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    授業内容詳細

 戦後法制史
   Japanese Legal History after the Pacific War
授業科目区分
法学部専門教育科目・入門科目
担当者 岩村 等(教授)
グレード G1
テーマ 戦後日本法の形成と展開――価値観をめぐる日本とアメリカの相克――
キーワード 敗戦,占領,民主化,基本的人権,個人主義
開講年度
2017
開講時期
配当年次
1・2
単位数
2
コース 1年生 (法)学部基本科目
2年生 (法)学部基本科目
3年生 (法)学部基本科目

授業の目的及び概要  現代日本法の土台となっている戦後の法の改革の全体的なイメージを獲得することがこの科目の目的である。具体的には、アメリカによる日本占領の原因となった太平洋戦争のあらまし、ポツダム宣言と間接統治という占領のありかたを学習する。その上で、「民主化」を旗印とする「戦後改革」のなかで、明治以来の諸制度がどのようにして大規模に改革されたかをみていく。また、戦後改革の過程を、その後の高度経済成長の展開とあわせて、新旧あるいは日米の価値観の葛藤にもふれながら追跡する。具体的には、日本国憲法の制定経過、極東国際軍事裁判、農地改革、財閥解体、労働法と教育基本法の制定、民法と刑法の改正、冤罪事件、高度経済成長と環境・公害問題、表現の自由、国際社会と日本などを学習する。法学部卒業生にふさわしい法の歴史の素養を身につけることによって、社会人基礎力を養い、就業力の一助とします。
履修条件 特になし。
科目の位置づけ(DP・CPとの関連)  法学部の学位授与方針(DP)において示されている4つの能力のうち、とくに「1.自由、平等、民主主義などの価値原理を基礎とする、法と政治に関する基本的専門知識を体系的に理解」し、「4.論理的な思考力と豊かな表現力とともに幅広い教養および実践感覚を身につける」ための土台となる科目です。
 法学部のカリキュラムポリシー(CP)では、学生が基礎から応用へと順次性に基づき学修を進めていくことができるように編成されているカリキュラムにおいて、入門科目の一つとして設定されている。さらに、専門学修を進めていく上での基本的な知識や技能、論理的思考方法を身につける学部基本科目(選択必修)の一つして位置づけている。
学修の到達目標  戦後改革と重要法律の改正についての基本的事項の概略を説明できる能力を身に着ける。
 太平洋戦争が終わってから、日本はアメリカ軍を中心とする連合国軍によって占領された。連合国総司令部(GHQ)は、間接統治という統治形式のもとで、明治維新以来の日本の法体制の改革を実施した。憲法・民法・刑法・訴訟法などの基本的な法律が改革の対象とされた。戦後改革によって現代社会の基本的枠組みが設定されたのである。これらの基本的な法律が改正された経緯やその意味を学習する。
授業の方法  テキスト 岩村等著『戦後日本法の形成と展開』(大阪経済法科大学経法学会)に沿って授業を進める。テキストの内容や背景の説明やエピソードの紹介が授業の中心。
したがって、受講生諸君は必ずテキストを購入し、よく予習をして授業に臨んで欲しい。必要に応じてプリントを配布する。
出席は毎回とる。
受講生の質問を歓迎する。質問は理解の母。「はっきり・ゆっくり・わかりやすく」をこころがけたい。
必要に応じて、ICT機器を利用して資料を紹介する。
小テストの優秀な解答やコメントシートのすぐれたものを授業中に紹介する。
授業外の学修(予習・復習等) テキストで予習・復習をしっかりやってください。
テキスト・参考書 テキスト

岩村等著『戦後日本法の形成と展開』(大阪経済法科大学経法学会)

参考書

鈴木昭典『日本国憲法を生んだ密室の九日間』(創元社)【本学図書館にあり】

ベアテ・シロタ・ゴードン著平岡磨紀子訳『1945年のクリスマス』(柏書房)【本学図書館にあり】

成績評価の基準・方法  春学期末試験を実施する。問題は論述式。なお、5月末くらいに授業中の小テストを1回実施する。基本的知識の有無、理解力、思考力を問いたい。配点の比重 コメントシートや授業中の質疑応答など〔約20%〕 小テスト〔約20%〕 春学期末テスト〔約60%〕
履修上の注意事項など まず出席してください。
この科目の履修にあたって 法の歴史の授業といっても、なじみの薄い法律用語がどうしても出てきます。まず出席して、授業に食らいついてください。そのうちについてこれますよ。
オフィスアワー 木 14:40~16:10 教務課(C号館1階) 授業の質問、レポート作成支援、キャリアと進路、公務員試験対策、大学院進学


第1回 敗北と占領

 授業の目標・内容・スケジュールを説明したあと、明治維新から太平洋戦争の敗戦にいたる経過と、連合軍総司令部(GHQ)による日本占領の開始までをふりかえる。

第2回 占領体制と占領政策

 連合軍総司令部(GHQ)による日本占領の体制と、どのように日本を改革するかについての占領政策とその実施についてふりかえる。アメリカ合衆国を中心とした連合国、極東委員会、対日理事会の動きについてもふりかえる。

第3回 新しい日本のかたち(1)

 ポツダム宣言の受諾から始まって憲法制定問題がどのように推移したかをみていく。そのうえで、日本国憲法草案がどのようにして作られていったかを、日本側とGHQ側の動きをみながらふりかえる。GHQの憲法草案作成までの過程を扱う。

第4回 新しい日本のかたち(2)

GHQの憲法草案が日本政府に提示された後、日本国憲法がどのように作成されていくかを検証する。とくに、日本政府とGHQによる議論と修正作業、国会等における議論と草案の修正などをふりかえる。

第5回 戦争を引き起こしたのは誰のせい

 太平洋戦争を引き起こした責任は戦前日本の指導者にあるとされ、東条英機など開戦時の政府指導者や軍の責任者が戦犯として訴追された。これらの人々が裁かれた「東京裁判」の経過を辿りながら、この裁判の歴史的意味を検証する。

第6回 農地改革と財閥解体

 戦前日本社会の発展の障害となっていた、半封建的地主制とはなにかを見る。そして、この半封建的地主制が農地改革によってどのように解体され小作人がどのようにして土地を手に入れていったかをみてゆく。また、戦前日本経済の中心にあった財閥制度の内容と、その解体と再編の過程を検証する。また、独占禁止法の制定経緯にも触れていきたい。

第7回 労働と教育改革

 労働基準法・労働組合法・労働関係調整法(労働三法)と労働組合結成の動向、ならびに、教育基本法などの学校法制の制定経緯と、学校教育の再編過程を検証する。2006年秋に成立した新教育基本法についても言及する。

第8回 中間のまとめ

前半のふりかえりと小テスト

第9回 民法の改正

 明治31(1898)年に制定された民法第4編(親族)・第5編(相続)は新憲法の精神に則って大幅に改正された。男女平等、妻の地位の向上などなどについて改正の内容をくわしくみていく。

第10回 刑法の改正

 明治40(1907)年に制定された刑法の一部が改正された。皇室罪・不敬罪・姦通罪が廃止された経緯を検証する。また、尊属殺重罰規定がどのようにして廃止されるに至ったかをみていく。

第11回 冤罪と刑事訴訟法の改正

 いわゆる冤罪とはなにかを、重要な冤罪事件の一つをもとに、日本の刑事事件の捜査のありかたや裁判手続の特色あるいは問題点を検証する。また、刑事訴訟法の改正にも触れる。

第12回 現代の表現の自由

 戦前の表現の自由の状況と、戦後の言論・表現の自由化がどのように進められたかをみる。同時に、わいせつ罪に関する裁判をみながら、表現の自由の問題の所在を検証する。あわせて今日の情報化社会における言論・表現の自由について考えたい。

第13回 環境・公害問題と法

 四日市コンビナートの稼働(昭和30年代)とともに発生し、悪化していく四日市公害の経過をみていく。さらに1967(昭和42)年に提訴され1972(昭和47)年に地裁判決があった四日市公害裁判の推移を検証する。そのなかで、戦後復興と高度経済成長がもたらした光と影をみる。

第14回 国際社会と戦後日本

 GHQによる日本占領を国際法の観点から検証し、あわせて、1951年のサンフランシスコ平和条約以後の日本の国際的地位がどのように変化してきたかを検討する。

第15回 まとめ

 半年分の授業をまとめながら、戦後改革の全体的評価を検討し、日本の将来を考える。