はサディストで占められるが、実は「地獄への道は善意で敷き詰められていた」と言うべきであろう。

《講師プロフィール》
富田武 (とみた・たけし、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授)
成蹊大学名誉教授、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授。2010年、シベリア抑留研究会を設立、代表世話人。シベリア抑留関係の編著書:ユーラシア・ブックレットNo.178『コムソモリスク第二収容所』(東洋書店)、『シベリア抑留者たちの戦後―冷戦下の世論と運動・1945‐56年』(人文書院)、『シベリア抑留』(中公新書)、『シベリア抑留関係資料集成』(みすず書房)


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(※この講座は東京麻布台セミナーハウスで開催される講座です)

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<お問い合せ先> 大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター
〒106-0041 東京都港区麻布台1-11-5 東京麻布台セミナーハウス
TEL:03-5545-7789 FAX:03-5545-7788 E-mail:capp@keiho-u.ac.jp