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    授業内容詳細

 社会科教育法
   Teaching Methods of Social Studies
授業科目区分
教職課程科目・教職に関する科目
担当者 前田 晴人(客員教授)
グレード
テーマ 社会科授業のための学習指導理論と方法と実践
キーワード 知識と教養,自己表現力,他者認識,自己変革
開講年度
2018
開講時期
通年
配当年次
経済学部・法学部2・3・4
単位数
4

授業の目的及び概要 将来に中学校社会科の教員を目指す学生が対象になる講義で、教員になるために必要な資質を涵養する授業を行います。講義では様々なテーマを設定した模擬授業を行います。人前で話すことが苦手な者が、教科書に記載された事項をきちんと相手に伝える能力と技術、定説になっている事項や自分なりの価値観・世界観を整除して、対象とする問題を広く深く理解し、それらをわかりやすく説得力をもって伝えられるかどうかが重要です。また本講義ではより深い知識を身につけ世の中の出来事を多方面・多岐の視点にわたって理解できるよう、毎月定期的に読書に関わる課題を課します。専門的な知識を得るための修養が求められるからです。さらに生徒が自ら考え、自らの課題を発見し、意欲的に課題解決に取り組む姿勢を育成する授業作りをめざすために、読む・考える・書く・話し合う・修正する・要約するなど、生徒個人の言語能力の醸成と集団内での言語活動と相互交流の方法論を重視しています。
履修条件 教職課程履修者。
科目の位置づけ(DPとの関連) 中学と高校での社会科の授業を展開するための指導法、教師になるための心構え、大学時代にやっておくべきことなど、豊富な現場体験を踏まえた楽しい授業を目指します。とくに学生諸君には自己表現の仕方に習塾できる環境を用意したいと考えています。個性的で人間味あふれた授業を創造する方法を基礎から学ぶようにします。社会科教育の特徴について理解を深め、優れた授業の実践を学びます。
学修の到達目標 50分間の授業がきちんとできる能力を養います。この科目では学修目標の到達の目安として、以下の4点を挙げておきます。
1、社会科教育及び社会科の指導や授業に関する基本的事項や理論を理解している。
2、社会科の指導や授業の計画・立案に関わる基本的事項に習熟している。
3、社会科の授業の実際について学んでいる。
4、道徳教育や総合的な学習の時間と連携する授業ができる。
さらに、生徒主体の授業ができるように技能を磨きます。通説だけでなく自分の考え方や思考方法を提示できるような高度の講義技術を磨きます。また様々な資料を作成する技術、文書を書く能力も修練します。
授業の方法 全員にできるだけ多く模擬授業をやってもらいます。さらに学修指導案を作成してもらい、教材研究や指導案の作り方を訓練します。また自己表現が重要ですので、教壇に立つ作法や授業の進め方など、教育現場の実践演習をくり返し習熟できるようにします。全員の学生に教科書を貸し出し、一年間をかけて小単元ごとのノートを作成し完成してもらいます。何よりもまず教科書をものにすることが重要です。模擬授業に対するコメントでフィードバックが行われます。
授業外の学修(予習・復習等) 日常的に読書感想文の課題を出します。書店に足を運ぶ、本を選ぶ、読む、感想文を書いて提出するなどの基本的課題を数多く課します。また、指導案の作成、講義ノートの作成など、授業外の作業も多くなります。地元の地理や歴史、防災の知識を得るという夏休みの課題、教科書を読み通すという冬・春休みの課題もあります。
テキスト・参考書 テキストは大学備え付けの教科書にします。新指導要領などその他必要な教材については適宜講義担当者が準備します。詳しくは最初の講義で話したいと思います。

参考書:『中学校学習指導要領』、『中学校学習指導要領解説 社会編』
成績評価の基準・方法 成績評価については、模擬授業(50%)、指導案(20%)、読書感想文(20%)、日頃の講義での発言や態度(10%)を考慮します。
この科目の履修にあたって 教員になるということの大変さを理解してもらえれば万全です。
オフィスアワー 各教員のオフィスアワー受付曜日・時間・場所については、本学Webサイトの「オフィスアワー」ページに掲載しています。
<アクセス方法>
大学Webサイトの[トップページ]→[キャンパスライフ]→[教務情報]→[オフィスアワー]
<URL>
http://www.keiho-u.ac.jp/campuslife/affairs/officehour.html

授業の内容や学習上の問題などについて質問や相談を行いたい場合は、実施曜日・時限を確認のうえ実施場所を訪れてください。
※なお、非専任講師については、担当授業前、終了後の教室や講師控室等での質問、相談を受け付けています。


第1回 講義の年間計画と概要

一年間の講義の概要・目標と講義計画について詳しく説明します。次いで日本国憲法・教育基本法・学校教育法などの関係法令を熟読研究し、中学校の教育の目的と理念、その実施に関する基本原則を周知徹底するようにします。教育実習の現状を説明し受講生の覚悟を聴くことにします。

第2回 中学校の教育課程・教育計画と社会科の位置づけ

中学校の教育課程・教育計画が何に基いて立てられているのかを、学習指導要領総則・道徳教育・総合的な学習の時間の記述内容を中心に細かく検討しながら理解を深めていきます。そのなかでの社会科という科目の特質・目標・内容を総合的に把握するようにします。次に学習指導要領改訂の経過を詳しく検討し、明治以来の日本の学校教育が何を目指してきたのか、教育水準の維持に必要なものは何かを考えるようにします。

第3回 教科書及び副教材の授業における位置付けと講義ノートの作成

模擬授業・教育実習での社会科の授業の進め方を研究します。基本は教科書ですが、補助教材や資料集の扱い方、レジュメ・作業プリントの作成方法、授業の前後に使用する復習テストの作り方などを学びます。次に、授業を行う際の標準的な講義ノートの作成について説明します。

第4回 読書の意義及び読書感想文の作成

教育活動における読書の重要性を強調し、その習慣付けを意図しています。社会科は教科としての対象範囲が幅広いので、日頃から授業のみならず学識・教養に関わる適切な図書を読むようにすることが重要になります。読書の成果として読書感想文の提出を定期的に課すように指導し、夏休みにも例年のと降り読書感想文の提出を求めるようにします。

第5回 情報機器の扱い方と授業への応用

PCや情報通信ネットワーク・視聴覚教材・教育機器などを活用した授業は、社会科では大きな効果が期待できる面が多く、講義担当者の実践事例を紹介した後に、学生が自ら関連する教材をネット上で見つけ出し、厳選した上で有効な使用方法を探るようにします。次に、学生には個々に次回講義時のテーマを決定させ、課題として主な関係教材を探し出して研究し、次回講義時に報告書を持参するように指導します。

第6回 教材研究

前回の講義で学生に課したそれぞれの教材の研究発表を行います。それとともに教材の見つけ方、入手方法、加工方法、教育現場での用い方などを、情報モラルの問題とからめて、学生とともに検討することにします。

第7回 DVD教育教材を用いて実践授業を観察する

市販されているDVDや、本学学生による過去の研究授業の実践映像記録を観察し、教育現場において実施されている実際の授業の全体像を批評します。その後に学ぶべき点や問題点を皆で討論し、模擬授業に備えるようにします。

第8回 道徳教育における社会科の役割

学習指導要領に掲げられている道徳教育と総合的な学習の時間の主旨に則り、青少年期の成長に関わる心理の観点から「個性とは何か」をテーマとして学生による模擬授業を行います。2人の学生が30分ずつの授業を行い、それぞれの授業内容について参加学生全員で比較討論し、評価票を用いて批評を行います。

第9回 言語活動と言語表現へのまなざし

身近な教材である教科書に掲載されている数多くの写真や図表のなかから関心の強い素材を選び出し、学生自身でそれらの事例を詳細に分析・考察する作業を行い、まとめの文書を作成して論述し、他の学生からの批評を得るようにします。この形式の授業は教科書を大切に扱う態度を養うでかではなく、生徒の思考力・表現力・判断力を育成するのに適切な事例となります。

第10回 社会科公民分野の模擬授業・国会のしくみとはたらき

「国会のしくみとはたらき」をテーマとして学生による模擬授業をおこないます。国会の機能としくみを表すさまざまな用語をわかりやすく丁寧に解説する工夫をし、衆参両議院の権能の違いや、国会と内閣の関係などを明確に説明し、国会での議論や閣議の内容が国民の生活や人生全般に対してどのように重大な影響を及ぼすものであるのかを生徒に周知徹底させられる授業を目指します。毎回の授業後に全員で討論を行い、学生が意見を出しあってより良い授業の進め方・組み立て方を考えるようにし、またあらかじめ配布した評価票に出席者全員が必要事項をチェックし、本人の今後の参考に供するようにします。以下に記す模擬授業もすべて同じように進めます。

第11回 社会科公民分野の模擬授業・租税と財政のはたらき

「租税と財政のはたらき」をテーマとして学生による模擬授業を行います。国の歳入と歳出の内訳と租税の必要性をわかりやすく説明し、国税・地方税に分けて税の種類と徴収のしくみ、国の財政政策の三つの役割(資源の配分・所得の再分配・経済の安定化)を解説するようにします。租税については細かい改訂が行われているので、経済白書など国が発行している報告書を活用することが肝要です。

第12回 社会科地理歴史分野の模擬授業・地球のすがたと世界の国々

「地球のすがたと世界の国々」をテーマとして学生による模擬授業を行います。地理学習の入り口となる授業ですので、生徒に経・緯度に関する作業を課しながら、世界地図の利用方法や読み方、地球を科学的に観察するための基本的な方法論をわかりやすく説明し、地球上にある国々についての基礎的概念を得られるようにします。

第13回 社会科地理歴史分野の模擬授業・世界の諸地域

「世界の諸地域」をテーマとして学生による模擬授業を行います。大陸別におよそ四つに区分した地域のうち、学生が特に興味と関心をもっテいる地域を対象に選定し、当該地域の歴史と民族の動態・地域構造を生み出した政治・経済機構のあり方、主な構成国の特質・産業の特色・文化の共通性などについてまとめていきます。地図帳の有効活用をはかり、生徒が地図に親しむ契機となる授業にする必要があります。

第14回 社会科地理歴史分野の模擬授業・室町幕府と戦国時代

「室町幕府と戦国時代」をテ―マとして学生による模擬授業を行います。室町幕府の成立に関わる国内事情と明・朝鮮・琉球の建国の動きを述べ、東アジア世界の貿易の特質と倭寇を論じ、将軍を核とする守護領国制が産業の発展と座・惣村の一揆に触発された下剋上により、応仁の乱から戦国動乱に向かう経緯をダイナミックに捉えるようにします。俗世の激動と、北山・東山の静の文化を対比して捉える視点も重要です。

第15回 社会科地理歴史分野の模擬授業・明治政府の成立と展開

「明治政府の成立と展開」をテーマとして学生による模擬授業を行います。開国を起点に江戸幕府の解体と明治新政権の成立過程を五箇条の御誓文と版籍奉還・廃藩置県に力点を置いて解説し、学制・地租改正・徴兵令の三大改革と政府主導の殖産興業政策が日本の近代化とアジアにおける軍事大国への途を醸成した要因であることを説明することが肝要です。明治初期の岩倉使節団の派遣に関わる史料を用い、派遣の成果がどのように生かされたのかを問う授業が求められます。

第16回 学習指導案の事例研究

夏休みに入る直前に予め卒業生が作成した模範的な学習指導案の文例を配布しておき、夏休み中に各自で検討した結果の報告書を講義時の直前までに提出してもらい、それぞれの問題点・疑問点を講義担当者が整理したものを皆で討議した後、指導案を作成する際の注意事項を詳しく解説します。

第17回 模擬授業に則した学習指導案の作成手順

模擬授業を行った学生は最終講義時までに学習指導案を作成し提出する義務があります。学習指導案の作成に関わる問題点・疑問点は前回の講義で明確化していますので、本時では作成手順の詳細を解説します。

第18回 社会科地理歴史分野の模擬授業・天平文化と土地制度のうつりかわり

「天平文化と土地制度のうつりかわり」をテーマとして学生による模擬授業を行います。大宝律令の制定による律令国家の官制と土地制度(班田収授制)・税制を解説し、唐の都長安をまねた平城京の造営と、人口増大による口分田の不足を招いた結果、公地公民の原則を崩す墾田永年私財法の発布につながったことを解説し、一方では遣唐使や鑑真がもたらした盛唐期の文物が聖武天皇の遺品に象徴される国際的な仏教文化を生み出した事情を説明します。

第19回 社会科公民分野の模擬授業・国民生活と経済

「国民生活と経済」をテーマとして学生による模擬授業を行います。授業で取り扱う主なテーマは、家計における収入と支出の基礎的事項、消費者主権に関する法規と制度、商品の生産と貨幣を媒介として消費者にわたるまでの流通の機構です。特に家庭での収入と支出のバランスや、商品の購買形態とさまざまなトラブルの実体を説明し、消費者でもある生徒の自覚を促す授業を目指す必要があります。

第20回 社会科公民分野の模擬授業・裁判所と裁判

「裁判所境と裁判」をテーマとして学生による模擬授業を行います。日本の現在の裁判制度の基本的事項を整理してわかりやすく解説し、裁判官・検察官・弁護士・刑務官の役割を周知させます。また民事裁判・刑事裁判・調停など法廷で裁かれる審理案件を、生徒の身近にある具体的な事例(交通事故など)で説明するようにし、裁判官制度にも言及します。

第21回 社会科地理歴史分野の模擬授業・貿易のようす

「貿易のようす」をテーマとして学生による模擬授業を行います。例えば輸入では原油を、輸出ではIC(集積回路)を取り上げて日本の貿易の特色を明らかにし、輸出と輸入に区別して、原料や製品のそれぞれの相手国との貿易実績について図表を示しながら明らかにします。また1970年代から80年代にかけて起きた貿易摩擦の問題にも触れて、日本はこの問題にどのように対処したのか、その余波が国内産業に与えた影響などを考える授業をめざします。

第22回 社会科地理歴史分野の模擬授業・世界からみた日本の農業

「世界からみた日本の農業」をテーマとして学生による模擬授業を行います。日本の農業の特色を稲作中心に近郊農業・輸送園芸農業などの特質を解説し、促成栽培・抑制栽培などの技術、地域や府県単位の特産物・工芸作物や畜産業の実情を説明します。特に学生が興味を持っている農産物に関しては具体的な詳しい事例研究が望まれ、農産物の自給率の低下と輸入自由化が地方の衰退に拍車をかけている現状が生徒にも正しく伝えられる必要があります。

第23回 社会科地理歴史分野の模擬授業・江戸幕府の成立と鎖国

「江戸幕府の成立と鎖国」をテーマとして学生による模擬授業を行います。関ヶ原の戦いを起点に、徳川家康が征夷大将軍に任じられ幕府を開いた経緯を説き、次に幕府の仕組みと武家諸法度による大名統制の諸相を論じ、外国貿易とキリシタン禁教とのせめぎあいの中で起きた島原一揆の意義を解説し、鎖国に結びつく長崎貿易と朝鮮通信使の実体を説明します。

第24回 社会科地理歴史分野の模擬授業・日本経済の発展

「日本経済の発展」をテーマとして学生による模擬授業を行います。20世紀後半の日本の経済発展の情況を、戦後の経済復興を起点として60年代から70年代の高度経済成長を中心に、アジアにおける驚異的な経済大国にのし上がった経緯と国民の勤労意欲の盛り上がりを説明します。その背景には政府の経済政策と冷戦下での相次ぐ近隣外交が大きな影響を与えましたが、公害問題・都市問題が発生し、73年の第四次中東戦争によって起きたオイル・ショックが高度経済成長を終わらせ、技術革新と省エネによる第三次産業の時代へと移り変わる様子を説明します。

第25回 社会科公民分野の模擬授業・人間の尊重と日本国憲法

「人間の尊重と日本国憲法」をテーマとして学生の模擬授業を行います。日本国憲法の精神・理念に影響を与えた世界の法規定の事例を紹介し、次に日本国憲法の三つの基本原理とその関連法条を読み込むことにし、それぞれの原理から派生する平等権・自由権・社会権・生存権・環境権・参政権などの内容と法整備の経過を説明します。また憲法にうたわれている国民の三大義務にも言及して、国家についての概念を正しく理解できる授業をめざします。

第26回 社会科公民分野の模擬授業・地球市民としての私たち

「地球市民としての私たち」をテーマとして学生による模擬授業を行います。地球規模の主要な課題には温室効果ガスによる温暖化、経済格差による南北問題、主権国家の領域を侵犯する領土問題、核兵器開発による戦争の危機、民族紛争による難民問題などがあり、国際連合やEU・ASEANなど国際的機構の場で様々な取り組みが行われており、国際連合の役割を明らかにすることで持続可能な社会と国際平和の意義を考えさせる授業をめざします。

第27回 総合的な学習の時間との連携に関わる社会科の模擬授業・古地図と現代の街並み

「古地図と現代の街並み」をテーマとして学生による模擬授業を行います。学生が生まれ育った市町村の過去の地図と現代の地図・街並みの有り方とを読み比べ、地域社会がどのような変容を遂げているのか、その理由が何なのかを生徒とともに考える授業です。教員と生徒とが自分たちの住んでいる地域・郷土の歴史や現在をよく知ることが、自己を知り地域社会に関心をもつことになる有効な方法であるからです。素材は役所で発行している都市地図や市町村史などに掲載されている地図、インタ-ネットを活用するのがよいでしょう。

第28回 模擬授業に則した学習指導案の提出

実践した模擬授業の指導案を作成し提出します。学習指導案だけではなく、教科書の該当頁と使用した資料集・その他の補助教材についてもコピーの提出を課します。それぞれの指導案作成の際の苦心談を話し合い、不足・不明の点を確認し合いながら互いの指導案を批評し合います。

第29回 講義ノートの作成と提出

社会科の教科書により作成した模擬授業に関わる講義ノートを提出してもらい、作成に至る苦心と反省事項を全員で話し合います。

第30回 講義のまとめ

一年間の講義のまとめと反省、総括を行います。またそれを文章化し他ものを文書の形にして提出してもらいます。