市民アカデミア2016

 

連続講座 [1]
日ソ共同宣言・シベリア抑留帰還60年――日ソ/日ロ関係と帰還者たちの歩み
コーディネーター:有光健(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員、シベリア抑留者支援・記録センター代表世話人)
協力・後援:シベリア抑留研究会、シベリア抑留者支援・記録センター
開講日:10月8日(土)、11月5日(土)、12月10日(土)
開講時間:午後2〜5時

 今年は、1956年「日ソ共同宣言」(10/19)、ソ連・シベリアからの引揚げ終了(12/26)から60年に当たる。安倍首相はプーチン大統領との間で領土交渉や平和条約締結に積極的といわれるが、シベリア抑留にピリオドを打った1956年「日ソ共同宣言」が日本・ソ連/ロシアの戦後に与えた政治的・外交的・社会的な意義と課題について考える。昨年、一昨年に引き継いで、90歳を越える体験者の貴重な記憶と意見を聴き、抑留体験が戦後の個人史にどう反映されたのかを考える。抑留体験を父親や関係者から聴き、その体験を記録し、活字や漫画で伝える試みを、執筆者を招いて考える。

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第1回:10月8日(土) 午後2〜5時
「日ソ共同宣言」60年目の課題――領土・平和条約・抑留解明

講師:下斗米伸夫(法政大学法学部教授)

《講義内容》
 2016年、グローバル政治は新しい変動期にあるが、なかでも注目されるのはプーチン・ロシアの行方、そして日ロ関係での「新しいアプローチ」である。ウクライナ紛争後、ロシアはアジアシフトを顕著にしているが、安倍政権はG7伊勢志摩サミットを所管したこともあり、ロシアとのパイプ役ともなってきた。そうでなくともシリア紛争、ISのテロ、ヨーロッパでの移民危機などロシア抜きに世界政治は考えにくい。71年間進まなかった平和条約交渉、つまり領土問題解決は年末の大統領訪日で進むか。これからエネルギー関係が強化される可能性がある。経済でも安倍8項目が提案され、ロシアが狙う経済の多角化と「第4次産業革命」との接点が広がる。今後の日ロ関係を展望する。

《講師プロフィール》
下斗米伸夫(しもとまい・のぶお、法政大学法学部教授)
法政大学法学部教授。専門:ロシア政治・ロシア史、冷戦史、日ロ関係。1948年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。成蹊大学法学部教授を経て、1988年から現職。朝日新聞客員論説委員、2002‐04年まで日本国際政治学会理事長。2004-06年まで日ロ賢人会議メンバー。著書に『プーチンはアジアをめざす』(NHK新書、2014年)、『アジア冷戦史』(中央公論新社、2004年)、『日本冷戦史』(岩波書店、2011年)など、編著に五百旗頭真、トルクノフらと『日ロ関係史―パラレル・ヒストリーの挑戦』(東京大学出版会、2015年)など多数。

第2回:11月5日(土) 午後2〜5時
【追悼講座】加藤九祚さんのシベリア抑留体験―加藤九祚先生を悼む

講師:富田 武(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授)
   藤本和貴夫(大阪経済法科大学学長) ほか

《講義内容》
 今年9月12日にウズベキスタンで急逝された考古学者・加藤九祚国立民族学博物館名誉教授(94歳)のシベリア抑留体験は、昨年NHKテレビでも紹介され、話題を呼んだ。労働大隊長としてバム鉄道建設のための作業に関わった5年間の抑留体験は、苦渋に満ちたものだった。しかし、その中でのさまざまな出会いと発見が、その後の生き方に、はかり知れない大きな影響を与えてきたと生前語っておられた。ユーラシアの歴史・文明・文化をたどる旅を最後まで続けた加藤さんの独自の歩みと思いを映像と親交のあった研究者・元抑留者らの話でたどる。当初は加藤さんご本人にお話しいただく予定だったが、残念なことに実現できず、関係者の協力を得て、急きょ“追悼講座”に変更することとなった。シベリア現地での足取り、記憶や帰国直後の体験など貴重なエピソードも聞き、ひたむきに生きてこられた叡智と達観に触れ、世代と時空を超えた追悼の時間としたい。

《講師プロフィール》
富田武(とみた・たけし、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授)
1945年福島県生まれ。1971年東京大学法学部卒業、1981年大学院社会学研究科博士課程単位取得。成蹊大学教授、同アジア太平洋研究センター所長、法学部長など歴任。現在成蹊大学名誉教授、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授。2010年シベリア抑留研究会を設立、代表世話人。シベリア関係の編著書:ユーラシア・ブックレットNo.178『コムソモリスク第二収容所』(東洋書店)、『シベリア抑留者たちの戦後―冷戦下の世論と運動・1945-56年』(人文書院)

藤本和貴夫(ふじもと・わきお、大阪経済法科大学学長)
1938年京都府生まれ。大阪経済法科大学学長、大阪大学名誉教授、文学博士。日ロ極東学術交流会会長、ロシア東欧学会理事。ロシア近現代史、日ロ関係史、ロシア極東地域研究を専門とし、近年はシベリア抑留の研究にも取り組んでいる。『西洋近現代史研究入門(第3版)』(共編著、名古屋大学出版会)、『ロシア近現代史』(共編著、ミネルヴァ書房)、『言語文化学概論』(共編著、大阪大学出版会)、『ロシア学を学ぶ人のために』(編著、世界思想社)等、著書多数。

第3回:12月10日(土) 午後2〜5時
抑留体験の伝承と表現――体験はどこまで伝えられるか

講師:おざわ・ゆき(漫画家)、山崎まゆみ(フリーライター)

《講義内容》
 近年父親・母親の戦争体験・抑留体験をもとに作品を発表しているおざわ・ゆきさん、近所に住む抑留体験を持つ花火師のルポを著わした山崎まゆみさんの二人に、執筆の動機、戦後世代による伝承と表現の意義や面白さ、難しさや課題などについて対談形式で語り合っていただく。読者からの反応や、作品についての他からの意見・感想なども紹介いただき、記録や表現の可能性を一緒に考える。一部映像も上映予定。講師二人の代表作『凍りの掌』、『白菊』はぜひ事前に読んでおいていただきたい。伝説の花火師・嘉瀬誠次さん(94歳)は、今年第50回吉川英治文化賞、長岡市民大賞を受賞された。元抑留者の吉川英治文化賞受賞は、村山常雄さん(第40回)、遠藤尚次さん(第49回)に続いて3人目。

《講師プロフィール》
おざわ・ゆき(漫画家)
1964年愛知県名古屋市生まれ。1980年高校1年生で漫画家デビュー。夫・渡邊博光との共著『築地まんぷく回遊記』、『築地はらぺこ回遊記』(ぶんか社、2012年、2013年)、父の抑留体験を描いた『凍りの掌 シベリア抑留記』(小池書院、2012年・新装版=講談社、2015年)、母の空襲体験を描いた『あとかたの街』(講談社コミックプラスBE LOVE、2015年)で注目される。2012年第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞。2015年第44回日本漫画家協会賞コミック部門大賞受賞。

山崎まゆみ(やまざき・まゆみ、フリーライター)
1970年新潟県長岡市生まれ。フリーライター、温泉エッセイスト。日本だけでなく世界中の温泉をめぐり、レポート。著書に『ラバウル温泉遊撃隊』(新潮社、2009年)など多数。元抑留者の花火師を紹介した『白菊―伝説の花火師・嘉瀬誠次が捧げた鎮魂の花』(小学館、2014年)をもとに制作された「長岡花火のキセキ〜白菊とフェニックス〜」(2015.1.3.新潟放送、2016.6.18.BS-TBSが全国放送)は、今年第40回「JNNネットワーク協議会賞大賞」受賞。テレビ・ラジオの出演多数。


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(※この講座は東京麻布台セミナーハウスで開催される講座です)

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<お問い合せ先> 大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター
〒106-0041 東京都港区麻布台1-11-5 東京麻布台セミナーハウス
TEL:03-5545-7789 FAX:03-5545-7788 E-mail:capp@keiho-u.ac.jp