トップページ | シラバス |  
 
    授業内容詳細

 産業組織特論
   Special Lecture on Industrial Organization
授業科目区分
専門科目・応用経済学科目群・地域経済関連領域科目群
担当者 宮本 良成(教授)
テーマ 産業組織の分析に必要な基本的概念、企業の間の相互依存関係、および企業の内部組織
キーワード 産業組織論とは,完全市場競争と不完全競争市場,独占企業の価格設定,自然独占と規制,参入の経済効果,寡占市場の理論,市場支配力,M&Aと企業結合規制,モジュール化,垂直統合vs垂直分裂
開講年度
2017
開講時期
後期
配当年次
修士1・2
単位数
2
授業の目的及び概要  本講義は3部から構成される。まず、産業組織論の課題と歴史、そしてそれの学修に不可欠である基礎知識、すなわち費用関数、規模の経済、範囲の経済等を学修する。次に、独占および寡占市場を分析するのに必要な均衡、経済厚生、利益率等の諸概念を解説する。これらの基礎の上に、産業分析に必要な概念である市場構造、企業行動そして市場の成果等を講義する。第2部ではゲーム理論を利用して寡占企業の相互依存関係、そして経営戦略を議論するときに、有用になる「企業の戦略的行動とは何か」を学修する。それらは戦略的参入阻止論、製品差別化、そしてR&Dと先行者優位を含む。第3部では新しい企業理論、すなわちエージェンシー理論、取引費用論、所有と財産権アプローチを学修する。また、近年話題になっているテーマである「垂直統合」と「企業の境界」を講義する。最後に、東アジアにおいて展開されている生産ネットワークと、それを理解する際のキーワードである「モジュール化」及び「垂直統合vs垂直分裂」を学修する。
学修の到達目標  本講義にとってはミクロ経済学の知識は予備的前提である。「産業組織論」において産業組織の分析に必要な基本概念、企業の間の相互依存関係、およびミクロ経済学では暗箱になっている企業の内部組織の問題を学修する。これらの知識を応用して、国際的な生産ネットワークの一部に組み込まれた地域経済における現実の産業および企業の分析を行うことを目指す。また、グローバルな競争にさらされた地域社会における現実の産業、企業の戦略的行動に関して説明できる能力を修得させることを主眼とする。
科目の位置づけ(DP・CPとの関連)  この科目は「応用経済学科目群」の中の「地域経済関連領域科目群」に属する。この科目と学位授与方針(CP)との関係等については、履修要項pp. 35-37「教育課程の編成・実施の方針」及びpp. 44-45「履修指導と履修モデル」を参照してください。
授業の方法  講義形式で授業を行う。講義の中から特定のテーマを抜き出して、それに関係する記事を日本経済新聞から探し出す。これらに関係するテーマを設定して、課題の提示を行う。解答をレポートにまとめるときに、学修した基礎知識、例えば経済用語が正確にレポートに生かされるように指導する。提出されたレポートに基づいて議論を行い、討論する。経済用語が正確に理解されているか否か、が焦点になる。学期末にはレポート課題を提出させる。
授業外の学修(予習・復習等)  授業計画で毎回取りあげられるテーマと内容を確認し事前に予習するとともに、授業後は復習し、知識・技能の定着に努めること。
教科書・参考書 教科書:とくに定めない。
参考書:下記以外の参考書については、講義において提示する。
(1)青木昌彦、安藤晴彦(編著)『モジュール化』東洋経済新報社、2002年。
(2)泉田成美、柳川 隆(共著)『プラクティカル 産業組織論』有斐閣アルマ、2008年。
(3)伊丹敬之、藤本隆宏、岡崎哲二、伊藤秀史、沼上 幹(編)『日本の企業シス   テム』第II期第2巻 企業とガバナンス、有斐閣、2005年。
(4)Milgrom, Paul and John Roberts, Economics, Organization
and Management, Prentice Hall, 1992,(奥野正寛他訳『組織の経済学』NTT出版、1997年)。
(5)Tirole, Jean, The Theory of Industrial Organization,
Massachusetts: The MIT Press, 1988。
評価方法及び判定基準 評価方法:授業時の問題あるいは課題(30%)、期末レポート(70%)
判定基準は以下のとおりである。
 秀:90点以上、優:80点以上、良:70点以上、可:60点以上、不可:60点未満


第1回 ガイダンス

産業組織特論の概要
参考書の紹介

第2回 産業組織分析の基礎

産業組織論の課題と歴史

第3回 費用とその決定要因

費用関数、規模の経済、範囲の経済等の説明

第4回 需要、競争そして経済厚生

独占および寡占市場における均衡、経済厚生、利益率

第5回 市場構造、企業行動そして市場の成果

市場支配力、集中度および市場画定

第6回 企業の戦略的行動とゲーム理論

ゲーム理論と企業の戦略的行動の関係の説明

第7回 戦略的参入阻止論とコミットメント

ベイン=シロスに始まる戦略的参入阻止論の解説

第8回 製品差別化と競争

垂直的製品差別化と水平的製品差別化に関わるモデルの解説

第9回 R&Dと先行者優位

先行者が有利か、あるいは後発者が有利か

第10回 カルテルと暗黙の協調

企業間において暗黙の協調が成立する条件の提示

第11回 企業の境界

企業を市場と分かつ境界とは何か、内製かあるいは外注か

第12回 企業の境界と伝統的ミクロ経済学

伝統的ミクロ経済学による垂直統合の説明

第13回 新しい企業理論

エージェンシー理論、取引費用論、財産権アプローチ

第14回 生産ネットワーク

東アジアにおいて展開される生産ネットワーク
モジュール化
垂直統合vs垂直分裂

第15回 まとめ

アジアにおける分業構造の変化
水平的産業内貿易と垂直的産業内貿易