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大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター(CAPP)ブログ

CAPP研究報告会~その②
[2010年08月03日(火)]

 

 岡本雅享さんによる研究会報告「日本における民族の創造」に引き続いて、国士舘大学准教授、鈴木江理子さんによる研究報告「非正規滞在者と日本社会 ~ 翻弄される非正規滞在者 ~」がおこなわれました。

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                  (一つ一つ丁寧に言葉を積み重ねてゆく鈴木江理子さん)

 鈴木さんは、2009年5月に明石書店より『日本で働く非正規滞在者 彼らは「好ましくない外国人労働者」なのか?』という著書を出版されています。今回の研究報告はこの成果を踏まえ、一般に「不法滞在者」と呼ばれている外国人労働者の現実の姿を、これまでの日本社会のあり方と絡めて捉えなおそうというものでした。

 報告では、主に、1980年代後半のバブル隆盛期、1990年代のバブル崩壊期、そして2000年以降の移民選別期と大きく3つの年代区分を設けて、それぞれの過程において、日本に在留する「非正規滞在者」と日本社会(政府、マスコミ、警察、雇用者など)が、相互にどういう関係だったかが語られました。

 1989年の入管法改正を境に、国内の非正規滞在者に対する日本社会の対応は厳格になりました。国内経済・労働力市場の盛衰に翻弄されながら、それでも、非正規滞在者は「正規ではない」あいまいな・ゆるやかな承認のなかで日本社会とのつながりを形成し、維持してきました。
 しかし、特に(一部の)「外国人不法滞在者による犯罪」がメディアによって取り上げられるようになると、「外国人不法滞在者 = 犯罪者」というイメージが広がり、国の「治安対策」が強化されました。その結果、非正規滞在者たちの不安は増大しましたが、彼・彼女らの人権を守る法や生活保障は不充分なままです。

 鈴木さんは上のように説明しながら、彼・彼女らを「不法」ではなく、「非正規滞在者」という言葉を用いて指す理由をおよそ次のように語っていました。

 ―本来そこにいるのは、国境や経済や法のあいだで翻弄されながらも、生きる手がかりを必要としている人たちのはず。けれども、「不法」という言葉を通して見ることで、彼・彼女らがいかなる処遇を受けたとしても「しょうがないことだ」とみなしたり、彼・彼女らの現実を見てみぬフリしてしまう。
 法はつねに不備を伴うし、法によってむしろ彼・彼女らのような状況が生まれるといえなくもない。それでも、その法には彼・彼女らの日本国内での生活が合法化されうる可能性についての規定がある。だから、端的に「不法」と見なすのではなく、「非正規」に滞在している人たちとして捉えなおす必要がある―

 「多文化共生」という言葉が多用される時代ですが、鈴木さんの研究報告はその本質に迫る上で避けることのできない重要な課題であるように感じられました。

 

                                                         以上

 

 

プロフィール

「本学の東京麻布台セミナーハウスを活動拠点として、人権、平和、人間の安全保障、多文化共生を主要なテーマに多彩な研究活動を展開しています。
(写真:スタッフ愛用のメジャー、「まいなーくん」。こう見えてもCm/Inch 両用の優れもの)」
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