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    授業内容詳細

 日本経済史Ⅰ
   History of Japanese Economy Ⅰ
授業科目区分
経済学専門教育科目・経済史
担当者 大島 真理夫(教授)
グレード G2
テーマ 原始・古代から近世までの日本経済史
キーワード 縄文時代,律令国家,荘園制,大名領国制,全国検地,幕藩体制,土地希少化,全国市場,国産専売制,幕末開港
開講年度
2017
開講時期
秋季集中
配当年次
2・3・4
単位数
2
コース 2年生 (経済)グローバル経済コース基本科目(2014年度以降入学生),(経済)総合政策コース基本科目(2014年度以降入学生)
3年生 (経済)グローバル経済コース基本科目(2014年度以降入学生),(経済)総合政策コース基本科目(2014年度以降入学生)
4年生 (経済)グローバル経済コース基本科目(2014年度以降入学生),(経済)総合政策コース基本科目(2014年度以降入学生),(経)グローバル経済コース基本科目(経済系)(2012~2013年度入学生),(経)総合政策コース基本科目(2012~2013年度入学生),(経)総合経済コース基本科目(2008~2011年度入学生)

授業の目的及び概要  日本史の時代区分でいうと、原始・古代から近世までの経済史を講義する。講義担当者の経済史の見方は、(1)経済発展段階(経済学の視点)、(2)気候風土の影響(地理学の視点)、(3)社会秩序の安定(政治学の視点)という3つである。この授業は、(1)としては、日本列島における狩猟採集時代から農業社会の成立・展開・成熟という時代に相当する。近世では、高度に発達する市場経済の役割も取り上げる。(2)としては、アジアの温帯モンスーン地帯として、水田稲作が特徴的である。(3)としては、武装集団である武家による秩序形成が特徴であり、その秩序が高度に展開する近世では、天下泰平が実現し、高い経済パフォーマンスを達成した。また、外国からの侵略を受けることが少なかった島国という特徴も重要であり、19世紀の西洋の東アジア進出に際しては、開国を実現して、順調な近代化を遂げることができた。授業は、講義担当者独自の考え方も反映された内容であるが、高等学校の日本史や地理の知識があれば十分に理解できるレベルである。21世紀はアジアの世紀と言われることがある。かつての西洋中心的な見方ではなく、地域の個性に目配りを効かせた自国の経済史像を持つことは、21世紀を生きる我々にとって不可欠であり、卒業後、どのような場で仕事をする場合にも役立つはずである。
履修条件 特になし。
科目の位置づけ(DP・CPとの関連)  本科目は、学位授与の方針(DP)に定める、学生が本学における学修と経験を通じて身につける知識や能力のうち、以下に該当する。
2.経済学を中心とする幅広い専門知識を身に付けている。
3.現代社会の経済問題を理解し、その解決の方法を考える力を身につけている。
本科目は、グローバル経済コース、総合政策コースのコース基本科目である。また、それ以外のコース選択者にとっても、経済学部生として、ぜひ履修してほしい科目である。経済史の科目のなかでは、応用的性格をもっているので、基礎科目である経済史Ⅰ・経済史Ⅱに続いて、履修するのが望ましい。
学修の到達目標  古代・中世・近世の日本の経済システムの概略を説明できる。それらを、他の世界の国や地域との比較の中で、工業化以前の農業社会の段階において形成されてきた日本の個性として説明できる。日本経済の発展における、経済発展の普遍的な要因と、風土や歴史の規定性を理解し、日本の経済社会の個性を形成している、さまざまなモメントの絡み合いを説明できる。
授業の方法 一般的な「講義」である。テキストはないが、毎回、授業の概要を示した文章あるいはレジュメを、配布する。同時に、関連する資料や写真などを、プロジェクターで映写しながら、講義を進める。毎回、コミュケーションカードを配布し、講義の最後の時間に、感想や質問を書いてもらう。
授業外の学修(予習・復習等) 講義で配布されるレジュメは自分で保存し、復習や試験の準備に利用する。このレジュメおよび授業で映写されたパワーポイントの映像資料は、「イッツクラス」の「教材」「ディスカッション」に保存しておくので、復習に利用し、次の講義への準備をしておく。指示される参考文献も読んでおく。
テキスト・参考書 講義全体をカバーするテキストはない。参考文献は、その都度、指示する。さしあたり、大島真理夫「近代日本・現代アジアの経済史像-西洋モデルの盛衰-」(大阪市立大学『経済学雑誌』115巻3号)を上げておく。「大島真理夫」「近代日本」「現代アジア」でネット検索すると、容易に見つかるはずである。また、講義の近世の部分については、少々古いが、岡光夫・山崎隆三編著『日本経済史-幕藩体制の経済構造-』(ミネルヴァ書房、1983年)が、直接関係する。また、これもユーズドでの購入になるが、正田健一郎・作道洋太郎編『概説日本経済史』(有斐閣選書、1978年)は、すぐれた日本経済史の概説である。
成績評価の基準・方法 まず、授業の内容が理解できているかどうかが、チェック・ポイントになる。「授業の内容」という場合、基本的な用語や概念の理解というレベルと、もう少し複雑な、ある時代や地域の経済史のプロセスに関する説明が出来るかどうか、というレベルが含まれている。さらに、授業の内容を踏まえて、応用問題的な問題への解答も出来ることが求められる。評価の方法は、毎回のコミュニケーションカード(30%)、中間時点での小テスト(20%)、期末試験(50%)とする。
履修上の注意事項など  経済、政治、社会など、社会科学と呼ばれる分野は、教室で授業を受けたり、自分で本を読んだりして勉強することも重要だが、毎日の暮らしの中で、現実に起こっていることを経験し、知ることも、非常に大事な勉強である。日常生活が、自然科学の実験室の中にいるようなものである。しかし、好奇心や興味を持たなければ、せっかくの貴重な「実験」も、その意味を理解できずに過ぎ去ってしまうであろう。ぜひ、日本や世界で起こっている問題に、「どうしてそうなるのか」という好奇心をもってほしい。
この科目の履修にあたって 英国の国民投票でのEU離脱決定や、アメリカでのトランプ大統領就任は、長い間、世界を「先進国」としてリードしてきた「西洋」が、自分たちも世界の中の「1つのローカル」な存在であることを宣言しているのかもしれない。おそらく、我々は世界史の大きな転換点に立っているのである。このような時代の変化を正しく理解するためには、過去からの見通し(パースペクティブ)が必要となるであろう。歴史の出番である。世界史の大きな流れは、近代の世界における西洋の優越的な地位を反映して、西洋人が描いた世界史像が、広く受け入れられてきた。それは、西洋の国々が先進国という地位にあり、アジア・アフリカの国々は遅れた段階にあるとする歴史像である。これに対し、本講義では、ダイナミックな発展を見せる一方、深刻な社会状態も並存している、現代のアジアやアフリカの状況を視野に入れて、どのような日本経済史像を構築したらよいのか、模索する予定である。ぜひ、興味をもって、講義についてきてほしいし、疑問に思ったことは何でも質問してほしい。
オフィスアワー


第1回 日本経済史(前近代)を学ぶ意義

世界の中での日本の立ち位置:歴史からの視点

第2回 縄文から弥生へ

縄文人の豊かな生活、周辺世界との関係

第3回 日本における農業社会の成立

初期の水田稲作

第4回 6~7世紀の対外危機と律令国家体制

国家的人員動員体制

第5回 中世的開発と農業経営

安定的農業経営と鉄製農具の普及

第6回 荘園公領制と大名領国制

武家による支配の公権化

第7回 第1回から第6回までの復習・補足

「小テスト」も行う

第8回 近世日本の歴史的位置

対外的および国内的な視点から

第9回 17世紀の成長と開発

外延的拡張の時代

第10回 幕藩体制と市場経済

藩領域市場と全国市場

第11回 土地希少化と勤勉革命

要素投入増大型成長の行き詰まり

第12回 市場構造の変質と政策対応

地方経済の発展

第13回 幕末開港の実像

「明治政府史観」の克服

第14回 第8回から第13回までの復習と補足

講義後半の総括

第15回 総復習

まとめを行う