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    授業内容詳細

 社会経済学Ⅰ
   Political Economy Ⅰ
授業科目区分
経済学部専門教育科目・学科共通科目
担当者 山垣 真浩(教授)
グレード G2
テーマ マルクス『資本論』を通して学ぶ資本主義の矛盾と革新性
(資本の生産過程)
キーワード 資本,商品生産,剰余価値生産,技術進歩,労働問題
開講年度
2017
開講時期
配当年次
2・3・4
単位数
2
コース 1年生 (経)学科共通科目
2年生 (経)学科共通科目
3年生 (経)学科共通科目
4年生 (経)学科共通科目

授業の目的及び概要  われわれの暮らす資本主義社会は制度疲労を起こしているようにみえます。労働者の生活水準の低下(中流層の解体)が広く世界で生じており、これが各国で政治の不安定さを招いています。
 本授業の目的は、マルクスの『資本論』を通して、資本主義という矛盾と革新性に満ちた社会の仕組みを理解することです。これにより、あなたが将来労働者、社会人となったときに役に立つ知識が得られます。
 また『資本論』は非常に論理的に書かれているため、論理的思考力を養うことができます。とくに本質と現象を区別するという見方が身に付きます。
履修条件 特に予備知識は必要ありません。
科目の位置づけ(DP・CPとの関連)  経済学科のDPの「2. 経済学を中心とする幅広い専門知識を身につけている。 3. 現代社会の経済問題を理解し、その解決の方法を考える力を身につけている」に該当します。
 経営学科のDPでは「3. 企業をはじめとする組織の経営問題を理解し、その解決の方法を考える力を身につけている」に該当します。
 そして経済学科、経営学科ではそれぞれ学科共通科目になっており、経済学の基本的な思考法を学ぶ科目です。
 マルクス主義の思想は、社会科学系の学問に、肯定的または拒否反応的その両方の意味で、広い影響を与えてきました。したがって知っておいて損はありません。
学修の到達目標 ●商品や貨幣の性質について説明することができる。
●資本主義の「資本」とは何かについて説明することができる。
●剰余価値生産のメカニズムについて説明することができる。
●資本主義社会における資本と労働の対立関係から生じる労働時間問題や賃金問題について説明することができる。
●江戸時代などの他の社会体制と比較して、資本主義社会はなぜ変化が急速なのか説明することができる。
授業の方法  講義形式の授業です。履修者確定後は座席指定制とします。
 毎回授業の最後に今日の授業の要点にかんする練習問題を出題しますので、その解答を提出して、授業は終了します。そして次回の冒頭において、練習問題の代表的解答の紹介と解説を行い、前回の復習とします。これが毎回のスタイルです。
 授業で利用するプリントは、IT's Classで配布します。
 
授業外の学修(予習・復習等) 『資本論』は本来きわめて難解な書物であり、教師の話を聴いただけで、すぐに理解できるような話だとは思えません。したがって
①前回利用したプリントをよく読んで復習し、とくに用語の意味と論理展開をしっかり理解する。
②下記の教科書を予習と復習に利用する。
この2つは毎週実践していただきたい。さらに時間のある人は、
③マルクス『資本論』を読みすすめてみる。古来、エリートの教育には古典講読が有効とされてきました。この授業を聴けばマルクスの言っていることが理解できると思います。
テキスト・参考書 教科書:松石勝彦編著『現代の経済学入門』同成社、2010年、2700円+税

 本テキストには統計図表が豊富に掲載されていて、“古典”を“現代感覚”で理解できるような工夫がなされています。授業は配布プリントを中心に進めますが、『資本論』は本来難解な書物なので、理解するにはテキストを読んで勉強することが欠かせません。テキストは必ず購入してください。
 本格的に勉強したい人には、以下の文献も推薦します。

参考書:大谷禎之介『図解 社会経済学』桜井書店、2001年、3000円+税
    カール・マルクス『資本論』第1~3分冊、大月書店国民文庫

 後者は『資本論』第1巻、に相当します。興味のある人は“古典”に、ぜひチャレンジしてください。
成績評価の基準・方法 期末試験80%、毎回の練習問題の提出状況20%、および任意提出のレポートの合計点で決めます。
履修上の注意事項など 特にありません。
この科目の履修にあたって 上記の「科目の位置づけ」をみてください。
オフィスアワー 木 12:10~13:00 相談ラウンジ(八尾4階) 授業の質問、英語の基礎


第1回 ガイダンス

 この授業のテーマや進め方、成績評価の方法について説明します。

第2回 市場経済――商品生産と高度な社会的分業

 市場経済を歴史的に特徴づけるのは、生産物の大部分が自家消費でも強制徴収でもなく他人との交換目的の「商品」として生産されていることです。商品の使用価値や価値、および商品を生産する労働の特徴について学びます。

第3回 商品の価値表現の発展とマネーの発生

 商品の価値はそれに含まれる社会的必要労働時間によりますが、商品それ自体には投下された労働時間は書いてありません。したがって商品の価値を表現するには、もうひとつ別の商品を必要とします。価値表現の究極が貨幣商品を用いた価格表現である、ということを学びます。

第4回 商品の交換過程とマネーの発生

 商品の物神的性格について学んだ後、商品の交換過程におけるマネーの発生の必然性を学びます。

第5回 商品流通におけるマネーの諸機能1

 みなさんの大好きなおカネ(貨幣)の機能について学びます。商品の価値を測る物差しとしての機能や、商品流通を媒介する機能です。

第6回 商品流通におけるマネーの諸機能2

 引き続きおカネ(貨幣)の機能について学びます。価値を将来のために蓄蔵する機能や、掛取引における支払手段としての機能です。

第7回 現代の通貨

 現代のマネーである中央銀行券と預金通貨や、銀行の信用創造について学びます。

第8回 貨幣の資本への転化

 わたしたちは「資本主義社会」に住んでいますが、そもそも「資本」とは何でしょうか。資本の一般的定式について学びます。

第9回 労働力商品の特徴

 資本主義社会では、何でも商品として売買されるようになりますが、さすがに人身(奴隷)売買はやがて禁止されます。しかしこの社会では便宜的に人間を「人格」と「労働力」に区別することによって、後者については売買の対象とするのは何ら問題がないばかりか、むしろこの売買が日常的になされることが資本主義システムの根幹をなします。この「労働力商品」の特徴について学びます。

第10回 絶対剰余価値生産のメカニズム

 資本が労働力商品を消費して剰余価値を生産するしくみについて学びます。

第11回 労働日の延長と法律による規制――労働日決定の理論

 おそらく人類史上で、人間が1日あたり最も長い時間、労働に従事しているのは、資本主義社会(とくに産業革命期)であると推定されます。どうして資本主義社会では労働時間が延びるのでしょうか。

第12回 相対的剰余価値生産のメカニズム――資本主義の脅威的発展の秘密

 江戸時代と比較してみればわかることですが、資本主義社会の発展、技術進歩のスピードは驚異(脅威)的です。その秘密を探ります。

第13回 サイエンスは人々を必ず豊かにするのか――機械の発明とその資本主義的利用法

 産業革命による機械の登場は生産性を飛躍的に高めました。したがってそれは労働時間を短縮する可能性もあったはずですが、実際には劣悪な労働環境を世界中に蔓延させました。なぜそうなったのでしょうか。機械の「資本主義的利用法」について学びます。

第14回 労働賃金

 これまで労働者には「労働力の価値」どおりに支払われることを前提にしてきましたが、現実には非正規労働者が典型的ですが、労働力の価値以下の賃金しか受け取れない労働者も存在します。「賃金」をめぐる問題について学びます。

第15回 総括

 これまでの内容を総括します。