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    授業内容詳細

 財政学特論
   Special Lecture on Public Finance
授業科目区分
専門科目・応用経済学科目群・地域経済関連領域科目群
担当者 中井 英雄(教授)
テーマ 国家財政の理論と制度
キーワード 公共財の最適供給,消費税,社会保障の所得再分配,租税帰着,最適課税,租税競争,所得税,法人税
開講年度
2017
開講時期
前期
配当年次
修士1・2
単位数
2
授業の目的及び概要 本講義の内容は、国家財政において、第1に公共経済学アプローチによる公共財の最適供給や社会保障の所得再分配、一般均衡の租税帰着や最適課税、租税競争などの理論を修得させる。第2に制度論アプローチによる国家予算の社会保障費や地方財政関係費、所得税や法人税、消費税の制度的仕組みを修得させる。第3に理論と制度を接合させるデータ分析の手法を修得させる。
学修の到達目標  本講義の学修目標は、「国家財政」において、英語の学術論文が読解できるようにするとともに、公共経済学アプローチによる応用ミクロ経済学の理論と、制度論アプローチによる仕組みと沿革の比較制度分析とを接合するデータ分析の手法を修得させる。
 (この科目の位置づけ、学位授与方針との関係等については、履修要項p.35-37「教育課程の編成・実施の方針」及びp.44-45「履修指導と履修モデル」を参照してください。)
科目の位置づけ(DP・CPとの関連) DP「経済学部経済学科では、雇用、財政、金融、貿易をはじめとする現代社会の経済現象や課題を理解し、倫理と公共性と責任感を持って、グローバル化する現代社会の諸課題に創造的に対応できる人材の育成を目指している。」ため、この授業では、財政学を中心に、その理論と諸外国の制度を講義する。また、CP「大学における専門学修の補完をはじめとし、自分の興味・関心、将来の進路志望に合わせて知識を広める、就業力と豊かな感性を身につけることができるように」、修士論文の作成や就職内定をとるための基礎を修得させる。
授業の方法  理論と制度を解説し、理論と制度を接合したデータ分析の結果を報告させる。
授業外の学修(予習・復習等) 授業計画で毎回取りあげられるテーマと内容を確認し事前に予習するとともに、授業後は復習し、知識・技能の定着に努めること。
教科書・参考書 教科書:使用しない。
参考書:
 Miles, D., G. D. Myles and I. Preston,(2003), The Economics of Public Spending, Oxford University Press.
 Rosen, H.S. and T. Gayer (2010), Public Finance 9th ed., McGraw-Hill.
評価方法及び判定基準  評価方法:授業時の発表 40%、期末レポート 60%
 判定基準:
 秀:90点以上、優:80点以上、良:70点以上、可:60点以上、不可:60点未満


第1回 激動の先進諸外国の経済と財政の対応

 この授業では、1980年代のレーガンやサッチャーの新自由主義の台頭で、英米の小さな政府と欧州の福祉国家との分化の考え方を修得させる。

第2回 財政の3機能と公共財の性質による分類

 この授業では公共財の資源配分や社会保障の所得再分配、経済安定の3機能と、純粋公共財と準公共財の分類の考え方を修得させる。

第3回 リンダール均衡と囚人のジレンマ

 この授業では、純粋公共財のリンダール均衡がパレート最適のサミュエルソン条件を満たすことや、この実行不可能性を証明する戦略ゲームの考え方を修得させる。

第4回 準公共財の外部性:補助金とピグー税

 この授業では、準公共財について、正の外部性に対する補助金と負の外部性のピグー税の考え方を修得させる。

第5回 国家予算と社会保障制度

 この授業では、社会保障制度の背景となる情報の非対称性やモラル・ハザード、保険の逆選択の考え方を修得させる。

第6回 地方財政関係費の財政調整制度

 この授業では、国と地方の政府間財政移転の根拠となる財政連邦主義の考え方を修得させる。

第7回 アダム・スミスやワグナーの租税原則の変遷

 この授業では、勃興期の4原則や発展期の9原則から、成熟期の公平・中立・簡素の3原則への変遷の考え方を修得させる。

第8回 水平と垂直の負担の公平

 この授業では、「等しい人々の等しい取扱い」の水平的公平の確保と、垂直の「異なる人々の異なる取扱い」が累進課税を導くかの考え方を修得させる。

第9回 中立性と最適課税

 この授業では、超過負担を最小化させる最適課税のラムゼイ・ルールを導出し、公平と効率のトレード・オフの考え方を修得させる。

第10回 租税の転嫁・帰着

 この授業では、租税の転嫁・帰着の一般均衡理論と実証分析の手法を修得させる。

第11回 包括所得税と超過累進税率

 この授業では、所得税のイロージョン(漏れ)で、課税ベースがGDPの25%にすぎないことの実証手法を修得させる。

第12回 法人税制と国際化の資本税競争

 この授業では、資本税の地域間競争のナッシュ均衡が公共財の過小供給(底辺への競争)になる考え方を修得させる。

第13回 消費税の仕入れ税額控除

 この授業では、消費税が取引高税の課税の累積(tax on tax)を避けるため、仕入れ税額控除が制度的に必要という考え方を修得させる。

第14回 国債の発行・償還とリカードの中立命題

 この授業では、建設国債と赤字国債の発行と借換債による償還の仕組みを踏まえて、リカードの中立命題の考え方を修得させる。

第15回 総括

 この授業では、公共財の最適供給、社会保障の所得再分配、租税制度や課税理論(最適課税、租税帰着、租税競争)の考え方と分析手法の展望を修得させる。