トップページ | シラバス |  
 
    授業内容詳細

 マーケティングリサーチ
   Marketing Research
授業科目区分
経済学専門教育科目・商学
担当者 深瀬 澄(教授)
グレード G3
テーマ マーケティング・行動経済学研究のための実証的アプローチの手ほどき
キーワード 構成概念の統計量,因子分析,測定尺度,コミットメント投資モデル,共分散分析(ゼミで指導する「共分散構造分析」とは無関係),階層的重回帰分析 ,調整効果分析,媒介分析 ,ブートストラップ
開講年度
2018
開講時期
配当年次
2・3・4
単位数
2
コース 2年生 (経営)マーケティングコース基本科目(2014年度以降入学生)

授業の目的及び概要 マーケティング・行動経済学分野の卒業論文の作成において、学術的な実証的研究をするために必要な統計分析手法について手ほどきをする。
授業で採り上げる分析手法については、経営学分野を中心とする様々な社会科学・人文科学系の学会を梯子して拝聴し、最近の学会報告の中で用いられていた手法の中から比較的易しく、初心者にも扱えそうなものを集めている。さらに、本学経営学科の教育特色とする「顧客や同僚など他者の気持ちを推察する」ための分析にもこだわった。財務分析における「無形資産」、人的資源管理における「能力・モチベーション」、消費者行動における「意識・感情」等の目に見えない「構成概念」の統計量の分析にも対応するために、社会心理学的なアプローチによる分析手法も盛り込んだ。

ただし、「共分散構造分析」については最強とされる分析手法であるが、多くのコマ数が割かれるため、「研究指導Ⅰ」においてこの手法に特化した指導をする。
また、アンケート調査の自由記述意見、インターネット上の書き込み等のテキストデータの統計的分析に用いる「形態素解析・テキストデータ解析」の手法については「公務員特別演習Ⅰ」において、政策科学実習の一環として指導する。
履修条件 ■履修条件は設定していないが、上級者を対象とするグレードがG3の専門科目であり、「ビジネス統計学Ⅰ」、「ビジネス統計学Ⅱ」の既習者を想定している。
■この科目はマーケティング・コースの基本科目であり、卒業要件にも関わるため、マーケティングコース所属学生で、特に学生研究発表会や卒論で実証分析を希望する人、大学院進学を目指す学生の履修を優先する。
■PC端末台数に制約があり、定員は40名程度で打ち切る。定員を超過した場合は、最初の授業で選抜テストを実施する。

科目の位置づけ(DPとの関連) 【DPにおける位置づけ】
この科目は、学位授与の方針(DP)に定める、学生が本学における学修と体験を通じてみにつける知識や能力のうち、以下の各項目内容の一部に該当する。
1.日本語および外国語の活用能力、数的処理能力、情報活用能力能力とともに幅広い教養及び国際感覚をみにつけている。
3.企業をはじめとする組織の経営問題を理解し、その解決方法を考える力をみにつけている。
4.他の人々と協働し、企業をはじめとする組織の一員として活躍できる能力をみにつけている。
学修の到達目標 実証研究は、将棋やオリンピック競技と同様に、若年者でも突き抜けた活躍ができる学問分野である。現在の学術研究において、一般的に用いられている統計分析のフレームワークを確立することにより、国内外における実証的アプローチによる学術論文を理解できるようになるはずである。また、各人やグループの卒業研究や懸賞論文をはじめとする各種の研究活動において、学術的な分析手法を駆使することにより、経営学科生の研究成果の質が、学外における報告や研究交流にも通用するレベルにまで向上することを期待する。
授業の方法 学術的な実証分析について、理論的な理解を深めるとともに統計手法の活用に習熟することも重視し、講義とPC実習とを併用した授業を行う。PC実習では、授業サイトに実習用のデータ教材、レポート課題用データをアップロードする。なお、Excelでは対応しにくい高度な分析を実習するため、第2回の授業に専門のフリーソフトをインストールする。個人用のノートPC、USBメモリーを携帯することが望ましい。
授業外の学修(予習・復習等) 単元終了後に、練習問題の課題レポートを提出してもらい、受講生ひとり一人の授業の理解度を確認する。
授業外の学修(予習・復習等) 本授業は、「無形資産」、「能力」、「意識・感情」等、目には見えない「構成概念」を仮定し、それらの存在と変数間の関係性を科学的に検証することを主旨としているため、厳密さと抽象的な論理思考を必要とする。特に初心者にとっては、難解に感じるかもしれないが、毎回の授業で学ぶ範囲について、事前にテキストを熟読し、授業内容の理解に努めること。
授業内で分析力を定着させることはあまり期待できない。修士論文の作成において授業で学んだ手法を実践することにより、理解を深めながら定着させていくことが望ましい。
テキスト・参考書 テキスト・参考書 テキスト
清水裕司・荘島弘二郎『社会心理学のための統計学-心理尺度の構成と分析』
誠信書房、ISBN978-4-414-30182-2 C3311 2800円

参考書
清水裕司『個人と集団のマルチレベル分析』ナカニシヤ出版
iSBN978-4-7795-0876-6 C3011 2800円
成績評価の基準・方法 実習課題レポートと学期末試験を総合的に評価する。
課題レポート(8回):60%
学期末試験:40% 

秀:90点以上、優:80点以上、良:70点以上、可:60点以上、不可:60点未満
この科目の履修にあたって マーケィングや製品開発の専門職に就きたい人、大学院進学を志望する人、学生研究発表大会や懸賞論文等で勝負に出たい人、卒業研究等で、標準的な実証研究の手法を必要とする人を対象としている。
一般実務ではほとんど活用する機会はなく、卒業レポートの作成には、特に履修する必要がない科目である。

オフィスアワー 各教員のオフィスアワー受付曜日・時間・場所については、本学Webサイトの「オフィスアワー」ページに掲載しています。
<アクセス方法>
大学Webサイトの[トップページ]→[キャンパスライフ]→[教務情報]→[オフィスアワー]
<URL>
http://www.keiho-u.ac.jp/campuslife/affairs/officehour.html

授業の内容や学習上の問題などについて質問や相談を行いたい場合は、実施曜日・時限を確認のうえ実施場所を訪れてください。
※なお、非専任講師については、担当授業前、終了後の教室や講師控室等での質問、相談を受け付けています。


第1回 構成概念(態度)の測定について

「態度」とは、体験より獲得する心の状態で、人の周りの対象に対して、行動を起こしたり変えたりする構成概念である。例えばファンの心理を直接に測定することはできないが、支援願望、憧憬、到達目標、生き甲斐、献身・自己犠牲等の感情の度合いより推定される。このようにそれ自体は直接には観測できないが、現象を説明するのに便利な科学的な仮定を構成概念という。構成概念の測定法を「態度」を事例として講義する。 

第2回 専門フリーソフトのインストールと操作法

本授業で学修する統計手法はExcelで分析できるレベルを超えているため、以後のPC実習で使用する専門のフリーソフトをインストールする。各自専用のノートPCを持参することが望ましい。インストール後に、前回の「態度」に関する観測データを用いて、ソフトの操作方法を実習する。

第3回 因子分析1-「他人に対する印象形成の構造解明」の分析事例

無数にある色彩も、わずか3色の原色で構成されている。このように複雑な観測データ(結果)を、少ない潜在因子(原因とする構成概念)に集約し、因子の意味を割り出す統計手法を因子分析という。「他人に対する印象形成の構造解明」を分析事例とし、因子分析の手法を説明する。

第4回 因子分析2-「他人に対する印象形成の構造解明」の分析事例

ある人物Aの印象について10項目の質問を行い得られた回答者200人の評価結果より、人の印象がどのような潜在的要因によって形成されているのか、因子分析による構造解明を実習する。実習では、因子数の決定、計算手法・軸回転手法の選択、出力結果の解釈の順に通して進めるが、オプション選択の組合せの調整を加えて、分析結果の向上向けた試行錯誤も期待する。

第5回 因子分析3-「成人の愛着スタイルの測定尺度」を用いた回答者の類型化

人は幼児期の親子関係から愛情を得るための心の仕組み(愛着)を形成し(内的作業モデル)、成人後の自己や他者に対して持つ期待や信念の個人差のことを「成人の愛着スタイル」という。「成人の愛着スタイル」について、Bartholmew&Hoerwitz(1991)は、「自己に対する自信」と「他者に対する信頼」の測定尺度による座標系を想定し、それぞれの回答者を座標上の因子得点(構成概念の測定値)に位置付け、4タイプに類型化した。ここでは、日本の測定尺度研究事例の短縮版を用いて、サンプルデータの類型化を実習する。

第6回 因子分析4-「成人の愛着スタイルの測定尺度」に対する信頼度の評価

前回作成した因子得点を測定する評価尺度の信頼性(安定性と一貫性)をクローンバックα係数、ω係数等を用いて評価し、妥当性(関連基準、内容的、構成概念)についても検討をする。

第7回 回帰分析1-単回帰分析による「類似性魅力仮説の検証」事例 

他者のことを好きになることを「対人魅力」という。Byrne&Nelson(1965)による「初対面でも、自分と「態度」が似ている人を好きになる」とする「類似性魅力仮説」の実証事例について、単回帰分析の実習をする。単回帰の既習者も多いだろうが、ここではより専門的に、回帰分析を実行するための前提(残差の独立性・分散均一性・正規性)や予測力の評価にも留意する。

第8回 回帰分析2ー「一緒にいたい気持ちの分析」因子分析の結果を重回帰分析に用いた事例

「ある対象と関りをもちたい」という心理的な強度を「コミットメント」という。Rusbult(1980)は、「対人関係へのコミットメントがどのように形成されるのか」について、「コミットメント=関係に近づける力-遠避ける力+留めようとする力」の葛藤であるとする「投資モデル」を用いて解明した。しかし、分析に用いるデータは構成概念であり直接には計測できない。そこで因子分析によりこれらの因子得点を測定し、重回帰分析に利用するのである。

第9回 回帰分析3ー「一緒にいたい気持ちの分析」:因子分析の結果を重回帰分析に用いた事例

前回推定した「コミットメントを予測する投資モデル」にいて、3つの説明変数の影響力を比較し、多重共線性の問題とその解決について検討する。

第10回 共分散分析1―「集団への所属意識の評価」事例

自分を集団によって定義したり認識することを「社会的アイデンティティ」といい、それは集団内における他集団との区別の意識の有無より実証される。「他社との比較」により、「自社への愛着度」が高まるかを共分散分析(ゼミで指導する「共分散構造分析」とは無関係)により検証する。この分析に必要な不等価群事前事後テスト計画、余剰変数の統制、共変量などの考え方について講義する。

第11回 共分散分析2―「集団への所属意識の評価」事例

前回解説した、「他社との比較」意識による「自社への愛着度」の促進効果について、①実験群と統制群との「共分散分析」、②ダミー変数を用いた重回帰分析によって、分析実習をする。

第12回 階層的重回帰分析1-「リーダーシップのPM類型における相乗効果」:調整効果の分析事例

三隅(1996)のPM理論では、リーダーシップの機能には、P(Performance:課題達成)機能と M(Maintenance:関係維持)機能の2つがあるとし、リーダーシップ・スタイルを両機能の高低の組合せで4つに類型化した。P型リーダー、M型リーダーによるモチベーション管理において、残る他方の機能による調整効果(相乗効果)について、階層的重回帰分析を用いて検証する。

第13回 階層的重回帰分析2-「リーダーシップのPM類型における相乗効果」:調整効果の分析事例

前回、階層的重回帰分析をおこなった、モチベーション管理におけるP型リーダー、M型リーダーの、残る他方の機能による調整効果について、マルチレベル分析における単純勾配変化より検討する。

第14回 媒介分析1-「関係流動性による一般的信頼の文化差への影響」の実証分析事例

「自分に対して、人は危害を加えない」という意識を一般的信頼という。Yuuki et al.(2007)は、「流動性が高い環境では一般的信頼が必要だが、人間関係が固定的な環境では不要」、すなわち、「関係流動性が一般的信頼に関する文化の差の要因である」とした。「日米間の一般的信頼の文化の差に、関係流動性が影響している」という仮説について、媒介分析による4段階の手続きを踏む実証を実習する。

第15回 媒介分析2-「関係流動性による一般的信頼の文化差への影響」の実証分析事例

前回の「日米間の一般的信頼の文化の差における関係流動性による間接効果」の有意性について、①ソベル検定、②ブートストラップ法を用いた検定を実習する。