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    授業内容詳細

 法哲学Ⅰ
   Philosophy of Law Ⅰ
授業科目区分
法学部専門教育科目・基礎法系
担当者 金 泰明(教授)
グレード G3
テーマ 人間社会における法の存在理由―思想と理論の基礎
キーワード 法哲学の基礎コース,レヒトの概念,正義・権利・法,ギリシャ法思想,中世法思想,近代法思想
開講年度
2017
開講時期
配当年次
3・4
単位数
2

授業の目的及び概要 基本テーマは、人間社会における法の存在理由である。ここで取り上げる哲学・思想家は、ソクラテス・プラトン・アリストテレス(古代ギリシャ・ローマ時代)にはじまり、アクィナス、アウグズティヌス、ピコ・デッラ・ミランドラ(中世)、ルター、カルヴァン、マキアヴェッリ(近世ルネッサンスと宗教改革期の思想家たち)、ホッブズ、ロック、ルソー等の社会契約説、カント、ヘーゲル等の大陸合理論の法・社会思想、ベンサム・ミル等の功利主義思想、マルクスら近現代の思想家である。
履修条件 「法哲学Ⅰ」を履修した学生は、秋学期の「法哲学Ⅱ」も履修することを推奨する。
科目の位置づけ(DP・CPとの関連) 「法哲学Ⅰ」は、法哲学の基礎コースである。公務員および法曹をめざす学生は本講義を履修するように勧める。本講義では、古今の哲学者・思想家たちの思想と理論を素材として、人間性や社会の存在理由を考える。古代ギリシャ・ローマ時代から近現代にいたるまでの哲学者・思想家たちを訪ね、それぞれの「レヒト=正義・法・権利」の思想と理論を学ぶ。
学修の到達目標 哲学者たちの法の根拠と意味のとらえ方のエッセンスを理解することによって、「いま、ここ」の問題を深く考え行動できるようになる。
授業の方法 毎回の講義のテーマに沿って、教員がレジュメを作成・配布する。また、授業の終わりに参考資料として翌週の講義のテーマや哲学・思想家に関するプリントを配布する。受講生は必ずプリント読んで受講すること。プリントを読んで講義を聴けば、きっと理解が深まるだろう。毎回の授業の終わりに、小さなメモ紙に感想や疑問・質問を書いてもらう。それらの内からいくつかを、翌週の授業のはじめにコメントする。
授業外の学修(予習・復習等) 毎回の講義のテーマに関連する教科書『人権は二つの顔をもつ』の該当章を講義を受ける前に読んでおくこと。各章はそれぞれ10頁から15頁ほどの短い哲学エッセイである。
テキスト・参考書 ●テキスト:①『人権は二つの顔をもつ』(金泰明著、トランスビュー)、②毎回プリントを配布する。
*テキスト『人権は二つの顔をもつ』は、古代ギリシャから中世、そして近現代の哲学者の思想のエッセンスをとりあげて書かれたものだ。必ず購入してください。
●参考書:参考書の『図解 哲学がわかる本』(竹田青嗣監修、学研バブリッシング)は、古代ギリシャから現代の50人の哲学者・思想家の人生や思想のエッセンスが描かれている。
成績評価の基準・方法 授業への参加態度を重視する。①評価は平常点(授業への参加・態度など)が5割、授業内容の理解確認(最終授業日の期末試験)が5割。試験は、授業内容の理解度、②自分なりの考えが示されたかを見る。授業を休まず出席するのが肝要。
履修上の注意事項など 教科書『人権は二つの顔をもつ』を必ず購入すること。授業と並行して熟読することを求める。
この科目の履修にあたって 古代から近代の哲学者の思想に、現代社会が抱える諸問題を解く鍵となる問題意識やアイデア・考え方が込められている。
オフィスアワー 火 12:10~13:00 相談ラウンジ(八尾4階) 授業の質問、英語の基礎、レポート作成支援、キャリアと進路、大学院進学(人文系)、メンタル支援、その他(人間関係、人生の悩みなど)


第1回 ガイダンス、「レヒトRecht」の概念

「レヒト」とは「正義・法・権利を意味するドイツ語である。法哲学を学ぶにあたって、ま」ず、正義・法・権利の意味を考えよう。

第2回 古代ギリシャ・ローマの法思想

哲学の始祖ソクラテスとプラトンの法思想に描かれた人間と社会の姿は、現代でも色あせない魅力と説得力をもつ。

第3回 正義論の大御所―アリストテレス

正義論を語るなら、まず、アリストテレスからはじめよう。アリストテレスこそが正義の思想を体系化した。

第4回 中世社会と法思想

千年以上もつづいた中世社会。中世社会の人びとの暮らしを知ってこそ、中世の法思想の意味を理解できる。その法思想は現代社会の様相とあまりにも異なっている。

第5回 中世神学者の法思想

中世最大の二人の神学者。型破りなアウグズティヌスと堅物のアクィナス。二人の思想は千年以上も中世の人びとをとらえてはなさなかった。

第6回 中世社会の腐敗とルネッサンスと宗教改革

ルネッサンスの精神と息吹抜きに近代の自由と権利は語れない。宗教改革を推し進めたルターやカルヴァンの思想は、神の下での万人の平等を説いた。その思想は、後の時代の法の下での万人の平等へとつながる。

第7回 人間の尊厳とは何か

中世のピコ・デッラ・ミランドラの思想からカント哲学に見られる「人間の尊厳」の概念を知る。

第8回 ホッブズの『リヴァイアサン

「万人の万人に対する戦争状態」はホッブズの言葉。ホッブズは、戦争と革命、内乱の時代に生きた哲学者。自己保存を法と権利原理の中心にすえて国家や社会の仕組みを構想した。

第9回 ロックの市民社会論

ロックの思想と政治哲学は、アメリカ独立宣言や現代の憲法に反映されている。ロックの思想抜きには現代の法と権利論や市民社会を語れない。

第10回 ルソーの社会思想

ルソーの名著『社会契約論』。権利は自然からもたらされない。それは人間同士の「約束」に由来する。市民は、「共通の利益」を守る意志をもたねばならない。ルソーはこれを「一般意志」と名付けた。

第11回 カントの義務論

近代最大の哲学者カント。『純粋理性批判』で独特な自由論を語り、『実践理性批判』では義務のあり方を論じた。カントは、義務としての正義を説く。

第12回 ヘーゲルの法思想

近代哲学体系の完成者ヘーゲル。人間は生まれながらにして自由ではないが、限りなく自由を求める。自他の相互の承認関係によって自由は生まれると、ヘーゲルは主張する。

第13回 マルクスの市民社会批判

市民社会への痛烈な批判者マルクス。平等な市民なんて、幻想さ。むしろ市民とは、現実の差別を覆い隠す都合のいい言葉。マルクスの言葉はわかりやすく、しかも痛烈である。

第14回 ベンサムとミルの功利主義思想

最大多数の最大幸福を説いた功利主義。ベンサムの功利主義とミルの『自由論』を訪ねる。

第15回 総まとめ

授業内容の理解を確認するために、小論文形式で2問を出題してまとめてもらう。