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    授業内容詳細

 計量経済学特論Ⅲ
   Special Lecture on Econometrics Ⅲ
授業科目区分
専門科目・経済理論科目群
担当者 井上 勝雄(教授)
テーマ 経済現象に関する実証的アプローチの分析能力の修得(3)
キーワード 時系列分析,VARモデル
開講年度
2017
開講時期
前期
配当年次
修士2
単位数
2
授業の目的及び概要 経済学の分野では、GDP、株価、為替レートなど、多くの時系列データが扱われる。時系列分析の目的は、このような時系列データが持っている多様な特徴を記述できるモデルを構築し、それらのモデルを基に、目的に応じた分析を行うことである。分析の目的としては、まず、時系列データに関して何らかの予測を行うことが挙げられる。次に、変数間の動学的関係を明らかにすることが挙げられる。また、政策評価なども行われる。このような分析を行うために必要な、時系列分析の手法を修得させることが、本講義の目的である。具体的には、VARモデル、ボラティリティ変動モデル、単位根、共和分などを扱う。
学修の到達目標 本講義の学修目標は、経済学の分野で扱われる様々な時系列データの分析に必要な時系列分析の手法について講義し、学生が各自の研究テーマに応じて、修士論文の作成に必要な時系列データの分析を行う能力を修得させることである。
(この科目の位置づけ、学位授与方針との関係等については、履修要項p.35-37「教育課程の編成・実施の方針」及びp.44-45「履修指導と履修モデル」を参照してください。)
科目の位置づけ(DP・CPとの関連) この科目は、学位授与の方針(DP)に定める、学生が学修と経験を通じて身につける知識や能力のうち、次に該当する。
1. グローバル化・複雑化する経済現象の分析方法としての理論的、実証的及び歴史的アプローチを修得している。
2. 経済学に関する高度の専門知識を備え、現代社会が直面する経済的諸問題に対して解決の方策を提案する能力を修得している。
授業の方法  教科書は指定しないで、講義レジュメを配布する。講義レジュメは、ほぼ、Enders, W.(2014), Applied Econometric Time Series, 4th-ed., Wiley.に準拠している。全体を通じて次週の講義内容について、適宜挙げる文献の予め熟読する箇所を指示する。授業中の演習および課題を課して、受講生の理解を確認する。
授業外の学修(予習・復習等) 授業計画で毎回取りあげられるテーマと内容を確認し事前に予習するとともに、授業後は復習し、知識・技能の定着に努めること。
教科書・参考書 参考書:
Enders, W.(2014), Applied Econometric Time Series, 4th-ed., Wiley.
沖本竜義・井上智夫訳『時系列解析(上下)』シーエーピー出版株式会社(Hamilton, J.(1994), Time Series Analysis, Princeton University Press.)。
田中勝人(2006)『現代時系列分析』岩波書店。
評価方法及び判定基準 毎週の授業の演習と課題(50%)、中間テスト(20%)、期末試験(30%)によって総合的に評価する。
 秀:90点以上、優:80点以上、良:70点以上、可:60点以上、不可:60点未満


第1回 回帰分析と時系列分析

古典的な回帰分析をベースにしたいわゆる計量モデル分析と、先験的な仮説を想定しない時系列解析とを対比して、その利活用に関するメリットとデメリットについて講義する。

第2回 定常時系列モデル(1)

経済学の領域で取り扱われる時系列分析で、典型的な分析モデルとして、AR(自己回帰)、MA(移動平均)、ARMA(自己回帰移動平均)の定式化およびそれらの特徴を解説する。

第3回 定常時系列モデル(2)

AR、MA、ARMAなどの中から最適なモデルを選択し、予測を行うためのボックス・ジェンキンス法について講義する。

第4回 ボラティリティ変動モデル(1)

金融市場ではボラティリティ(分散)が特徴的な動きをすることが多い。金融データの分析に必要なボラティリティ変動モデルの中で、ARモデルの考え方を分散のモデルに応用したARCHモデルについて講義する。

第5回 ボラティリティ変動モデル(2)

ボラティリティ変動モデルの中で、より少ないパラメータで条件付き分散の長期にわたる自己相関構造を記述することができる、GARCHモデルについて講義する。

第6回 単位根過程(1)

経済データの中には、定常過程がもつ性質(トレンドがない、平均回帰性をもつ)を満たさないデータが多い。そのようなデータをモデル化する際に有用な、単位根過程の性質について講義する。

第7回 単位根過程(2)

単位根過程を検定するための代表的な単位根検定である、ディッキー・フラー検定について講義する。

第8回 ベクトル自己回帰(VAR)モデル(1)

自己回帰過程を拡充する形として、ベクトル自己回帰(VAR)モデルの定式化とその利活用について解説する。

第9回 ベクトル自己回帰(VAR)モデル(2)

時系列分析と従来の古典的な回帰分析の融合を図るべく構造VARモデルについて解説する。

第10回 ベクトル自己回帰(VAR)モデル(3)

時系列分析において、明確な経済理論を必要とせず、データだけから経済変数間の因果性を判断できる概念として、グレンジャー因果性について講義する。

第11回 ベクトル自己回帰(VAR)モデル(4)

グレンジャー因果性について定量的な解析を行うためのツールである、インパルス応答関数について講義する。

第12回 共和分と誤差修正モデル(1)

単位根系列の線形結合が定常的となるような単位根系列の間には共和分の関係があるという。このような共和分関係の検定を行うための、エングル・グレンジャー共和分検定について講義する。

第13回 共和分と誤差修正モデル(2)

共和分関係にある2つの単位根過程について、誤差修正項を用いてVARモデルで表現するための、誤差修正モデルについて講義する。

第14回 状態変化を伴うモデル(1)

ある閾値を境にモデルが大きく変化するような時系列データをモデル化する際に有用な、状態変数が離散的に変化するモデルである閾値モデル(Threshold Model)について講義する。

第15回 状態変化を伴うモデル(2)

閾値モデルを、状態が徐々に変化することを許すように拡張した、平滑推移モデル(Smooth Transition Model)について講義する。