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教育研究 2017.02.20

「専門演習」(刑事法)のゼミ合宿で、国立ハンセン病療養所・邑久光明園、長島愛生園の訪問を実施

 2月15日(水)から16日(木)にかけて、「専門演習」(法学部 大場史朗准教授担当)の2年生~4年生合同のゼミ合宿で、国立ハンセン病療養所・邑久光明園、長島愛生園の訪問を実施しました(岡山県瀬戸内市邑久町、学生20名参加)。この取組は、わが国で約90年間にわたって続いたハンセン病強制隔離政策の歴史と現状を学ぶことで、これからの人生の幹となる豊かな人権感覚を涵養することを主な目的としています。また、学年横断の合宿とすることで、ゼミ生同士の相互交流も目的としています。

邑久光明園を訪問

 1日目は、「人間回復の橋」、邑久長島大橋を渡って、邑久光明園を訪問しました。光明園は、大阪府にあった外島保養院の代替移転先として1938年(昭和13年)に開設した施設です。光明園では、まず入所者の方の居室等を訪問して、生の体験談を聞きました。次に、職員の方の引率によって、園内の監禁室、しのびづか公園(旧火葬場跡、胎児等慰霊碑)、納骨堂をそれぞれ見学し、皆で黙祷を捧げました。最後に、社会交流会館の資料展示室を見学し、光明園の歴史と現状に対する理解をさらに深めました。

邑久光明園のかえで会館で映画鑑賞および宿泊

 1日目は、邑久光明園内のかえで会館に宿泊しました。会館では、映画「ふたたび」(監督・塩屋俊)を鑑賞し、映画という形でハンセン病に対する差別の根深さを学びました。
 夜は懇親会です。学生たちは終始なごやかな雰囲気のもと、光明園の施設見学の感想などを述べ合っていました。また、警察等に就職先が内定した4年生の「就活体験談」を、下級生は真剣に聞き、質問したりしていました。
 「隔離の島」に宿泊することで、学生たちはハンセン病問題を身近なものとして実感できたようでした。

長島愛生園を訪問

 2日目は、お隣の長島愛生園を訪問しました。愛生園は、1930年(昭和5年)に日本初の国立療養所として開設した施設です(初代園長・光田健輔)。まず、「ハンセン病政策の発信基地」であった旧事務本館の内部を改修した歴史館を見学し、学芸員の方の説明を聞きながら、ビデオや各種の展示資料を見て、ハンセン病強制隔離政策がもたらした隔離と差別の「傷あと」を学びました。次に、学芸員の方の引率で、収容桟橋、収容所、監房跡、納骨堂をそれぞれ見学しました。午後からは、愛生園自治会会長のお話を聞き、ハンセン病に対する理解を深めました。

ゼミ合宿を終えて

 2日間の合宿は、天気にも恵まれ、終始、瀬戸内海の美しい水面と突き抜けるような青空を眺めることができました。皮肉にも、それらの風景は、多くの入所者の人生を狂わせた「隔離の島」の歴史とは非常に対照的なものでした。担当教員も学生も、多くの苦難を強いられながら、懸命に生きた入所者の姿を学び、人間的にも成長できたように思います。法を学び、法律の歴史を学んでいるわたしたちも、このように強く生きたいものです。

「健ちゃん
萎えたその手にハーモニカは持てるか
いや 持たねばならない
その唇にドレミは唄えるか
いや 唄わねばならない

外には風が吹いている
外を吹く風は冷たい木枯らしだ
木枯らしは萎えた手の皮膚をいため足のひびわれに血をにじませる
そして ぼくらにはぼくらの風が吹いている

ああ ぼくらの心を吹く風よ
それは決して冷たくない
健ちゃん
萎えたその手にハーモニカを持てるか
いや 持たねばならない
その唇にドレミは唄えるか
いや 唄わねばならない」
(愛生園の歴史館で見た、近藤宏一作詞「ぼくらの風」より)

 法学部では、社会で活躍するための力を身に付けるため、今後も積極的に人権教育を行い、「他人の痛みを自分の痛みにすること」のできる人権感覚豊かな人材の育成を目指していきます。

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