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    授業内容詳細

 経済統計学特論
   Special Lecture on Economic Statistics
授業科目区分
専門科目・経済理論科目群
担当者 井上 勝雄(教授)
テーマ 経済学の実証分析にとって必要なデータの統計処理
キーワード 産業連関表,国民経済計算
開講年度
2017
開講時期
前期
配当年次
修士1・2
単位数
2
授業の目的及び概要  経済学の様々な領域に共通して必要な経済統計資料の出所、そのデータの性質、特徴等を解説し、実証分析にとって必要なデータの統計処理に関する手法や考え方を詳述する。これらの修得すべき内容を、現実の統計資料のうち、様々な領域に共通して必要な産業連関表、国民経済計算、鉱工業生産指数、景気動向指数、物価指数、賃金指数といった重要な統計データを取り上げるなかで講義する。さらに受講生の理解を深めるため、関連するテーマごとに演習を課す。そしてこのことによって、受講生が将来取り組むべき課題に対しても応用できる分析力が身につくようにしたい。
学修の到達目標 実証的な学修研究に際して、経済学の様々な領域に共通して必要な経済統計データの出所、特徴、性質などに関する知見を理解する。その上で、実証分析にとって必要な記述統計的な指標の意味するところ、指標作成の手順、様々な指標との関連性などを、講義と演習を通して修得することが本授業の目標である。
科目の位置づけ(DP・CPとの関連) この科目の位置づけ、学位授与方針との関係等については、履修要項p.35-37「教育課程の編成・実施の方針」及びp.44-45「履修指導と履修モデル」を参照してください。
授業の方法  教科書は指定しないで、講義レジュメを配布する。次週の講義内容について、参考書に挙げた文献の予め熟読する箇所を指示する。授業中の演習および課題を課して、受講生の理解を確認する。
授業外の学修(予習・復習等) 授業計画で毎回取りあげられるテーマと内容を確認し事前に予習するとともに、授業後は復習し、知識・技能の定着に努めること。
教科書・参考書 特定の教科書は指定しない。講義に先立って、講義レジュメを配布する
参考書:
 田中勝人『経済統計』岩波書店
 梅田雅信・宇都宮浄人『経済統計の活用と論点』東洋経済新報社
 井上勝雄『経済統計の計量分析』ミネルヴァ書房
評価方法及び判定基準  毎週の授業の演習と課題(50%)、中間テスト(20%)、期末試験(30%)によって総合的に評価する。
 秀:90点以上、優:80点以上、良:70点以上、可:60点以上、不可:60点未満


第1回 経済活動と経済循環

経済活動は生産と消費に大別でき、経済活動する主体を4つに大別できる。生産要素およびその要素報酬、さらには消費財、投資財、投入財といった財・サービスと、それらを交換する市場といった基礎的な概念を踏まえて、投入産出表による経済循環の把握を講義する。投入産出表の見方、投入係数の定義とその利活用について講義し、これらの概念に馴染むべく演習を行う。

第2回 産業連関の実際

投入産出表の理解から実際の産業連関表を提示する。投入係数、各産業の需要と供給、ある産業の需要増加による他の産業への波及効果、および所得への波及効果の考察を解説し、演習を通して経済学的思考を深める。

第3回 産業連関分析を行列・ベクトルで表す~線形数学(1)

前の週に講義した産業連関のシステムを行列・ベクトルによって提示する。このテーマを拠り所に、経済学の数量分析にとって必要な線形数学の基礎を修得させる。今週は、特に行列ベクトルの四則演算を中心とした線形数学に、講義と演習を通して親しむ。

第4回 波及効果と逆行列~線形数学(2)

前々週で、産業連関システムにおける派生需要の分析を講義した。行列ベクトル表示したシステムでは、行列の逆行列を定義することになる。したがって、前の週に引き続いて、今週は、特に行列の逆行列の議論を中心とした線形数学に、講義と演習を通して親しむ。

第5回 純生産とGDP

一つの財の価値構成を図示することによって、および投入産出表による経済循環の把握によって、経済社会全体の経済活動水準をどう把握できるかを講義する。そうして「国民経済計算」を提示し、生産面、分配所得面、支出面からGDPの把握を解説する。

第6回 成長会計による要因分析

経済学における定義式を用いるだけの成長会計と呼ばれる手法を詳述する。まず、支出項目による成長会計を提示する。GDPの支出項目に焦点を当てた経済成長を概観する。さらに、国内総生産GDPの成長にどの産業の生産がどれだけ寄与したかを数量的に把握する。産業構造に視点をあてた経済成長の要因を概観するのである。また、各生産要素がどれ程GDPの成長に寄与したかを、いわば供給面からの経済成長の要因も概観する

第7回 GDPと生産指数

GDPの推計とその公表にはかなりの時間がかかる。その点、鉱工業生産指数は月次データで公表されるので、鉱工業生産指数の動きを観察することで、各時点の経済状況が把握される。そこで、鉱工業生産指数からGDPを予測すべく、両者の変動の関連性を考察する。

第8回 経済変動の種類

一般に、景気循環あるいは景気変動と言われる経済変動の種類について4類型を説明する。その後、それぞれ適切な経済指標を適切なグラフ化によって、在庫循環の把握、景気循環=設備投資循環の把握を詳述する。

第9回 景気動向指数

景気を判断する指標として、月次で公表される鉱工業指数の他に、景気動向指数が公表されている。先行系列、一致系列、遅行系列からなるディフュージョン・インデックス(DI)、景気の量感まで表そうとするコンポジット・インデックス(CI)を解説する。

第10回 物価指数

所得や、財・サービスの生産量や消費量といった経済変量の実質量を把握するため、名目と実質を識別する物価指数を理解しなければならない。消費者物価指数、企業物価指数の資料を取り上げ、ラスパイレス方式、パーシェ方式、インプリシットデフレータなど算式を解説する。なお、演習によって理解を深める。

第11回 季節変動調整

日本経済における賃金指数について実際の資料を提示し解説する。さらに、物価、賃金だけでなく、一般に、多くの経済変量を、経済社会に内在する変動要因、気候や社会制度に起因する1年周期の季節的変動と、不規則的変動とに分類する考え方を詳述する。なお、関連する演習により理解を深める。

第12回 主成分分析(1)

主成分分析は、記述統計的な観点から、しばしば経済統計学あるいは計量経済学の領域で活用される。多数の景気動向指数から一つの景気指標を抽出する方法として、主成分分析を解説し、その利活用に親しむよう講義する。

第13回 主成分分析(2)

前の週の講義で、多数の経済系列から一つの重要な経済指数を作成する考え方から、主成分分析の応用を講義した。今週は、例えば市町村別の、地域データによって、各地域の特性を類型化する方法として主成分分析が活用できることを解説する。

第14回 家計の所得と消費

GDPを構成する様々な支出項目のうち、民間の消費支出が最大項目であって、その動向は重大であると言える。年収と消費支出の格差、費目別消費支出の特徴、各階級間の所得と支出の格差といったテーマに関して、様々な記述統計とローレンツ曲線、ジニ係数といった分析手法を講義し、演習を通して一層理解を深める。

第15回 費目別消費関数の計測

所得階層別の消費支出構造を分析の対象にして、所得水準と項目別の消費支出額を例に、2変量の共分散および相関係数といった記述統計を説明する。さらに、費目別消費関数の計測に関する回帰分析の考え方と実証方法を詳述する。家計の費目別消費関数については、時系列的な変化の計測をも含めて、議論・考察を深めるため演習を重視する。