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    授業内容詳細

 教育原理
   Principles of Education
授業科目区分
教職課程科目・教職に関する科目
担当者 鈴木 清稔(教授)
グレード
テーマ 社会の中の教育と学校教育
キーワード 社会と教育,教育の歴史,義務教育,教育権
開講年度
2018
開講時期
通年
配当年次
経済学部・法学部2・3・4
単位数
4

授業の目的及び概要  この科目は、教育に関する原理的な認識と教育の現実を見詰める視座を形成する事を目的とする。「教育」という営みや「学校」という存在をなぜ、何のためにそれらがあるのか、と問い直す作業を行う科目である。
  たとえば、<人間にとって教育や学修はどのような意味を持つのか>や<学校が、どのような事情から人間の社会に出現したのか(=在って当たり前の存在になったのか)>
などについて考察する。これは、教育という営みが存立する社会的・思想的基盤を原理的に、さらに歴史的に概観する作業である。
 それは、教育に関する様々な基本的概念や教育理念について学習するとともに、それらの生成について教育史的・思想史的な理解を深めつつ、教育や学校という営みについてどのよう捉えられたか、またそれらが変遷してきたかについて理解するためのものである。
 具体的内容は、以下のとおりである。

①人や社会にとって、教育や学校がどのような役割・機能を持った営みであるか、さらに現代社会においてどのような働きをしているか、について考察し、教育や学校についての理解を深める。
②教育や学校について歴史的な変遷をたどりつつ、その背景にある社会的・思想的背景まで理解を深め、公教育制度の存立に関わる諸要因について考察し、理解を深める。
③公教育制度を成り立たせている諸思想・諸理念や制度的諸原理について学びつつ、それらと現代日本の教育法規や家庭や子どもの教育・学習との関係について理解を深める。

 これらの作業を通して、現代日本の学校教育が成り立つ制度的基盤・法的側面について、学修し、学校教育のあり方や将来像について考察する。
履修条件 教職課程履修者
科目の位置づけ(DPとの関連)  この科目は、旧教育職員免許法施行規則の上では「教育の基礎理論に関する科目」農地「教育の理念並びに教育に関する歴史及び思想」に分類される科目である。つまり、「教育についての基本的で総合的な認識を形成し、教育の現実を見つめつつそれに即して考える姿勢を育てる役割を持っている。こうした認識や態度は、教員免許取得者として必要不可欠であり、教職に就こうとする者にとっての基礎となるものである。
 なお、改正教育職員免許法施行規則においては、「教育の基礎的理解に関する科目」の「イ 教育の理念並びに教育に関する歴史及び思想」に区分される科目である(2019年4月以降入学者に適用)。 
学修の到達目標  この科目で育成しようとする、「教育についての基本的で総合的な認識」と「教育の現実を見つめ、それに即して考える姿勢」は、教員免許状を目指すものにとって、いわゆる「常識」で考える以上に、重要である。それは以下のような理由からである。
 教育については、誰もがよく発言をする。言わば「一億総教育評論家」の状況にある.しかし、そうした発言は、教育や学校についての日常的な個人的経験や見聞から為されることが多い。ところが、ひとりの人が経験し、見聞する範囲は限られているのだから、このような経験や見聞からの思いつくことだけでは教育観も深まらないし、教育を見る目も育たない。
 そこで、人間という存在や社会と、教育や学校との関わりをより広く・深く視る目を持つことが必要なのであり、これがこの授業の第1目標である。この目標達成のために、教育や学校についての必要な基礎知識の習得と、それらを様々な角度から見つめ直す態度の育成を目指す。

 なお、この科目においては学修目標は、以下の3点である。
1.教育に関する基礎的概念の理解と習得、および「教育」存立の諸要因とその相関関係  についての理解を深め、「教育とは何か」に関して多面的に理解する。
2.教育の歴史について基礎的な知識の習得と、教育や学校をめぐる社会的・思想的基盤  に関する歴史的理解に基づく教育や学校の変遷についての理解を深める。
3.教育に関わる思想や理念について理解しつつ、それらと実際の教育・学校との関わり
  についても理解を深める。
授業の方法  主として講義の形式を採るが、板書の筆写だけでは伝達できる知識・情報に限界があるので、プリント配布によって補う。したがって、配布プリントに受講生自身が目を通すことが必要である。また、新聞記事など時事的な資料提示や、ビデオ視聴、ヴィジュアルな資料(PCの画像、写真や絵など)提示をしながら、講義を進める。
 また、授業は、履修学生が少人数であることを生かして、多くの発問をしながら進める。

 授業に関する重要な連絡がある場合には、授業時のアナウンス及びナイスポータルの「連絡事項」に掲載する。
授業外の学修(予習・復習等)  授業外においては、ノートの整理を通じて復習をし、配布プリントに目を通す事で補充的な自己学修を行うこと。(したがって、配布プリントの整理と保存を心がけること。)
 また、夏季休暇中には、課題図書を指定し、レポート作成を課す予定である。
 授業の内容にかかわらず、新聞やテレビなどメディアの教育関係の情報に関心を持ち、収集すること。
テキスト・参考書  授業で使用する特定のテキストは指定しないが、教育原理全般に渡る大学用教科書の紹介は、授業中に紹介する。

 近代学校制度の成立史に関わる社会的・思想的基盤については、次の図書が参考になる。
 『新版 子どもの教育の歴史』(江藤恭二 監修、名古屋大学出版会 2008年)
 『教育の理念と思想のフロンティア』(伊藤良髙、冨江英俊 編、晃洋書房 2017年) 
その他の参考図書は随時、紹介・指定する。
成績評価の基準・方法  成績評価は、主に春・秋の学期末「持ち込みなし」の試験によって行うが、夏季休暇中のレポートを課した場合には、このレポートとあわせて、採点する。その配分は、試験の得点(中間試験と学年末試験で70%)、レポート(20%)、授業中のコメント(10%)程度とする。

 なお、上記の「到達」の目安に基づいて、「履修カルテ」における観点別評価も行う。

この科目の履修にあたって   授業は、履修学生が少人数であることを生かして、多くの発問をしながら進めるので、
“能動的な”「聞き」と積極的な回答が要求される。
 また、授業中の資料提示が多いので、授業をサボっておいて、事後に配布プリントとノートを入手するだけでは、学修が不十分となるので、この自覚を持って、受講すること。
 なお、授業に際しては出席を取るが、これは試験が出来なくても出席をすれば単位認定されるということではない。試験問題は、積極的な受講態度と自主的な学修態度がなければ解答困難なものである。みだりに欠席や遅刻をしないよう心がけることが大事である。
 授業に大幅に遅れての入室は謹んでもらいたい。
 出席状況や受講態度がとくによくない者については、学期末試験の受験を辞退してもらう場合がある。
オフィスアワー 各教員のオフィスアワー受付曜日・時間・場所については、本学Webサイトの「オフィスアワー」ページに掲載しています。
<アクセス方法>
大学Webサイトの[トップページ]→[キャンパスライフ]→[教務情報]→[オフィスアワー]
<URL>
http://www.keiho-u.ac.jp/campuslife/affairs/officehour.html

授業の内容や学習上の問題などについて質問や相談を行いたい場合は、実施曜日・時限を確認のうえ実施場所を訪れてください。
※なお、非専任講師については、担当授業前、終了後の教室や講師控室等での質問、相談を受け付けています。


第1回 人間と教育(1)-ヒトと教育ー

ヒトという動物の特質と、文化の形成や文化の習得との関わりから、ヒトにとっての教育や学習が持つ意義や機能について考える。

第2回 人間と教育(2)-人間形成と教育ー

人の成長発達や人間形成と、学習することや教育することの関係について考える。

第3回 人間と教育(3)-人間形成における教育・学習の意義ー

社会の持つ人間形成作用と教育の関係をみながら、人間社会における教育、学習の持つ意義や機能について考える。

第4回 社会・文化と教育(1)-教育が社会・文化に果たす役割ー

教育が社会や文化に対して持つ機能について文化の伝達という側面から考える。

第5回 社会・文化と教育(2)-意図的教育の原初的形態と学校成立の社会的基盤ー

通過儀礼とその人間形成的機能についてみながら、意図的な教育の原初的な姿と大人になることについて考えながら、教育の社会的意義について学ぶ。文化の伝達と教育とのかかわりについて具体的事例から考える。

第6回 社会・文化と教育(3)-教育の社会的基盤とその揺らぎー

社会の諸変動と生活形態の変化による、人間形成や教育の社会的基盤の揺らぎについて考察する。

第7回 社会・文化と教育(4)ー教育の社会的基盤の揺らぎと学校教育ー

社会の諸変動と生活形態の変化による、人間形成や教育の社会的基盤の揺らぎと学校教育への影響について考察する。


第8回 現代社会と教育(1)-現代社会の変動と生活の変化と学校教育ー

現代社会の諸変動や生活形態の変化が学校教育に与える影響とそれへの対応について考える。


第9回 現代社会と教育(2)-現代社会の変動と新たな文化の創造と教育ー

現代の激しい社会変化のなかにおける、文化の伝達と文化の創造について考え、新たな文化の創造と学校教育との関わりについて考える。

第10回 現代社会と教育(3)-ジェンダーを題材に学校教育を考えるー

ジェンダーを題材にして、学校文化や社会の新しい文化の創造について考える。

第11回 現代社会と教育(4)-ポスト・モダンの学校教育を考えるー

日本における社会化と近代学校教育の関係を日本の近代化との関わりで見直し、ポスト・モダンにおける日本社会と学校教育との関係を見通す。

第12回 教育の根源的意義と現代的意義・課題の振り返り

人間と社会・文化と教育の関わりについてこれまでの学習内容を踏まえて、振り返る。

第13回 学校教育の歴史(1)-「学校」発生の社会的契機についての歴史的考察ー

社会生活や生産技術、文字の使用や統治などと関わらせつつ、人間社会に「学校のようなもの」が発生する契機について考察する。


第14回 学校教育の歴史(2)ー古代文明と「学校」の発生から考えるー

古代文明の発生と「学校」の起源について、学び、文明や文化と教育や学校との関わりについて考察する。

第15回 学校教育の歴史(3)-西洋古代の「学校」-

西洋における古代の「学校」の歴史について学び。

西洋近代に発生した公教育としての学校制度(国民的義務教育制度)の成立事情を概観しつつ、<学校へ行くこと>が当然となる社会について考察する。

第16回 学校教育の歴史(4)-西洋古代の「学校」と国、親、子どもから考えるー

古代の事例から、国や親と子どもとの関係や<誰もが学校に行くことが当然でなかった>ことの意味について考察する。

第17回 学校教育の歴史(5)-西洋中世の大学と「学校」-

大学の原型としての中世大学、新興都市市民の実務教育としての都市学校、庶民の学校など、西洋中世の「学校」の歴史について学ぶ。

第18回 学校教育の歴史(6)ー西洋中世の社会と大学・学問から考えるー

西洋の中世社会の特徴と中世大学や学問の在り方の関係、さらに教養概念について学ぶ。

第19回 学校教育の歴史(7)-「学校」の叢生とその系統化ー

近代学校の制度化につながる、多様な「学校」の出現とそれらが系統化されていくプロセスを学ぶ。

第20回 学校教育の歴史(近世まで)の振り返り

近代学校制度が成立する以前の歴史について振り返りながら、近代学校制度成立以降にまで残る歴史的特徴、特質などについて学ぶ。

第21回 近代公教育の成立(1)-国民的義務教育制度(学校の制度化)の出現ー

ほぼすべての国民を対象とした義務教育制度として、学校が制度化されていく事情と状況について学ぶ。

第22回 近代公教育の成立(2)-公教育制度存立の社会的基盤ー

近代公教育を制度として成り立たせる社会的な諸基盤について、成立事情とともに学ぶ。

第23回 近代公教育の成立(3)-公教育形成期の社会と家庭と子どもの思想ー

公教育形成期の社会や家庭と子どもに関する状況や、それらに関する思想について学ぶ。

第24回 近代公教育の成立(4)-公教育の思想と教育の制度理念ー

西洋近代に発生した公教育としての学校制度(国民的義務教育制度)の成立事情の概観を踏まえて、その政治的・思想的・経済史的意味連関について考察する。
とくに、<教育を受けること>を権利として認めたこと、さらにこの権利を保障するための公教育制度を支える制度原理について学習する。



第25回 日本における学校教育制度の導入ー明治期から戦前の制度理念ー

欧米の学校制度導入から戦前日本の教育制度確立とその制度理念について学ぶ。

第26回 戦後日本の公教育(1)-教育を受ける権利と公教育の法理念ー

教育を受ける権利を規定した憲法第26条とその基盤となる法理念や思想について学びつつ、26条の規定に関連する諸問題を概観する。

第27回 戦後日本の公教育(2)-公教育の法理念と家庭や子どもー

教育基本法と、それに関わる諸問題、諸課題について学ぶ。(なお、教育基本法第9条(教員)の箇所では、教員の職務や懲戒と体罰に関することを含めて学ぶ。)

第28回 日本の公教育の今日的課題

近代公教育の成立から現代に至る過程で生じた、教育を受けることや学校へ行くことの社会的意味の変化や、社会状況から生じる学校への影響などについて考察する。

第29回 教育のポスト・モダン的思想と学校改革の可能性

 <教育を受ける機会を持つ>ことと<学校に行く>ことが同義でなくなった状況や、様々な学校改革提言、さらにチャータースクール、地域運営学校、ホームスクーリングなどの動きなどを見ながら学校教育のあり方を考える。

第30回 近現代の教育に関する振り返りと総括

教育あるいは学校教育のポスト・モダンにむけて、学習観の転換や学びの主体性の復権といったものの必要性と可能性を探り、学校教育の将来像を模索する。