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    授業内容詳細

 外国為替
   Foreign Exchange Theory
授業科目区分
経済学専門教育科目・商学
担当者 荒井 敏男(講師)
グレード G3
テーマ 外国為替と国際通貨制度…歴史、理論、現状
キーワード 外国為替の機能と役割,外国為替相場の変動,国際通貨制度,国際収支統計の改訂,国際収支の調整,介入政策,円高と円安,貿易収支赤字,国際競争力
開講年度
2017
開講時期
配当年次
3・4
単位数
2
コース 4年生 (経)グローバル経済コース基本科目(経営系)(2012~2013年度入学生)

授業の目的及び概要  外国為替の専門知識を身につけ、国際経済や日本経済の現状や問題点の理解ができるようになることを講義の目的とします。また、受講生が大学卒業後も経済問題に興味・関心を抱き、自ら学び、解決できる力、いわば自学自習の力を身につけられるようにすることも講義の目標です。
 授業では、外国為替の歴史や市場についての基本的な知識についてまず学びます。また、貿易や資本移動の実例を通じて外国為替の仕組みおよび政策に関する専門知識を学びます。さらに、日本の国際収支統計を事例に、国際収支の意義やその具体的内容について学びます。その後、国際通貨制度との現状や歴史と国際収支の調整メカニズムについて学びます。以上の知識の習得の上で、現在の国際経済の問題を取り上げ検討します。
 授業全体のレベルは、科目の性質上、専門的で特殊な用語が多いこと、国際経済学の基礎的な知識がベースになっていることを勘案すると、やや難易度が高い授業だと思われます。国際経済や国際貿易、国際金融に関連する科目をあわせて履修すれば、外国為替の理解もより容易になると言えます。
履修条件 特になし。
科目の位置づけ(DP・CPとの関連) この科目は、グローバル経済コースの基本科目(経営系)で、国際経済学を中心とする幅広い専門知識を身につけるようになることを目指します。
学修の到達目標  外国為替の変動や国際経済の動向については、新聞やニュースなどのメディアで常に報じられています。これを受講生がしっかりと理解できるようになること。また、専門的な書物を読みこなす力を得ること。さらに統計データを読み取り、分析できること。自身の見解を明確にレポートできること。
授業の方法  講義形式の授業が中心になります。特定の教科書を用いませんので、ノートをしっかりととって、わからないことがあれば、積極的に質問して下さい。授業の冒頭で、前回の復習とその日の講義内容の概略を説明してから、本題に入っていくようにし、よりわかりやすい講義の実施を心がけていきます。
 授業の内容と現実の経済の動きとの関連性を持たせることで、より理解を深められるように工夫していきたいと思っています。諸君も日頃から日本経済や世界経済の動きに注目しておいて下さい。また、統計や新聞・雑誌記事などの資料を必要に応じて配布します。
 昨年度は、受講生のおよそ半数が留学生であったこともあり、日本経済に関する基本事項について話す機会が多かったようです。また、授業中に受講生に向けて質問をしたり、意見を聞いたりといった機会も持ちました。いわば、双方向学習の要素を取り入れたのですが、授業内容の理解を促すことにつながったと考えています。今後も、受講生とのコミュニケーションを重視して、授業を活性化していきたいと思います。こうした活発なやり取りを通じて、受講生が自分で考え、また自分自身の考え、見解を獲得できるように、助力したいと考えています。
授業外の学修(予習・復習等)  経済関連の情報をメディアやウェッブを通じて日々収集するようにしてください。また、授業の復習を必ず実施して、理解不十分な箇所があれば、次回の講義時に必ず質問するようにしてください。さらに、以下の参考文献から最低でも1冊を選び、読んでおくことが望ましいといえます。
テキスト・参考書 ①吉野昌甫・滝沢健三編『外国為替入門』有斐閣新書、1993年
②木村滋『外国為替論』有斐閣双書、1991年
③岩田規久男『国際金融入門』岩波新書、1995年
④東京経済大学国際経済グループ『私たちの国際経済』有斐閣ブックス、 
 2009年
⑤水野和夫『資本主義の終焉と歴史の危機』集英社新書、2014年
⑥伊藤元重『どうなる世界経済』光文社新書、3016年
 ①と②は、外国為替論についての網羅的なテキストです。しかし、国際通貨政策など、こうしたテキストでは十分に取り上げられていない分野については、その都度参考文献を提示したいと思います。③は、説明方法や事例の取り上げ方など、学生にとって非常に読みやすい書物であるといえます。一読を勧めます。④は、現代の国際経済の課題を網羅的に取り上げた基礎テキストです。初学者には読みやすい本ですので、大いに参考になるでしょう。以上は、授業内容と直接重なるテキスト的な文献ですが、⑤は授業に関連して読んでほしい書物です。より長期的な視野から資本主義を再考する文献といえます。⑥は著者が社会人向けに行った国際経済学の講義をまとめた書物です。わかりやすい例で説明を試み、またオーソドックスな内容のテキストだといえます。専門知識だけでなく、一般教養を高めるためにもこうした書物にも目を向けてほしいと思います。
 その他、財務省や日本銀行、総務省などの統計データは経済の実態を知るには有用な資料であるので、これらを読み解けるようになって下さい。これらは、各省庁のホームページからエクセルファイルとしてダウンロードして利用できます。
成績評価の基準・方法  成績は、期末試験が80%、小テストが20%の配点で算出します。期末試験の内容については、上記の「科目の位置づけ・レベル」を参考にしてください。また、小テストは学期中に2回実施する予定です。この小テストは、諸君の講義内容の理解度を図るために実施します。小テストの結果を受けて、復習や関連事項の説明を行なうことで、諸君が学習をさらに進められるようにすることが、小テストの目的です。
 また、講義中に、簡単なレポートを課す場合もあります。このレポートは、あくまで諸君の授業の理解度をはかるためのもので、成績評価の資料とはしない予定です。
履修上の注意事項など 国際経済関連の科目(発展途上国やアジア経済に関するもの)や金融関連の科目(金融論、国際金融論など)、さらには日本経済に関連する科目など幅広く学んでください。
この科目の履修にあたって  勉強することは、根気が必要な、大変しんどいことだと言えます。また、大学の授業は、難しく、わからないことも多いでしょう。しかし、少しずつ、着実に学んでいけば、学問の面白さがきっとわかると思います。とりわけ、経済学を学べば、自分が生きる世界が少しは見えるようになります。その一助に、私の授業がなれるように願っています。
オフィスアワー -


第1回 外国為替とは何か

 導入として、外国為替の定義、歴史について解説することで、外国為替の基本概念を説明する。



第2回 貿易取引と為替

 為替取引がどのようなものかを基本的に理解するために、貿易取引における為替の利用を事例に説明をしていく。すなわち、貿易取引の仕組みや決済における為替の役割について、日米間での貿易を具体的な事例として、わかりやすく説明する。



第3回 貿易金融

 引き続き、貿易取引について説明するが、第3回目の中心は貿易金融についての解説である。さらに、為替相場の変動を基本の事例の図式に組み込んで説明していきたい。

第4回 その他の為替取引

 日米間の資本取引を事例にして、対外投資での送金方法を説明する。国際カードの決済や旅行者小切手の決済などの身近な事例を通じて、外国為替取引の仕組みを解説する。

第5回 外国為替のまとめ

 対顧客市場や銀行間市場といった外国為替市場の構造や取引主体について解説する。なお、外国為替についてのまとめの小テストを、この第5回目に実施する予定である。

第6回 外国為替市場への介入政策

 介入政策の意義や目的、当事者、介入資金など介入政策に関する基本的な事項を説明し、その後、円・ドル相場への介入が実際にどのようになされるかを見る。

第7回 様々な介入方法

 委託介入の仕組み、必要性、および実際の事例について解説する。また、不胎化介入や協調介入などの様々な介入政策の方法や為替を巡る国際通貨協力についてもできるだけ詳しく解説する。

第8回 国際収支統計

 国際収支の定義、居住者・非居住者概念といった国際収支を理解するための基本的な事項を中心に説明する。また、昨年の国際収支統計の改訂について説明する。

第9回 経常収支について

 経常取引・資本取引の各項目を詳しく見る。また、取引の具体的な事例に沿った解説を行う。今回は経常取引を取り上げる。

第10回 資本収支について

 経常・資本取引の各内容と分類項目についての続き。資本取引を中心に解説する。なお、ここで国際収支統計に関する小テスト(第2回目)を実施する予定である。

第11回 国際収支の調整問題

 現実の国際収支の状況、および国際収支の不均衡が経済的に意味するところについて解説する。

第12回 現実の経済と外国為替

 円・ドル相場を事例に、円高・円安といった相場の変化と市場での需給関係について解説する。なお、続く第13回と第14回で日本経済の現実を見るが、その準備として外国為替の理論的な基本についての復習も実施したい。


第13回 日本経済の現状と円相場 その1

 これまでは円高は日本経済に悪影響を及ぼすと考えられてきた。ところが、現在の円安局面においては、円安が様々な悪影響を引き起こしていると指摘されている。では、果たして現実の為替相場の動向が日本経済にどのように関わっているのであろうか。この点を、企業活動のグローバル化や自動車や家電などの主要輸出産業の現状、そして私たちの消費生活などを具体的に取り上げて考えていきたい。また、時間が許せば、中国などのアジア諸国との関わりについても、為替相場や国際収支の観点から考えていきたい。

第14回 日本経済の現状と円相場 その2

 引き続き、現実の円相場と日本経済についての問題を考察するが、例えば、少子高齢化や人口減少という現実の中で、多くの論者が「成熟経済」として捉える日本経済において、安倍政権が目指すように成長回復を最優先するべきなのか、それは成長神話にとらわれているのではないのか、といったアベノミクスの批判的検討を通じて、日本経済の今後のあるべき姿という大きな課題について考えていきたい。

第15回 総括

 講義全体の総括を行ない、その上で小テストの解説を通じて、重要事項の確認を行なう。また、期末試験の内容、出題形式、注意点なども説明する。