トップページ | シラバス |  
 
    授業内容詳細

 金融政策
   Monetary Policy
授業科目
区分
経済学部専門教育科目・財政・金融
グレード
コース G3
担当者 土橋 敏光(教授)
テーマ わが国の金融政策とプルーデンス政策―通貨価値と信用秩序の維持を目指して―
開講年度
2007
開講時期
配当年次
3・4
単位数
4

キーワード 日本銀行、短期金融市場、金利裁定、公開市場操作、公定歩合、システミック・リスク、決済システム、セ−フティ・ネット、早期是正措置、預金保険制度
授業の目標  中央銀行の2つの使命―貨幣価値の安定と信用秩序の維持―を達成するための金融政策とプルーデンス政策について総合的な理解をえることを目標にします。
 金融政策はマクロ経済学の応用という側面があり、マクロ経済学の理解にも役立ちます。金融政策やプルーデンス政策は金融制度のあり方によって大きく変わるので、金融ビッグバン以前と以後の日本の金融制度についての知識を身につけることも狙いの一つです。
 また、両政策ともニュースで取り上げられることが多いので、ニュースを関心を持って聴けるようになるでしょう。
科目の位置づけ・レベル  金融政策はきわめて実践的な学問です。みんなの関心の深い不況やインフレーション・デフレーションを克服するためにはどうしたら良いのかを考えるきっかけになるでしょう。
 近年、銀行倒産、金融不安などが生じています。これからは自分の資産は自分で守らないといけません。自由化された金融システムの下でどのようにリスク管理を行ったら良いかヒントになるものと思います。
授業の概要  市場経済は企業、家計、金融機関等の自由で責任ある経済活動が行われることを前提にしていますが、このような仕組みの経済では好・不況の波は免れ得ず、そのための対策として財政政策と金融政策が政府や中央銀行によってとられる訳です。その意味では、「金融政策」は極めて実践的な学問ということになります。講義では、「日本の金融システム」という制度的枠組みの中で、日本の金融政策がどのように行われているか、政策効果はどのような経路を通って企業や消費者に及ぶのか、政策当局である日本銀行や政策発動の場である短期金融市場の仕組みと機能はどうなっているのか、等について考えていきます。さらに、近年の銀行破綻や預金取付けに見られるように、金融システムの不安定性の増大とシステム・リスク顕現の可能性が高まっています。プルーデンス政策、特に、セーフティ・ネット(預金保険制度など)、モラル・バザードの問題、預金者保護と納税者保護、早期是正措置と破綻処理、等についても検討します。
授業の方法  ノート講義ですので、しっかりノートをとって下さい。ときどきレジュメを配布します。教科書および参考書を予習、復習に利用して下さい。そのレジュメはIt's Classの「教材」欄に掲載しますから、欠席した人もプリント・アウトして利用することができます。「マクロ経済学」、「金融論」を受講しておく方が好ましいです。できるだけ数式は使わないようにします。
成績評価の基準・方法  成績評価は、試験をもとに行います。ときどき出席を採ります。出席点は、試験の点数が悪かった場合に、救済措置をとるために利用します。
試験は語句の説明、論述で行います。教科書と自筆講義ノートと配布プリントの持ち込みを許可します。
テキスト・参考書 テキスト…未定
参考書
@酒井・榊原・鹿野『金融政策』有斐閣 A岡村・田中・野間・藤原『金融システム論』有斐閣 B日本銀行金融研究所『新しい日本銀行』有斐閣
履修上の注意事項や修学上の助言など  出席したら、私語は厳禁。受講生はノートを取るのには熱心だが、講義に耳を傾けるということには苦手な人が多いようです。経済学では知識と同時に考えることが要求されます。さらに、参考書や教科書を読めば、理解が深まり、思考能力も高まります。下に挙げた参考書を予習・復習に利用してください。
教員の研究・人物紹介 1949年3月生。専門は金融論、貨幣経済学。現在は、経済および金融システムの不安定性に関心があります。1980年より本学に奉職。趣味は旅行、スキー。膝を痛めてからバドミントンはやめ、現在、登山、ウォーキング、スキーをやっている。オフィスアワー以外の時間でも、どうぞ遠慮しないで相談に来て下さい。


 
第1回 金融政策とはどのようなものなのか

短期政策と長期政策、金融政策と財政政策、金融政策とプルーデンス政策を比較しながら考察します。

第2回 金融政策の目的

完全雇用、物価安定、国際収支の均衡などの政策目的を具体化する際の困難点、政策目的が複数ある場合の競合性とその対策について講義します。

第3回 中央銀行の業務と役割(1)

金融政策を実行する経済主体は中央銀行です。民間銀行と異なり、中央銀行は金融機関や政府と預金取引などを行っています。「最後の貸し手」として金融システムの安定性維持の任にもあたっています。一国の金融システムの中核となっている中央銀行の業務と役割について講義します。

第4回 中央銀行の業務と役割(2)

金融政策を実行する経済主体は中央銀行です。民間銀行と異なり、中央銀行は金融機関や政府と預金取引などを行っています。「最後の貸し手」として金融システムの安定性維持の任にもあたっています。一国の金融システムの中核となっている中央銀行の業務と役割について講義します。

第5回 わが国の短期金融市場―インターバンク市場

中央銀行は短期金融市場において買いオペ、売りオペを行います。そのため、短期金融市場の仕組みを知ることが重要になります。コール市場、手形市場などのインターバンク市場について説明します。

第6回 わが国の短期金融市場―オープン市場

多様化と規模の拡大が進み、重要性が増しているオープン市場について説明します。

第7回 金融市場と金利裁定

公定歩合の変更、オペによる短期金利の変化がどのようにして国債流通利回りなどの長期金利に波及していくのか考えます。

第8回 インフレーションの原因@

ディマンドプル・インフレーションの仕組みについて説明します。

第9回 インフレーションの原因A

コストプッシュ・インフレーションの仕組みについて説明します。

第10回 インフレーションの弊害

インフレーションがもたらす弊害について学びます。

第11回 貸出し政策

金融政策の4つの手段の中で貸出し政策、特に、公定歩合政策について、その流動性効果、コスト効果、アナウンスメント効果を説明します。

第12回 公開市場操作

売りオペ、買いオペの種類、それが実体経済における需要増大あるいは減少へどのようなメカニズムを通じて波及するのか検討します。

第13回 準備率操作

法定準備制度とはどのようなものか、預金準備率変更はどのような経路を通じて政策効果を及ぼすのかについて講義します。

第14回 政策効果の波及経路

金融政策手段がとられてから金融市場、外国為替市場、株式市場、不動産市場を通じて実体経済の雇用、インフレ率などにどのように波及していくのか検討します。

第15回 金融政策の有効性(1)

金融政策はどのような状況下でも効果をもつわけではありません。金融政策の有効性が損なわれるケースについて検討します。

第16回 金融政策の有効性(2)

自由裁量的な金融政策とルール化された金融政策の有効性を比較し、そのメリットとデメリットを探ります。

第17回 国際協調と金融政策

近年、金融政策において国際協調の重要性が唱えられている。その理由、国際協調の困難性などについて考えます。

第18回 決済と決済システム

現金決済と振替決済、即時グロス決済と集中決済、資金決済と証券決済、同時決済などについて説明します。

第19回 即時グロス決済と集中決済

即時グロス決済(RTGS)と集中決済のメリットとデメリットについて説明します。

第20回 わが国の決済システム

決済システムは複雑です。
主要な決済制度である手形交換制度、全銀システム、外為円決済制度、日銀ネットについて説明します。

第21回 決済リスクの種類と内容

決済が予定通り行われない決済リスクには先渡しリスク、流動性リスク、時差リスクなどがあります。

第22回 金融システムの脆弱性とシステミック・リスク

銀行が破綻したとき、システミック・リスクが発生する惧れがあります。金融システムの脆弱性について考えます。

第23回 プルーデンス政策(1)

プルーデンス政策とは何か、事前的措置と事後的措置の違い、市場規律、競争制限的規制などについて明らかにします。

第24回 プルーデンス政策(2)

自己資本比率規制と早期是正措置、最後の貸し手機能などについて明らかにします。

第25回 プルーデンス政策(3)

公的救済、預金保険制度とモラル・ハザード。預金保険制度とはどういうものか、モラル・ハザードを防止するためにはどうしたらいいのか。

第26回 破綻処理制度

銀行が破綻したときの処理の枠組みについて説明します。

第27回 日本のプルーデンス政策ー金融ビッグバン以前

競争制限的規制と護送船団行政について説明します。

第28回 日本のプルーデンス政策ー金融ビッグバン

自由化・国際化された金融システムのもとでのプルーデンス政策はどのように変わったか。