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    授業内容詳細

 グローバル化と企業の社会的責任(CSR)論
   Corporate Social Responsibility in the Globalization
授業科目区分
法学部専門教育科目・学際科目
担当者 菅原 絵美(准教授)
グレード G2
テーマ グローバル化する世界のなかで起きる様々な事件や問題を、企業の社会的責任(CSR)、特に「ビジネスと人権」という視点から考える
キーワード 企業の社会的責任(CSR),ビジネスと人権,ステークホルダー,サプライチェーン,ESG,過労死,先住民族問題
開講年度
2017
開講時期
配当年次
2・3・4
単位数
2
コース 2年生 (法)国際関係コース基本科目(2015年度以降入学生),(法)現代社会キャリアコース基本科目(2015年度以降入学生)
3年生 (法)国際関係コース基本科目(2015年度以降入学生),(法)現代社会キャリアコース基本科目(2015年度以降入学生)
4年生 (法)国際関係コース基本科目(2015年度以降入学生),(法)現代社会キャリアコース基本科目(2015年度以降入学生)

授業の目的及び概要 本授業は、法とビジネスの越境的な関係を考察する、基礎的な科目である。
企業の社会的責任(CSR)のなかでも、「ビジネスと人権」というパラダイムは、学生にとって、グローバル化する世界のなかで起きる様々な事件や問題を、自身を取り巻くローカルな世界と結び付ける鍵であり、また企業活動への関心や理解を高め、持続可能な社会の一員として行動するための道しるべとなる。また社会人となった後も、自社が日々巻き込まれている状況をグローバル経済のなかで理解し、世界のステークホルダーから寄せられる期待に応えるための対策を講じる助けとなるだろう。
授業は5部からなり、「ビジネスと人権」の「登場」(第1部)、「視点」(第2部)、「責任」(第3部)、「役割」(第4部)、「展開」(第5部)である。第5部では、企業担当者を招きダイアログを行い、実務と学問の橋渡しを試みる。
履修条件 特になし。ただし、国内法および国際法の基礎知識に加え、企業のグローバルに展開される事業活動への関心、そして国内外の社会問題、特に人に関わる諸問題への関心を有していることが望ましい。
科目の位置づけ(DP・CPとの関連) この科目は、学位授与の方針(DP)に定める、学生が本学における学修と経験を通じて身につける知識や能力のうち、以下に該当します。
1.自由、平等、民主主義などの価値原理を基礎とする、法と政治に関する基本的専門知識を体系的に理解している。
学修の到達目標 「ビジネスと人権」とは、どのような視点・考えなのかについて、そしてなぜこの視点・考え方が大切とされているのか、その経営上、または公共政策上の必要性について説明することができる。
「ビジネスと人権」というパラダイムの意義を、国内法および国際法の観点から、説明することができる。
ステークホルダー(労働者、消費者、住民など)のひとりとして、企業のCSRおよび人権に関する取り組みを、バリューチェーンも含めて、評価することができる。
現在グローバル化された世界に広がる様々な社会課題を、「ビジネスと人権」の視点を通じて、自身を取り巻く日々の生活に結びつけることができ、考察することができる。
授業の方法 パワーポイントを使いながら講義形式で行う。パワーポイントの内容を簡易にまとめたレジュメ、そして必要に応じて資料を配布する。
また「リフレクションペーパー」(携帯または紙を媒介にする)を課している。授業中にいくつかの問題を提示するので、その解答をリフレクションペーパーとして提出してもらう。なお、リフレクションペーパーには任意解答欄を設けているので授業に対する要望・コメントは随時受け付ける。
授業外の学修(予習・復習等) 参考書のいずれかを事前に読んだり、新聞やニュースを通じて「企業の社会的責任」に関する関心を高めておく。
予習・復習の内容や進め方は授業のなかで指示する。
特に、企業から講師を迎える際は、講演後にダイアログができるよう、事前に配付する資料の読み込みや質問事項を考えておく。
テキスト・参考書 テキストは指定しない。

参考書としては次の通り。

菅原絵美「企業の社会的責任と国際制度:『ビジネスと人権』を事例に」『論究ジュリスト』第19号(2016年)
ジョン・ジェラルド・ラギー(東澤靖訳)『正しいビジネス:世界が取り組む「多国籍企業と人権」の課題』岩波書店(2014年)
菅原絵美・前田幸男、「社会構築主義から見た企業の社会的責任と国連グローバル・コンパクト:サプライチェーン・マネジメントによる企業と人権の関係構築のダイナミズム」、『国連研究』、国際書院、第11号、99-125頁、2010年。
成績評価の基準・方法 定期試験(論述式)の結果を基本として成績評価を行うが、毎回の授業で提出してもらうリフレクションペーパーや講義への参加の内容を加味して、総合的に判断する。
具体的には、定期試験を70%、授業への積極的参加(リフレクションペーパーを通じて評価)を30%として評価する。
履修上の注意事項など 学生ひとりひとりが「問い」を持ち、授業を通じて自分なりの「答え」を探していくような、参加型の講義にしたいと思っているので、講義のなかで感じた疑問や興味はどんどんリフレクションペーパーにぶつけてほしい。
なお講演については、先方の都合により日程を変更する場合があることを了承しておいていただきたい。変更する場合はできる限り早い段階で案内する。
この科目の履修にあたって 「ビジネスと人権」のパラダイムの面白さは、ビジネス活動と社会課題との結びつきが具体的にイメージできないと伝わりにくい。そこで、次の映画をお勧めする。予告編を確認するだけでも助けになる(映画なので制作側の視点が強く反映されていることに注意)。
「エリン・ブロコビッチ」(2000年)
「The Corporation」(2003年)
「ナイロビの蜂」(2005年)
「ブラッド・ダイヤモンド」(2006年)
「ザ・トゥルー・コスト:ファーストファッション 真の代償」(2015年)
「スマホの真実:紛争鉱物と環境破壊とのつながり」(2016年)
オフィスアワー 月 16:20~17:50 国際部(E号館1階) 授業の質問、大学院進学
火 12:10~13:00 相談ラウンジ(八尾4階) 


第1回 第1部「登場」:なぜ今「ビジネスと人権」なのか

イントロダクションとして授業の目的・進め方・成績評価について説明する。
第一部のはじまりとして、「ビジネスと人権」とはどのような視点なのかについて、オリンピック・パラリンピックを事例に国内と世界を結びつけながら考察する。

第2回 第1部「登場」:「ビジネスと人権」をめぐるダイナミクス

「ビジネスと人権」に関する日本を含む世界の事例を検討し、理解を深める。
特に、企業を取り巻く法、金融、市民運動とのつながりを考察する。

第3回 第1部「登場」:ダイナミクスの背景

第1部のまとめとして、「ビジネスと人権」を理解するためのキーワード(ステークホルダー、サプライチェーン、責任投資など)を確認したのち、このパラダイムが必要となった背景を説明する。

第4回 第2部「視点」:ところで、人権とは?

「ビジネスと人権」のパラダイムの中心である「人権」を考える。特に、「誰の何の権利か」という問いから事例を考察する。

第5回 第2部「視点」:何の権利かを考える

「何の権利か」の観点から、ビジネス活動と人権のつながりを考える。特に、環境およびガバナンス(腐敗防止)と人権の接点を考察する。

第6回 第2部「視点」:誰の権利かを考える

「誰の権利か」の観点から、ビジネス活動と人権のつながりを考える。特に、労働者、消費者、住民といった企業のステークホルダーと人権の接点を考察する。

第7回 第3部「責任」:企業活動と国内法・国際法

2010年代に入り、企業は国際人権基準(国際条約に規定された人権基準)の尊重を責任として求めらられてきた。そのことの法的な意義・課題を確認する。


第8回 第3部「責任」:企業の人権を尊重する責任とは?

企業の人権尊重責任を規定した国際文書「国連ビジネスと人権に関する指導原則」(2011年)が承認されるに至るまでと、その責任の内容を確認する。

第9回 第3部「責任」:人権デューディリジェンスとは

「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に規定された企業の責任の鍵となる概念が「人権デューディリジェンス」である。この内容を、企業実例を踏まえながら、確認する。

第10回 第4部「役割」:企業の社会的役割

これまでは企業活動による人権侵害が中心であったが、例えば企業は雇用を創出することで、技術革新により暮らしを豊かにすることで、社会に活力を与えてきた。企業の社会的役割を再考察する。

第11回 第4部「役割」:持続可能な開発目標(SDGs)とは

企業の積極的かつ主体的な役割を期待している国際文書「持続可能な開発目標(SDGs)」を取り上げ、グローバルな課題における企業の役割の展開を学ぶ。

第12回 第4部「役割」:企業の人権を促進する役割とは

第4部のまとめとして、企業の人権を尊重する役割を、日本国内にも視野を向けながら地域社会と、グローバル社会の双方から考察する。

第13回 第5部「展開」:ステークホルダーとともに社会を作る(企業担当者とのダイアログ)

「ビジネスと人権」をめぐる企業の責任と役割について、企業担当者および市民社会から実務家を招き、具体的課題や実践例を用いながら、ダイアログを実施する。

第14回 第5部「展開」:持続可能な社会をつくる

「ビジネスと人権」とは何か、持続可能な社会づくりの視点から、再考する。

第15回 第5部「展開」:まとめ

授業の総括とともに、「ビジネスと人権」の視点を通じて、てグローバル社会の課題への解決策を議論する。