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    授業内容詳細

 民事執行・保全法
   Civil Execution and Provisional Remedies Law
授業科目区分
法学部専門教育科目・民事法系
担当者 坂和 宏展(講師)
グレード G3
テーマ 民事執行法・民事保全法の基本的な手続と実務
キーワード 民事執行法,民事保全法
開講年度
2017
開講時期
夏季集中
配当年次
3・4
単位数
2
コース 3年生 (法)ビジネスローコース基本科目(2012~2014年度入学生)
4年生 (法)ビジネスローコース基本科目(2012~2014年度入学生)

授業の目的及び概要 あなたが知人にお金を100万円貸したが返してくれないとしましょう。「甲は、乙に対し、金銭消費貸借契約に基づき、100万円の貸金返還請求権を有する。」…民法では、このような請求権が発生する要件は何かが問題になります。民事訴訟では、このような請求権が発生する要件に当てはまる事実があるかどうかを裁判所が審理し、「被告は、原告に対し、金100万円を支払え。」といった判決を出します。しかし、判決は単なる「書類」なので、それに従わせるための手続が別に必要です。それが民事執行であり、民事保全です。
たとえば、相手に銀行預金があっても、判決前に引き出して隠されてしまうと、判決を得ても取り立てが難しくなります。それを防ぐには、先に「債権の仮差押え」により、裁判所から銀行に、預金の引き出しに応じないよう命令してもらいます。これは民事保全手続の一種です。
また、判決を得ても実際の支払いがない場合、判決を出した裁判所が強制的に支払わせてくれるわけではなく、たとえば、知人が不動産を持っていれば、改めて裁判所に「不動産の差押え」を申し立て、その不動産を競売にかけ、裁判所に納付された代金から「配当」を受けて100万円を手に入れます。こうした手続が民事執行手続です。
ほかにも様々な手続がありますが、基本的に、あまり高度かつ抽象的な理論を駆使する必要はありません。実務に即した知識と理解を身につけることを目的として講義を進めていきたいと思います。
履修条件 特にありません。
科目の位置づけ(DP・CPとの関連) 民事執行法・民事保全法を学ぶためには、民事実体法(特に民法)及び民事訴訟法を理解していることが必要です。したがって、民事法系科目の中でも比較的応用度の高い科目であるといえます。
学修の到達目標 民事執行・保全の基本的な手続を、実務を踏まえて理解することを目標とします。具体的には次のようなものです。
① 民事訴訟と民事執行、民事保全の手続の違いや役割分担、特に実務上の必要性を理解する。
② 民事執行手続、民事保全手続の種類や特徴を理解する。
③ 具体的な事例を前に、自分の権利を行使するためにはどのような手続を取ればよいか、そのためにはどのような要件が必要か、判断できる能力を身につける。
④ 手続の構造を趣旨から理解することを通じて、法的思考力やバランス感覚を養う。
授業の方法 基本的に講義形式としますが、できるだけ活発に質疑応答を行いたいと思います。また、登録人数や履修者の希望によっては討論等の方法を取り入れることも検討します。なお、ICTについては特に活用の予定はありません。講義の中で疑問点等が生じた場合は、その日のコメントペーパーに記載してもらうことにより、翌日以降の講義でできる限り取り上げます。ただし、集中講義形式のため、最終レポートに対する講評等はありません。
授業外の学修(予習・復習等) 集中講義となるため、講義期間中に十分な予習・復習を行うことは難しいので、事前に教科書を一読して予習しておいてください。
テキスト・参考書 授業は毎回配布するレジュメに沿って進めます。教科書として、平野哲郎「実践民事執行法民事保全法」(第2版)(2013年、日本評論社)を用います。教科書は授業で参照しますので、必ず購入して下さい。また、六法(最新のもの)を持参して下さい(判例つきでなくてもかまいません)。
成績評価の基準・方法 講義に参加してもらうことが理解につながると考えますので、出席状況の確認を含む毎日のコメントペーパーを60%、最終レポートの成績を40%として評価します。コメントペーパーは、毎日の授業の出席における取り組みの状況により評価します。最終レポートは、与えられた課題に対し、正確な知識に基づいてバランスの取れた論述ができているか、具体的な事案を適切に処理できているか等で評価します。
履修上の注意事項など 民事執行・民事保全を学ぶためには、民事実体法(特に民法)及び民事訴訟法を理解していることが必要です。そのため、これらの科目を履修済みであるか、少なくとも履修する予定があることが望ましいと考えます。
この科目の履修にあたって 民事執行法、民事保全法は、民事実体法(特に民法)及び民事訴訟法の基礎の上で展開される応用的な科目ですが、それだけ実務にも近く、また身近な法的トラブルの解決に直結する知識を得ることもできる面白い科目でもあります。講義では、できる限り多く具体的な事例を挙げながら、どのような趣旨で制度が組み立てられているのか、当事者がそれをどのように用いて自己の法的利益を実現していくのかを明らかにしてきます。
オフィスアワー


第1回 はじめに

民事手続(民事実務)における民事執行・民事保全の位置づけと役割、民事訴訟を含む手続の流れについて概要を説明します。

第2回 民事執行手続総論(1)

民事執行の手続にはどのような種類があるか、また、民事執行の対象となる財産や、民事執行を申し立てるための要件、申立ての手続について説明します。

第3回 民事執行手続総論(2)

民事執行にはどのような人々がどのような立場で関与するのかを説明します。また、民事執行で重要な概念となる「債務名義」と「執行文」とは何かを説明します。

第4回 不動産に対する執行手続(1)

民事執行手続のうち、不動産を差し押さえて競売にかけ、その代金から配当を受けるという「不動産競売」の要件や手続について説明します。また、抵当権に基づいて不動産を差し押さえ、競売にかけ、その代金から配当を受ける「担保執行」もよく似た手続ですので一緒に説明します。
  そのほか、不動産から債権を回収するための手続として、不動産の収益(たとえば賃貸収入)からの債権回収(強制管理、担保不動産収益執行、物上代位)について説明します。

第5回 不動産に対する執行手続(2)

第4回と同じテーマを引き続き扱います。

第6回 債権執行・動産執行など

民事執行の手続のうち、銀行預金や貸金などの債権、機械や在庫品などの動産、その他の財産に対する執行の要件や手続について説明します。

第7回 その他の執行手続

民事執行の手続のうち、金銭の支払いを目的とするのではない「非金銭執行」や、「渡す債務」の強制執行、作為義務・不作為義務の強制執行などについて説明します。

第8回 執行救済

民事執行において、手続に誤りがあった場合、それを正す手続について説明します。ここでは、執行を申し立てる債権者のための手続と、執行を受ける債務者のための手続があることに注意しましょう。

第9回 民事執行手続のまとめ

民事執行手続の全体像を整理し、説明しきれなかった部分を補足します。

第10回 民事保全手続総論

民事保全について、民事保全の機能や手続の構造、要件、本案訴訟との関係について説明します。

第11回 仮差押え

民事保全手続のうち、「仮差押え」と呼ばれる手続について、申立て手続、執行手続と本案訴訟後の処理について説明します。仮差押えも、差押さえのように、不動産に対するもの、債権に対するもの、動産に対するもの等があります。

第12回 仮処分

民事保全手続のうち、「仮処分」と呼ばれる手続について説明します。仮処分には、主に、不動産を占有している人を確定させたり、不動産を売却してしまうのを防いだりすることを目的とする係争物仮処分(占有移転禁止仮処分、処分禁止仮処分)と、それ以外の仮地位仮処分とがあります。

第13回 民事保全手続のまとめ

民事保全手続の全体像を整理し、説明しきれなかった部分を補足します。

第14回 民事手続の全体構造

民事保全→民事訴訟→民事執行という一連の流れについて、事例をもとに整理します。

第15回 まとめ

まとめとしてレポートを作成してもらいます。課題は最終日の講義の開始時に発表し、課題に関係する項目については授業の中で適宜触れていきます。