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    授業内容詳細

 ことばと文化
   Language and Culture
授業科目区分
国際学部専門教育科目・専門発展科目・コミュニケーション科目群
担当者 宋 南先(教授)
グレード G2
テーマ 言語現象を通して多様な文化のあり方を理解する。
キーワード 社会言語学,文化人類学,マイノリティーとマジョリティー,普遍性と固有性,階級と階層,ポライトネス,言語変化と標準化,ピジン・クレオル,国民国家と言語,ジェンダー
開講年度
2017
開講時期
配当年次
2・3・4
単位数
2
授業の目的及び概要  ある特定の文化とは、その構成員が世界を認知し、関連づけ、解釈するための「無意識の規範」の集合であるといえる。言い換えれば、文化とは私たちが知らず知らず行なっている「世界に対する分類」の総体である。文化のあり方には言語現象が深く関わっている。文化は言語の構造や機能に大きく働きかけるものであり、同時に、言語は文化の具現化であるともいえる。したがって、言語の仕組みを理解しなければ、文化理解は不十分であり、言語の背景に潜む文化の理解なしには、言語に対する深い理解も得られないといえる。
 この授業では、日本語、英語を含むいくつかの言語に対する分析をもとに、言語構造を理解するための基礎的な知識と方法を身につける。そして、それを援用し、その背後にある文化の特徴を理解するための方略を学ぶことにより、多様な文化に対する理解力、受容力を養うとともに、自己の文化と言語を再発見できるよう学びを進める。
履修条件
科目の位置づけ(DP・CPとの関連) 多文化共生志向を育み、多様な文化に対する理解力と、対応力、コミュニケーション力を養うための専門基礎科目である。
学修の到達目標 グローバル化する世界とは、単一の価値が共有される世界であると同時に、様々な文化が接触し、融合する一方で、互いにぶつかり合い、激しく対立する世界でもある。そこでは、「多文化共生」という考え方は、単に耳触りのよいスローガンや「与えられた現実」ではなく、国益優先と民族対立という厳しい現実から常に挑戦を受ける「政治的立場」であり「志向」であり続ける。この授業では、多文化共生志向を育む個人にとって必要と考えられる以下の素養を身につける。

1.言語の構造と特徴を理解する基礎的な知識と方法を学ぶ。
2.文化の諸特徴を理解するためのキーワードと主要概念を学ぶ。
3.文化のあり方と特徴を言語現象を通して理解する方法論を身につける。
4.文化の多様性と等価性に対する理解を深める。
授業の方法  スライドを使って授業を進めます。授業中提示されたスライド、資料などは、LMS(Learning Management System)上で公開します。また、各授業において、授業の概要と意見をコメントシートに書いて提出してもらいます。コメントシートの内容については次回授業の冒頭で紹介し、教員が意見を述べます。
 授業は基本的に日本語で進めますが、英語を介した学びを促すため、主要な概念や考え方については、日本語と英語で逐次解説します。
授業外の学修(予習・復習等) 授業の概要、資料はウェブ上で公開しますので、あらかじめ目を通したうえで授業に参加していることを前提とします。
テキスト・参考書 参考書:
南雅彦著「言語と文化 - 言語学から読み取る言葉のバリエーション」(くろしお出版、2013)
スザーン・ロメイン著、土田滋・高橋留美訳「社会の中の言語」(三省堂、2006)
成績評価の基準・方法 評価方法:期末テスト60%, コメントシート20%、小テスト20%。判定基準は以下のとおり。

     秀:90点以上、優:80点以上、可:60点以上、不可:60点未満
履修上の注意事項など 授業の目的及び概要、学修の到達目標、授業の方法などをよく確認しておいてください。
この科目の履修にあたって 授業の目的及び概要、学修の到達目標、授業の方法などをよく確認しておいてください。
オフィスアワー 木 12:10~13:00 国際部(E号館1階) 授業の質問、国語の基礎(文章表現)、英語の基礎


第1回 言語の仕組み

音韻論、形態論、統語論、意味論、語用論を概説し、言語分析の基本的なレベルを理解する。

第2回 文化とは何か

文化を特定の集団内の態度、価値観、信条、規範、行動に関わるダイナミックなシステムとして理解する。

第3回 文化研究と言語研究

社会言語学の知見を概説し、言語と文化の関係を検証する。

第4回 言語・文化の普遍性と相対性I

言語類型論、認知意味論の立場から、言語の普遍性についての知見を紹介し、認知活動の一部としての文化の本質について考察する。

第5回 言語・文化の普遍性と相対性II

Spir-Whorfの言語相対性仮説を検証することによって、言語の固有性、あるいは個別性を考察する。

第6回 普遍概念としてのポライトネス

「円滑な人間関係を維持するための社会言語行動」としての丁寧表現の普遍的側面を概説する。

第7回 文化固有概念としてのポライトネス

場面、状況による丁寧表現の差異、言語間の変異を検証することによって、ポライトネス行動の言語固有性を考察する。

第8回 言語内変異:方言と地方語

社会言語学の立場から、言語がどのようにして生まれ、伝播し、変化していくのかを、日本語および他言語の例を挙げて解説する。

第9回 言語内変異:社会階級

社会階級差に起因する言語変異について、ニューヨーク英語やイギリス社会での事例をもとに考察する。

第10回 言語とジェンダー

日本語および英語における性差を見ながら、言語の階層化・階級化のパターンとジェンダーとの関係を理解する。

第11回 言語の標準化:国家と民族主義

ヨーロッパの近代国家形成過程における言語の標準化と日本の言語標準化過程を比較検証することによって、方言、国家語、標準語、民族主義の相関を考える。

第12回 ピジン語とクレオル語

スペイン語、フランス語、英語、オランダ語といったヨーロッパ言語をもとにして、特定の社会・歴史的環境の中で使われてきたピジン語、そしてそれが母語化したクレオル語の分布、起源、構造を考察する。

第13回 社会問題としての言語:マイノリティー言語

言語の標準化は少数者の言語の周辺化を伴う。近代国家における言語の標準化がもたらした新たな国民国家文化、国民教育の形成という肯定面と、言語差別という否定面を考察する。

第14回 多言語使用と多言語社会

国民国家形成過程における言語の標準化に伴う、言語の単一化に対するアンチテェーゼとしての多言語主義と、現実的な政策としての多言語使用について検証する。

第15回 まとめ

講義のまとめ、意見交換を行う。