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    授業内容詳細

 教育原理
   Principles of Education
授業科目区分
教職課程科目・教職に関する科目
担当者 鈴木 清稔(教授)
グレード
テーマ 社会の中の教育と学校教育
キーワード 社会と教育,教育の歴史,義務教育,教育権
開講年度
2017
開講時期
通年
配当年次
経済学部・法学部2・3・4
単位数
4

授業の目的及び概要  この科目は、教育に関する原理的な認識と教育の現実を見詰める視座を形成する事を目的とする。「教育」という営みや「学校」という存在をなぜ、何のためにそれらがあるのか、と問い直す作業を行う科目である。
  たとえば、<人間にとって教育や学習はどのような意味を持つのか>や<学校が、どのような事情から人間の社会に出現したのか(=在って当たり前の存在になったのか)>
などについて考察する。これは、教育という営みが存立する社会的・思想的基盤を原理的に、さらに歴史的に概観する作業である。
 そうした作業の後、現代日本の学校教育が成り立つ制度的基盤・法的側面について、学習し、学校教育のあり方や将来像について考察する。
履修条件 教職課程履修者
科目の位置づけ(DP・CPとの関連) この科目は、教育職員免許法施行規則の上では「教育の基礎理論に関する科目」農地「教育の理念並びに教育に関する歴史及び思想」に分類される科目である。つまり、「教育についての基本的で総合的な認識を形成し、教育の現実を見つめつつそれに即して考える姿勢を育てる役割を持っている。こうした認識や態度は、教員免許取得者として必要不可欠であり、教職に就こうとする者にとっての基礎となるものである。
学修の到達目標  この科目で育成しようとする、「教育についての基本的で総合的な認識」と「教育の現実を見つめ、それに即して考える姿勢」は、教員免許状を目指すものにとって、いわゆる「常識」で考える以上に、重要である。それは以下のような理由からである。
 教育については、誰もがよく発言をする。言わば「一億総教育評論家」の状況にある.しかし、そうした発言は、教育や学校についての日常的な個人的経験や見聞から為されることが多い。ところが、ひとりの人が経験し、見聞する範囲は限られているのだから、このような経験や見聞からの思いつくことだけでは教育観も深まらないし、教育を見る目も育たない。
 そこで、人間という存在や社会と、教育や学校との関わりをより広く・深く視る目を持つことが必要なのであり、これがこの授業の第1目標である。この目標達成のために、教育や学校についての必要な基礎知識の習得と、それらを様々な角度から見つめ直す態度の育成を目指す。

 なお、この科目においては学習目標への「到達」の目安として、以下の3点に留意して授業を行う。
 ① 「教育とは何か」に関する多面的な理念上の理解
 ② 教育や学校教育をめぐる社会的・思想的基盤についての歴史的理解
 ③ 教育を受ける権利についての法理念的理解と教育基本法に関する理解

授業の方法  主として講義の形式を採るが、板書の筆写だけでは伝達できる知識・情報に限界があるので、プリント配布によって補う。したがって、配布プリントに受講生自身が目を通すことが必要である。また、新聞記事など時事的な資料提示や、ビデオ視聴、ヴィジュアルな資料(PCの画像、写真や絵など)提示をしながら、講義を進める。
 また、授業は、履修学生が少人数であることを生かして、多くの発問をしながら進める。

 授業に関する重要な連絡がある場合には、授業時のアナウンス及びナイスポータルの「連絡事項」に掲載する。
授業外の学修(予習・復習等)  授業外においては、ノートの整理を通じて復習をし、配布プリントに目を通す事で補充的な自己学習を行うこと。(したがって、配布プリントの整理と保存を心がけること。)
 また、夏季休暇中には、課題図書を指定し、レポート作成を課す予定である。
 授業の内容にかかわらず、新聞やテレビなどメディアの教育関係の情報に関心を持ち、収集すること。
テキスト・参考書  授業で使用する特定のテキストは指定しないが、教育原理全般に渡る大学用教科書の紹介は、授業中に紹介する。

 近代学校制度の成立史に関わる社会的・思想的基盤については、次の図書が参考になる。
 『新版 子どもの教育の歴史』(江藤恭二 監修、名古屋大学出版会 2008年)
 『教育の理念と思想のフロンティア』(伊藤良髙、冨江英俊 編、晃洋書房 2017年) 
その他の参考図書は随時、紹介・指定する。
成績評価の基準・方法  成績評価は、主に春・秋の学期末「持ち込みなし」の試験によって行うが、夏季休暇中のレポートを課した場合には、このレポートとあわせて、採点する。その配分は、試験の得点(90~80%)、レポート(10~20%)程度とする。

 なお、上記の「到達」の目安に基づいて、「履修カルテ」における観点別評価も行う。

履修上の注意事項など  教職課程の「教職に関する科目」のにおける基礎的科目であるので、早めの履修を勧める。
 教員採用試験のための教職教養の学習としては、この授業で取り扱う内容を習得するだけでなく、自主学習によってより広く・深く習得する必要がある。自己学習上の疑問、質問にも可能な限り応じるつもりである。
この科目の履修にあたって   授業は、履修学生が少人数であることを生かして、多くの発問をしながら進めるので、
“能動的な”「聞き」と積極的な回答が要求される。
 また、授業中の資料提示が多いので、授業をサボっておいて、事後に配布プリントとノートを入手するだけでは、学習が不十分となるので、この自覚を持って、受講すること。
 なお、授業に際しては出席を取るが、これは試験が出来なくても出席をすれば単位認定されるということではない。試験問題は、積極的な受講態度と自主的な学習態度がなければ解答困難なものである。みだりに欠席や遅刻をしないよう心がけることが大事である。
 授業に大幅に遅れての入室は謹んでもらいたい。
 出席状況や受講態度がとくによくない者については、学期末試験の受験を辞退してもらう場合がある。
オフィスアワー 月 13:00~14:30 相談ラウンジ(八尾4階) 授業の質問、大学院進学(教職系)、その他(教職課程)


第1回 人間と教育(1)

ヒトという動物の特質と、文化の形成や文化の習得との関わりから、ヒトにとっての教育や学習が持つ意義や機能について考える。

第2回 人間と教育(2)

社会の持つ人間形成作用と教育の関係をみながら、人間社会における教育、学習の持つ意義や機能について考えつつ、教育を支える社会的基盤とその揺らぎについてもを考察する。

第3回 人間と教育(3)

通過儀礼とその教育機能についてみながら、意図的な教育の原初的な姿と大人になることについて考える。

第4回 社会・文化と教育(1)

教育が社会や文化に対して持つ機能について文化の伝達という側面から考える。

第5回 社会・文化と教育(2)

文化の伝達と教育とのかかわりについて具体的事例から考える。

第6回 現代社会と教育(1)

現代社会の諸変動と生活形態の変化や学校教育との関わりを文化の創造という側面から考える。

第7回 現代社会と教育(2)-1

ジェンダーを題材に文化の伝達と文化の創造について考える。

第8回 現代社会と教育(2)-2

ジェンダーを題材に学校教育について考える。

第9回 現代社会と教育(3)

日本における社会化と近代学校教育の関係を日本の近代化との関わりで見直し、ポスト・モダンにおける日本社会と学校教育との関係を見通す。

第10回 小括(1)

人間と社会・文化と教育の関わりについてこれまでの学習内容を踏まえて、振り返る。

第11回 学校教育(1)

社会生活や生産技術、文字の使用や統治などと関わらせつつ、人間社会に「学校のようなもの」が発生する契機について考察する。

第12回 学校教育(2)

西洋における古代の「学校」の歴史について学びつつ、国や親と子どもとの関係や<誰もが学校に行くことが当然でなかった>ことの意味について考察する。

第13回 学校教育(3)

大学の原型としての中世大学、新興都市市民の実務教育としての都市学校、庶民の学校など、西洋中世の「学校」の歴史について学ぶ。

第14回 近代学校教育(1)

西洋近代に発生した公教育としての学校制度(国民的義務教育制度)の成立事情を概観しつつ、その政治的・思想的・経済史的意味連関について考察する。

第15回 近代学校教育(2)

西洋近代に発生した公教育としての学校制度(国民的義務教育制度)の成立事情を概観しつつ、<学校へ行くこと>が当然となる社会について考察する。

第16回 近代学校教育(3)

<教育を受けること>を権利として認めたこと、さらにこの権利を保障するための公教育制度を支える制度原理について学習する。

第17回 教育を受ける権利と日本の公教育(1)

教育を受ける権利を規定した憲法第26条の基盤となる法理念や思想について学びつつ、26条の規定に関わる諸問題を概観する。

第18回 教育を受ける権利と日本の公教育(2)-1

1947年教育基本法に関わる諸問題について概観する。

第19回 教育を受ける権利と日本の公教育(2)-2

改正教育基本法の前文から第6条までと、それに関わる諸問題について学ぶ。

第20回 教育を受ける権利と日本の公教育(3)

改正教育基本法の第7条以降と、それに関わる諸問題について学ぶ。(ただし、第9条(教員)には教員の職務や懲戒と体罰に関することを含む)

第21回 教育を受ける権利と日本の公教育(4)

<教育を受ける機会を持つ>ことと<学校に行く>ことの弁別など、教育を受ける権利をめぐるポスト・モダン的問題について考察する。

第22回 小括(2)

学校教育の発生から近代公教育の成立、教育を受ける権利について振り返る。

第23回 学校教育の目標

日本の学校制度などについて、各学校種別ごとに学校教育法や学習指導要領などをもとにして学ぶ。

第24回 日本の学校教育の今日的課題

昨今の学校教育に関わる諸課題をメディアの報道を題材として考える。

第25回 教育のポスト近代と学校改革の可能性(1)

近代公教育の成立から現代に至る過程で生じた、教育を受けることや学校へ行くことの社会的意味の変化などについて考察する。

第26回 教育のポスト近代と学校改革の可能性(2)-1

脱学校論には学校制度の解体を提唱するものから学校の役割の転換を説くものまで様々であるが、現在の制度化した学校教育への、その鋭い洞察を概観する。

第27回 教育のポスト近代と学校改革の可能性(2)-2

脱学校論のいくつかを取り上げて、その主張について考察する。

第28回 教育のポスト近代と学校改革の可能性(3)

脱学校論者による現代学校教育批判とその提言について学習する中で、どのような知見をくみ取れるか模索する。

第29回 教育のポスト近代と学校改革の可能性(4)

脱学校論における学校改革提言やチャータースクール、地域運営学校、ホームスクーリングなどの動きなどを見ながら学校教育のあり方を考える。

第30回 結び

教育あるいは学校教育のポスト・モダンにむけて、学習観の転換や学びの主体性の復権といったものの必要性と可能性を探り、学校教育の将来像を模索する。