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    授業内容詳細

 地方財政特論
   Special Lecture on Local Public Finance
授業科目区分
専門科目・応用経済学科目群・地域経済関連領域科目群
担当者 中井 英雄(教授)
テーマ 地方財政の理論と諸外国の制度比較分析
キーワード 地方分権,分権化定理,比較制度分析,コミュニティ,ボランタリー部門
開講年度
2017
開講時期
後期
配当年次
修士1・2
単位数
2
授業の目的及び概要 本講義の内容は、地方分権下の国と地方の財政関係において、第1に公共財の最適供給をめぐるティブーの足による投票やオーツの分権化定理など地方分権の経済理論を修得させる。第2に日本やイギリス、ドイツの比較制度分析を通じて、公民の役割分担を決める補完性の原理と固定・移動・定住化社会のコミュニティやボランタリー部門で類型化できる手法を修得させる。第3に地元自治体等へのフィールド・ワークによる体験学修の成果を理論・制度に接合する分析手法を修得させる。
学修の到達目標 本講義の学修目標は、「地方財政」において、英語の学術論文が読解できるようにするとともに、公共経済学アプローチによる応用ミクロ経済学の理論と、制度論アプローチによる仕組みと沿革の比較制度分析と、地元自治体等へのフィールド・ワークによる体験学修の成果とを接合する分析手法を修得させる。
 (この科目の位置づけ、学位授与方針との関係等については、履修要項p.35-37「教育課程の編成・実施の方針」及びp.44-45「履修指導と履修モデル」を参照してください。)
科目の位置づけ(DP・CPとの関連) DP「経済学部経済学科では、雇用、財政、金融、貿易をはじめとする現代社会の経済現象や課題を理解し、倫理と公共性と責任感を持って、グローバル化する現代社会の諸課題に創造的に対応できる人材の育成を目指している。」ため、この授業では、「地方財政」を中心に、その理論と諸外国の制度を講義する。また、CP「大学における専門学修の補完をはじめとし、自分の興味・関心、将来の進路志望に合わせて知識を広める、就業力と豊かな感性を身につけることができるように」、修士論文の作成や就職内定をとるための基礎を修得させる。
授業の方法  教科書にしたがって理論と制度を解説し、フィールド・ワークによる体験学修の成果と理論・制度を接合したデータ分析の結果を報告させる。
授業外の学修(予習・復習等) 授業計画で毎回取りあげられるテーマと内容を確認し事前に予習するとともに、授業後は復習し、知識・技能の定着に努めること。
教科書・参考書 教科書:中井英雄(2007)『地方財政学-公民連携の限界責任-』有斐閣。
参考書:Cornes, R. and T. Sandler (1996), The Theory of Externalities, Public Goods,and Club Goods -2nd ed., New York: Cambridge University Press
 Mochida, Nobuki,(2008), Fiscal Decentralization and Local Public Finance in Japan, London: Routledge.
 Wellisch, D. (2000), Theory of Public Finance in a Federal State, Cambridge: Cambridge University Press.
 Wildasin, D. E. (1986), Urban Public Finance, New York: Harwood.
 齊藤愼編(2012) 『地方分権化への挑戦-新しい公共の経済分析』大阪大学出版会。
 中井英雄・齊藤愼・堀場勇夫・戸谷裕之(2010)『新しい地方財政論』有斐閣。
 堀場勇夫(2008)『地方分権の経済理論』東洋経済新報社。
 持田信樹(2004)『地方分権の財政学-原点からの再構築』東京大学出版会。
評価方法及び判定基準  評価方法:授業時の発表 40%、期末レポート 60%
 判定基準:
 秀:90点以上、優:80点以上、良:70点以上、可:60点以上、不可:60点未満


第1回 国と地方の機能分担

 この授業では、公共財の資源配分と社会保障の所得再分配について、国と地方の機能分担の考え方を修得させる(教科書1章)。

第2回 移動社会の足による投票

 この授業では、ティブーの足による投票を図解して、地方公共財のパレート最適に関する経済理論を修得させる(1章)。

第3回 固定社会の分権化定理と限界的財政責任

 この授業では、オーツの分権化定理を図解して、地方団体の税率操作権を行使する限界的財政責任の考え方を修得させる(1章)。

第4回 地方政府組織とクラブ財の理論

 この授業では、クラブ財の理論を図解して、地方団体の最適人口規模と、多様な地方政府組織の考え方を修得させる(2章)。

第5回 福祉移住と生活保護

 この授業では、福祉移住のナッシュ均衡解を図解して、「給付引き下げの地域間競争」の考え方を修得させる(2章)。

第6回 日本の地方政府組織と事務・税源配分

 この授業では、都道府県と市町村の完全2層制や人口規模による権能差と、事務・税源配分の考え方を修得させる(2章、6章)。

第7回 地方財政計画と地方交付税

 この授業では、地方財政計画の財源保障と、U字型の需要額と線形の収入額の差額である交付税の実証分析手法を修得させる(6章)。

第8回 フィールド・ワークによる市町村財政の分析

 この授業では、特定の市町村のフィールド・ワークによる体験学修等の成果を報告させ、決算様式の考え方を修得させる(中井他:2010、3章)。

第9回 フィールド・ワークによる都道府県の財政分析

 この授業では、特定の都道府県のフィールド・ワークによる体験学修等の成果を報告させ、財政健全化法の考え方を修得させる(中井他:2010、3章)。

第10回 イギリスの地方政府組織と事務・税源配分

 この授業では、一層制の地方政府組織や、カウンシル税の単一税制を可能とする事務配分の考え方を修得させる(5章)。

第11回 歳入援助交付金と限界的財政責任

 この授業では、歳入援助交付金の仕組みを図解して、税率操作権を行使する限界的財政責任の実例とその考え方を修得させる(5章)。

第12回 ドイツの地方政府組織と事務・税源配分

 この授業では、郡を含む多層制の地方政府組織や、地方所得税を含む複数税制を余儀なくさせる事務配分の考え方を修得させる(4章)。

第13回 郡と市町村の基準交付金と限界的財政責任

 この授業では、郡と市町村の基準交付金の仕組みを図解して、郡納付率の限界的財政責任の実例とその考え方を修得させる(4章)。

第14回 フィールド・ワークによる体験学修等の成果との接合

 この授業では、都道府県や市町村へのフィールド・ワークによる体験学修等の成果を踏まえ、国際比較の考え方を修得させる(9章)。

第15回 総括

 この授業では、各国の地方財政制度の違いがコミュニティとボランタリー部門に起因する考え方を修得させる(7章、9章)。