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    授業内容詳細

 社会経済学Ⅱ
   Political Economy Ⅱ
授業科目区分
経済学部専門教育科目・学科共通科目
担当者 山垣 真浩(教授)
グレード G2
テーマ マルクス『資本論』を通して学ぶ資本主義の矛盾と革新性
(資本の生産過程~流通過程~総過程)
キーワード 技術進歩,産業予備軍,固定資本と流動資本,拡大再生産,利潤と利潤率
開講年度
2017
開講時期
配当年次
2・3・4
単位数
2
コース 1年生 (経)学科共通科目
2年生 (経)学科共通科目
3年生 (経)学科共通科目
4年生 (経)学科共通科目

授業の目的及び概要  資本主義は本質的に不平等を作り出すシステムであるとする、トマ・ピケティの『21世紀の資本』(仏語版2013年)がベストセラーになっていますが、いま世界中で資本主義批判の運動が起きています。ニューヨークで2011年9月から始まったOccupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)が代表的ですが、マルクスの『資本論』(Das Kapital、初版1867年)は体系的な“資本主義批判”の理論書です。これを読むと資本主義の“矛盾と革新性”がよく理解できます。独力で読もうとすると非常に難解な『資本論』の内容を、平易に解説します。
 1年間通して学修することによって、あなたが将来労働者、社会人となったときに役に立つ知識が得られるでしょう。
 また『資本論』は非常に論理的に書かれているため、論理的思考力を養うことができます。とくに本質と現象を区別するという見方が身に付きます。
履修条件 「社会経済学Ⅰ」を修得していること。
科目の位置づけ(DP・CPとの関連)  経済学科のDPの「2. 経済学を中心とする幅広い専門知識を身につけている。 3. 現代社会の経済問題を理解し、その解決の方法を考える力を身につけている」に該当します。
 経営学科のDPでは「3. 企業をはじめとする組織の経営問題を理解し、その解決の方法を考える力を身につけている」に該当します。
 そして経済学科、経営学科ではそれぞれ学科共通科目になっており、経済学の基本的な思考法を学ぶ科目です。
 マルクス主義の思想は、社会科学系の学問に、肯定的または批判的その両方の意味で、広い影響を与えてきました。したがって知っておいて損はありません。
学修の到達目標  ●技術進歩による労働生産性上昇が産業予備軍を生みだすメカニズムについて説明することができる。
 ●資本制経済の形成過程(原始的蓄積)について説明することができる。
 ●資本循環の三形態について説明することができる。
 ●総資本の回転が計算できる。
 ●社会的総資本の蓄積過程を拡大再生産表式を使って説明することができる。
 ●競争による平均利潤率・生産価格の形成メカニズムを説明することができる。
 ●技術進歩のもとで利潤率が傾向的に低落する法則について説明することができる。
授業の方法  講義形式の授業です。履修者確定後は座席指定制とします。
 毎回授業の最後に今日の授業の要点にかんする練習問題を出題しますので、その解答を提出して、授業は終了します。そして次回の冒頭において、練習問題の代表的解答の紹介と解説を行い、前回の復習とします。これが毎回のスタイルです。
 授業で利用するプリントは、IT's Classで配布します。
授業外の学修(予習・復習等) 『資本論』は本来きわめて難解な書物であり、教師の話を聴いただけで、すぐに理解できるような話だとは思えません。したがって
①前回利用したプリントをよく読んで復習し、とくに用語の意味と論理展開をしっかり理解する。
②下記の教科書または参考書を予習と復習に利用する。
この2つは毎週実践していただきたい。
テキスト・参考書  春学期の社会経済学Ⅰの教科書(松石勝彦編著『現代の経済学入門』同成社、2010年)は『資本論』第1巻部分までしかカバーしていません。
 第2巻以降をカバーしている参考書として下記を推薦します。家庭学習で利用してください。

参考書:①大谷禎之介『図解 社会経済学』桜井書店、2001年、3000円+税
    ②岡本正・松石勝彦編『経済原論講義』有斐閣、1982年(絶版なので図書館でみてください)
 
成績評価の基準・方法 期末試験80%、毎回のコメントシートの提出状況20%、および任意提出のレポートの合計点で決めます。
履修上の注意事項など 特にありません。
この科目の履修にあたって 上記の「科目の位置づけ」をみてください。
オフィスアワー 木 12:10~13:00 相談ラウンジ(八尾4階) 授業の質問、英語の基礎


第1回 ガイダンスと春学期の復習

 本授業の進め方と、「社会経済学Ⅰ」の復習をします。

第2回 資本蓄積と所有問題

 単純再生産の考察を通して、所有の根拠について考えます。あなたのモノは、なぜあなたのモノなのか? 自己労働にもとづく所有、商品生産の所有法則、資本主義的取得法則への、矛盾を伴う発展・転回をみます。

第3回 技術進歩を伴う資本蓄積と産業予備軍の創出1

 資本蓄積が失業者や低賃金不安定雇用労働者などの産業予備軍を生みだすメカニズムを学びます。

第4回 技術進歩を伴う資本蓄積と産業予備軍の創出2

 現在の「格差社会論」をマルクス主義の立場から批判的に紹介します。また時代の制約からマルクスが取り上げなかった、海外移転を伴う資本蓄積の問題を学びます。

第5回 資本の本源的蓄積1

 長い人類史からみて資本主義の歴史はほんの数百年、日本ならわずか150年足らずにすぎません。理論から歴史に目を転じて、資本主義社会の誕生について考察します。

第6回 資本の本源的蓄積2

 マルクスによれば、社会体制は生き物と同じように成長と老化、そして寿命があるといいます。マルクスが考えた資本主義の終焉を紹介します。以上で『資本論』第1巻「資本の生産過程」は終了です。

第7回 資本の循環1

 ここから『資本論』第2巻の内容で、テーマは「資本の流通過程」です。人の命は有限ですが、資本は無限につづくことが前提される循環運動(ゴーイング・コンサーン)であることを学びます。まず貨幣資本循環について。

第8回 資本の循環2

 前回に続いて、生産資本循環と商品資本循環について学びます。

第9回 資本の回転

 建物、機械設備、原材料、人件費などは生産物に価値移転されます。価値移転の仕方によって固定資本と流動資本に区別されることを学びます。また総資本の回転数は速いほど効率的であることを理解します。またそれゆえ回転期間を短縮する方法が開発されることを学びます。

第10回 社会的総資本の再生産と流通1

 単純再生産の再生産表式を利用して、社会が維持・再生産される条件について学びます。

第11回 社会的総資本の再生産と流通2

 拡大再生産の再生産表式を利用して、社会が維持・再生産される条件について学びます。また数値例を使って、自身で表式を作成する練習をします。以上で『資本論』第2巻の内容は終了です。

第12回 剰余価値の利潤への転化

 ここから『資本論』第3巻の内容で、テーマは「資本主義的生産の総過程」です。剰余価値の現象形態としての利潤の概念について学びます。

第13回 利潤の平均利潤への転化

 部門間競争を通して、利潤率が均等化し生産価格が形成されるメカニズムを学びます。

第14回 利潤率の傾向的低下法則

 資本蓄積とともに利潤率は傾向的に低下していき、資本制経済は不安定化して、資本制経済再生のためには恐慌の発生を必然とする、というマルクスの有名なテーゼについて学びます。

第15回 総括

 これまでの内容を総括し、『資本論』第3巻の残りの部分について概説します。