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    授業内容詳細

 倒産処理法
   Insolvency Law
授業科目区分
法学部専門教育科目・民事法系
担当者 坂和 宏展(講師)
グレード G3
テーマ 破産法・民事再生法等の倒産処理法の手続と実務
キーワード 破産法,民事再生法
開講年度
2017
開講時期
秋季集中
配当年次
3・4
単位数
2
コース 3年生 (法)現代社会キャリアコース基本科目(2015年度以降入学生),(法)ビジネスローコース基本科目(2012~2014年度入学生)
4年生 (法)現代社会キャリアコース基本科目(2015年度以降入学生),(法)ビジネスローコース基本科目(2012~2014年度入学生)

授業の目的及び概要 「倒産」とは、簡単に言えば、「お金を払わなければならないのに払えなくなってしまった状態」のことです。払わなければならないお金のことを「債務」といいます。債務が支払い能力を超えてしまうと「債務超過」となり、「倒産」してしまいます。
「倒産」状態にある会社や個人がそのまま経済活動を営むことにはいろいろな弊害があるので、できるだけ早く、その状態を整理していかなければなりません。そのための仕組みが「倒産処理法」であり、破産法と民事再生法の2つが主な手続です。
ニュースを見ていると、よく「○○株式会社は、××地裁に自己破産を申し立て…」とか、「株式会社△△は、自主再建を断念して□□地裁に民事再生法の適用を申請し…」といったものがあります。また、会社でなくても、一般の消費者が借金を返せなくなって破産を申し立てることは珍しくありません。倒産は比較的身近なもので、例えば、平成27年には、全国の地方裁判所で約7万2000件の破産事件、約8400件の民事再生事件(個人再生等を含む)が処理されています。
また、自分自身が倒産するだけでなく、倒産した人に対してお金を払ってもらうべき立場(債権者)からも倒産処理法を理解する必要があります。比較的最近にも、大手の英会話教室を経営していた会社が破産に至り、多くの受講生が「債権者」という立場で手続に関与せざるを得なくなった事例がありました。
この授業では、倒産処理法を身近なものとして理解することを目標にします。
履修条件 特にありません。
科目の位置づけ(DP・CPとの関連) 倒産処理法を学ぶには、民事実体法(特に民法)を理解していることが必要です。また、倒産処理においては実務の運用が重要です。そのため、比較的応用度の高い科目と言えます。
学修の到達目標 破産及び民事再生を中心として、倒産処理法の基本的な手続と役割を理解することを目標とします。具体的には次のようなものです。
① 倒産処理法がなぜ必要なのか理解する。
② 倒産処理法の種類や役割の違いを理解する。
③ 破産の基本的な手続を、企業の破産と消費者破産に分けて理解する。
④ 民事再生の基本的な手続を、個人再生等も含めて理解する。
授業の方法 基本的に講義形式としますが、できるだけ活発に質疑応答を行いたいと思います。また、登録人数や履修者の希望によっては討論等の方法を取り入れることも検討します。なお、ICTについては特に活用の予定はありません。講義の中で疑問点等が生じた場合は、その日のコメントペーパーに記載してもらうことにより、翌日以降の講義でできる限り取り上げます。ただし、集中講義形式のため、最終レポートに対する講評等はありません。
授業外の学修(予習・復習等) 集中講義となるため、講義期間中に十分な予習・復習を行うことは難しいので、事前に教科書を一読して予習しておいてください。
テキスト・参考書 授業は毎回配布するレジュメに沿って進めます。教科書として、山本和彦「倒産処理法入門[第4版]」(有斐閣、2012年)を用います。授業において教科書を参照するため、必ず購入して下さい。また、六法(最新のもの)を持参して下さい(判例つきでなくてもかまいません)。
成績評価の基準・方法 講義に参加してもらうことが理解につながると考えますので、出席状況の確認を含む毎日のコメントペーパーを60%、最終レポートの成績を40%として評価します。コメントペーパーは、毎日の授業の出席における取り組みの状況により評価します。最終レポートは、与えられた課題に対し、正確な知識に基づいてバランスの取れた論述ができているか、具体的な事案を適切に処理できているか等で評価します。
履修上の注意事項など 民事執行・民事保全を学ぶには、民事実体法(特に民法)、民事訴訟法を理解していることが必要です。そのため、これらの科目を履修済みであるか、少なくとも履修する予定があることが望ましいと考えます。
この科目の履修にあたって 倒産法の世界は、一見するととてもテクニカルで取っつきにくそうに見えますが、具体的な事件を念頭において、倒産事件に関わる人々(債務者、債権者、破産管財人、裁判所・・・)のそれぞれの立場を考えながら勉強すれば、限られた資源の中でいかに合理的、効率的に倒産事件が処理されていくか、また、それによって経済社会にどのような効果がもたらされるかが分かるようになります。
オフィスアワー


第1回 はじめに

倒産処理法がなぜ必要なのか、倒産処理法にはどのような手続があるのかを説明します。

第2回 破産法(1)破産法の手続の概要

破産法は、倒産処理法の中でも中心的な地位を占めています。破産法の手続の概要を説明し、以後の授業でどの部分を詳しく説明していくかを理解してもらいます。破産法は一連の同時並行的な手続を処理していくものなので、全体像の理解が重要です。

第3回 破産法(2)破産手続の開始・どういう場合に破産するか

破産は、破産の申立てを受けた裁判所が「破産手続開始決定」をすることで始まりますが、どのような場合に破産が開始されるのかを説明します。

第4回 破産法(3)破産手続の進め方・債権の調査・確定と財団の管理・換価

破産手続のコアとなるのは、破産者はいったいいくらの債務を負っているのかという「債権の調査・確定」と、破産者に残った資産でいくら配当ができるのかという「財団の管理・換価」です。

第5回 破産法(4)破産手続に関わる人々

破産手続には、破産する当事者(破産者)のほか、債権者、管財人、裁判所など様々な人々がそれぞれの立場で関与します。誰がどの場面でどのような役割を果たすのかを説明します。

第6回 破産法(5)破産財団と債権者

破産財団にはどのようなものが含まれるのか、債権者は自分の有する債権が破産手続の中でどう扱われるのか、をそれぞれ説明します。

第7回 破産法(6)契約関係の処理、否認権・相殺権など

破産手続が始まると、破産者がそれまでに結んでいた契約をそのまま残しておくわけにはいきません。そのため、契約関係を終了させることが必要になります。しかし、残しておく必要がある契約もあります。破産における契約関係の処理を説明します。また、否認権、相殺権等についてもあわせて説明します。

第8回 破産法(7)破産手続の終了・配当と廃止

破産手続は、一定の財団が確保され、債権者に債権額に応じて分配をする「配当」を行って手続を終結する場合と、財団を確保することができず、配当がなされないまま手続が終わってしまう「廃止」があります。

第9回 破産法(8)消費者破産の問題

これまでの説明は、主に法人(企業)の破産を念頭に置いたものでしたが、この回では、消費者破産を中心とする個人(自然人)の破産に特有の手続や自由財産、免責といったテーマを取り上げて説明します。

第10回 民事再生手続(1)民事再生手続の概要

破産は「清算型」の倒産処理手続であるのに対し、民事再生は「再建型」の倒産処理手続と言われます。破産と対比しながら民事再生手続の概要を説明します。

第11回 民事再生手続(2)企業の民事再生

法人(企業)が民事再生を行う場合を念頭に置いて、手続の概要を説明します。

第12回 民事再生手続(3)個人の民事再生

個人(自然人)の場合は、小規模個人再生・給与所得者再生という特別の手続が設けられています。どのような場合に用いられるのか、消費者破産や企業の民事再生と対比しながら手続の概要を説明します。

第13回 その他の倒産処理法・会社更生、特別清算など

破産と民事再生のほかにもいくつかの倒産処理手続があります。また、公的な機関が関与しない私的な倒産処理(私的整理)や、裁判所が関与しないADR(裁判外紛争処理)による倒産処理もあります。ここではそれぞれの手続の特徴と概要を説明します。

第14回 倒産処理法の相互関係と全体像の整理

破産・民事再生を中心とする倒産処理法の全体像を整理しながら、「民事再生を申し立てたが行き詰まってしまった場合」のように、倒産処理法の相互関係について説明します。

第15回 まとめ

授業のまとめとしてレポートを作成してもらいます。課題は最終日の講義の開始時に発表し、課題に関係する項目については授業の中で適宜触れていきます。